カーナビが主力商品のパイオニア。以前はプラズマテレビなども製造していましたが、事業再編を続けてきました。現在も決算を見る限り、体質改革は継続しているようです。今回は、直近の決算を振り返りながらテクニカル分析を交えて株価について考えていきたいと思います。

パイオニアの第3四半期が6年連続の当期純損失

パイオニア(6773)が2月13日に2017年3月期の第3四半期累計の決算を発表しました。その内容は経常利益18億円と黒字ながら、当期純利益では30億円の赤字というもの。第3四半期累計の決算では何と6年連続の当期純損失となります。

当期純損失の直接的な原因は、海外の事業再編に伴う事業構造改善費用12億円、ケーブルテレビ関連機器事業の譲渡による事業譲渡損失引当金繰入額12億円の両者となっています。

主力事業のカーエレクトロニクス事業が振るわず

現在はカーナビを中心とするカーエレクロトニクスの会社に変貌を遂げているパイオニアですが、主力のカーエレクトロニクス事業が円高の影響もあり振るわず、売上高782億円と前年同期比で14%の減収となりました。

通期での数字が安定しないパイオニア

過去5期分のパイオニアの業績推移は下記となります。

  • 2012年3月期 売上高436,753百万円、経常利益9,863百万円、当期純利益3,670百万円
  • 2013年3月期 売上高451,841百万円、経常利益812百万円、当期純利益▲19,552百万円
  • 2014年3月期 売上高498,051百万円、経常利益5,111百万円、当期純利益531百万円
  • 2015年3月期 売上高501,676百万円、経常利益▲2,915百万円、当期純利益14,632百万円
  • 2016年3月期 売上高449,630百万円、経常利益7,250百万円、当期純利益731百万円
  • 2017年3月期予想 売上高390,000百万円、経常利益7,000百万円、当期純利益1,000百万円

数字が非常に上下しており、パイオニアの特に基礎的な利益水準が読みにくい状態となっています。

経常利益については当期の70億円という数字を達成できれば、2年連続経常利益70億円となり、同社の基礎的な利益額が見えますが、毎期のように特別損益を計上しており、経常利益に対して、当期純利益が大幅に上下しています。

当期予想についても経常利益70億円との数字は据え置かれていますが、当期純利益が10億円となっており、第3四半期に発生の特別損失含め多額の特別損失の計上が予想されています。

株価は下落で反応も最安値にはまだ遠い

パイオニアの第3四半期の赤字決算の発表に株式市場は下落で反応。パイオニア株は決算発表翌日、窓を開けて下落し、翌2月14日の終値は241円(前日比17円安、▲7%)となりました。

しかし、直近での最安値162円(2016年7月8日)と比べると、下落したとはいえまだ最安値には遠い水準を維持しています。

日足チャートから見たパイオニア株価のポイント

現在のパイオニアの株価は、2016年8月8日に窓を開けて上昇した地点をスタートとした相場に位置しています。

高値→269円(2017年1月6日)
安値→206円(2016年8月8日)

第3四半期決算の発表を契機に、パイオニア株は大きな出来高とともに窓を開けて下落していますが、今後も株価下落が継続する場合は、安値206円が意識される展開が予想されます。

また、高値の269円は、2016年5月に窓を開けて下落した際のスタート地点ともなっており、チャートパターンとしては2016年5月を基点とする三角保ち合いを形成しているとも言えます。

2016年8月8日以降、パイオニアの株価はレンジ相場を形成しており、上昇にせよ下落にせよ、高値・安値のブレイクがなければ、当面はレンジ相場内の値動きに留まることが予想されます。

まずは決算数字の投資家からの信頼回復が先決

2013年3月期以降、毎期のように特別損益を計上し当期純利益が大幅に上下しているパイオニアは、投資家が安心して見ていられる会社とはなっていません。

当期も第3四半期での特別損失計上により、その傾向は継続しています。

現状数字面からは、パイオニアは投資家から信頼を得ているとは言い難い状態であり、株価の上昇には決算数字の信頼性を投資家から回復することが必要不可欠と考えられます。

予想を据え置いた2017年3月期の通期決算を、予想に近い数字で着地させることで、その端緒が開かれるのではないでしょうか。

2017年3月期決算について、実際に予想に近い数字での着地となるかどうかに、まずは注目したいと思います。

 

LIMO編集部