サラリーマンの確定申告は5年間さかのぼれる!

5年前の医療費の領収書がいまさら発見された、5年前に定年退職した親を自分の扶養に入れていなかったなど、本当は所得税の計算上控除を受けられたのに受けていなかったという方がたまにいらっしゃいます。しかし、まだ確定申告は間に合います。

所得税の還付を受けるため、5年間はさかのぼって確定申告できるのです。たとえば平成29年12月31日までであれば、平成24年から平成28年の5年分はさかのぼって確定申告書の提出が可能です。

仮に5年間扶養に入れ忘れていたケースがあっても、5年間さかのぼって扶養に入れられますので、結構な金額の還付を受けられるかもしれません。とはいってもさかのぼれるのは5年間。それより前のものはあきらめるしかありません。

所得税の還付を受けられるケースとしては、前述のほかにも副業の源泉徴収票をもらっていたのに確定申告をしていなかったという場合や、有価証券の譲渡損を繰り越していたのに確定申告で翌年の利益と相殺するのを忘れていた、年末調整に出そうと思っていた生命保険料や地震保険料の控除証明書を出し忘れていたなどが考えられます。

戻ってくるのは所得税だけじゃない

たとえば、同居の親を扶養に入れていなかった場合を考えてみましょう。この場合、扶養控除として38万円(70歳以上であれば58万円)を確定申告をした年の所得から引くことができます。所得税率10%であれば、3万8,000円(70歳以上であれば5万8,000円)が戻ってくることになります。

さらにこれだけではありません。住民税の計算も所得税と連動していますので、住民税側でも還付を受けられるのです。

上記のケースであれば、住民税の扶養控除額は33万円(70歳以上であれば45万円)です。住民税の税率は10%なので、さらに3万3,000円(70歳以上であれば4万5,000円)の還付を受けられます。

確定申告書を税務署に提出すれば、その情報は税務署から自治体に転送されます。なので、改めて自治体に住民税の申告をしなくても、税務署に確定申告書を出すことで、どちらからも還付を受けられるのです。実際には税務署から自治体に転送する関係で、まずは所得税、次に住民税が戻ってくるという流れが多いでしょう。

所得税だけだと1万円くらいの還付でも、住民税も考慮すればそれなりの金額の還付を受けられるかもしれませんね。

一度確定申告書を提出していたら?

ただし、一度その年分の確定申告書を提出していると手続きが変わってきます。たとえば、確定申告書を提出して医療費控除は受けていたけれど、追加の医療費の領収書を発見した場合などです。

確定申告書の内容を訂正して還付を受ける場合は、「更正の請求」という手続きをとることになります。更正の請求とは、簡単にいうと、確定申告書に書いた所得の金額が過大だったため、正しい金額に修正するための手続きです。

書類も確定申告書ではなく、更正の請求書というものを使います。一度確定申告書を出していると別の手続きになるということは把握しておきましょう。

渋田 貴正