米株は続伸したが欧州の政治リスクが気になり始めた1週間

先週(2017年2月20日-2月24日)の世界の株式市場はまちまちでした。主要市場の週間騰落率は現地通貨ベースでTOPIXが+0.4%、米S&P500が+0.7%、独DAXが+0.4%、上海総合が+1.6%といずれも堅調でした。

特に米S&P500は、終値ベースで最高値更新を続けています。さらに、インド、ベトナム株などが上昇しています。しかし、欧州株やロシア、利下げを実施したブラジル株が下落しており全面高とはなりませんでした。

1月31日-2月1日に行われたFOMCの議事録が公開され、米国の次の利上げ時期がそこまで切迫していないと市場は解釈したようです。また、欧州の政治リスクに対する警戒感から債券が買われ世界的に金利が低下しました。この結果、ドルは対円でドル安となりましたが、ユーロに対してはドル高になりました。円はドル、ユーロに対して円高になっています

このような環境の中で米国株はウォルマートやホーム・デポの決算をこなし、トランプ政権の政策期待も背景にして最高値を更新しています。一方、世界的に資源株と欧州の銀行株の下落が目立ちました。

アウトルック:トランプ勝利から100日以上経過、相場の流れは変わるのか

今週(2017年2月27日-3月3日)は、トランプ大統領の上下院合同会議における演説で、税制改革、インフラ投資、各種の規制緩和などに対してどのような具体的な”サプライズ”が用意されているのかが最大の焦点です。

さらに、米国の地区連銀経済報告(ベージュブック)やイエレンFRB議長の発言も予定されており、トランプラリーの賞味期限がまさに試されようとしています。

トランプ氏が大統領選に勝利してすぐに始まった米株のラリーは、すでに109日を経過しています。この間、企業業績の回復という裏付けが確認されてきましたが、その一方でトランプ政権の公約である法人減税やさまざまな景気対策も株価に織り込まれつつあると思われます。

演説内容次第ではありますが、いったん材料出尽くしになる可能性も心しておきたいです。また、トランプ政権の経済運営が明らかになるにつれて、FRBがどう利上げのスタンスを調整してくるのかにも注目が必要です。

マクロ指標も目白押しです。米国では1月の耐久材受注、12月のケース・シラー住宅価格指数、2月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数、1月の個人所得・消費支出・デフレーター、2月の製造業・非製造業ISM指数、欧州では2月の消費者物価指数、1月の小売売上高、中国では2月の製造業・サービス業のPMI、日本では1月の鉱工業生産指数、住宅着工戸数、失業率、消費者物価指数などが予定されています。

市場はフランスを始めとする欧州の政治リスクにも敏感になり始めましたが、景気の足取りの確かさが続けば株式市場の下支え要因になるため、注目を怠れない材料です。

椎名 則夫