シャープの業績改善が一段と鮮明に。ホンハイは何をしたのか?

東証2部転落から6か月半、業績上方修正を発表

シャープが業績上方修正を発表

東芝(6502)の債務超過転落、東証2部への指定替えの可能性といった話題で持ちきりの中、対象的な動きを示したのがシャープ(6753)です。

シャープは2017年2月17日、東京株式市場が開く30分前の午前8時30分に「売上原価(引当金)の減少に関するお知らせ」及び「平成29年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」と題する適時開示を発表しています。

その内容は、原材料の購入に関する契約見直しが締結されたことにより、売上原価に含まれる「買付契約評価引当金」が、2017年3月第3四半期末比で▲101億円減少することが決まったこと、また、これに伴い2017年3月期通期の業績予想を経常赤字予想から黒字予想へと上方修正するという内容でした。

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契約見直しの背景にはホンハイの交渉力が

発表資料では、契約の相手方や契約内容の詳細については、契約上の守秘義務により開示されていませんが、おそらくソーラーパネルの原材料であるポリシリコンの契約に関するものであると推察されます。

というのは、同社のソーラーパネル事業は、材料不足が深刻であった数年前に行われた海外の材料メーカーとの長期契約により、材料価格が下落した現在の局面でも高値で買わざるを得ない不利な状況にあり、そのことが同社のソーラー事業の収益圧迫要因となっていたからです。

実際、2017年3月期第3四半期(10-12月期)決算では、ソーラーパネル事業が含まれるエネルギーソリューション事業だけが▲79億円の営業損失となっており、この赤字のうち▲76億円が円安による買付契約評価引当金の追加引き当てによるものでした。

ここで気になるのは、なぜシャープが契約内容の見直しに成功したのかですが、その点に関しても守秘義務により内容は明らかにはなっていません。

ただし、ホンハイがシャープへの出資を決定以降、ホンハイのサプライヤーに対する交渉力を活用して、シャープ全体の資材調達価格の引き下げを目指す考えが示されてきたことから、今回の発表もその一環であると推察することができると思います。

東証2部への指定替えから約6か月半が経過

このように、シャープの業績回復は着実に進んでいます。2016年3月期末に債務超過に転落、2016年8月1日には東証1部から2部へ指定替えになったことが遠い昔のように感じられます。

ちなみに、シャープは今後、グローバルでのブランド強化や新規事業の加速により、成長に向けた反転攻勢に出る考えを2月3日に開催された決算説明会で表明しています。

また、さらに経営改革を進めることで、“遅くとも”2018年度(2019年3月期)には東証1部への復帰を目指しています。

今回の発表は、その実現可能性を一歩高めるためのマイルストーンになったと考えられます。今後もホンハイ流のスピード経営の実践により、経営改革がさらに加速していくかを注視していきたいと思います。

シャープの過去2年間の株価推移

 

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。