なぜ日本電産はテレビCMに続き株主優待を始めるのか

2兆円企業への布石、企業認知度向上の目的は?

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株主優待としてオルゴール記念館の招待券を提供

2017年3月7日、日本電産(6594)は同社として初めての株主優待制度導入を発表しました。2017年3月末の株主に対して、長野県・下諏訪町にある同社の「日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのね」無料入館リーフレットを贈呈するというものです。

「すわのね」は、2016年3月に「諏訪湖オルゴール博物館 奏鳴館」が改装されオープンしたオルゴールの博物館です。通常の入館料は大人1,000円、小中学生が500円ですが、優待制度を利用すれば、1回限りですが同伴者を含め無料で入館することができます。

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昨年末の株主にもこの無料入館リーフレットは同社の株主通信とともに配布されていましたが、今回は取締役会の決議を経て、「株主優待制度」と位置付けられています。

なぜ今、株主優待制度を導入するのか?

そこで気になるのは、なぜこのタイミングで日本電産は株主優待の導入に踏み切り、それが「オルゴール記念館すわのね」なのかということです。

株式の中長期保有を促すのが最大の目的であることは言うまでもありません。しかし、同社はこれまでも個人投資家向けIRを開催するなど個人投資家の取り込みには比較的前向きであったので、それ以外の理由も考えられます。

そこで思い起こされるのが、同社が昨年末から「もし、日本電産がなかったら」という創業以来初のテレビCMを全国で放映していることです。ちなみに、このCMには同社と同じ京都出身の人気俳優、佐々木蔵之介氏が起用されています。

日本電産は家電などの最終消費財ではなく、モーターを中心とする電子部品メーカーです。いわば”黒子”の存在である同社がテレビCMを行う理由について、永守重信会長兼社長は「2兆円企業を目指すために会社を知ってもらい、優秀な人材を獲得するためである」といった趣旨の発言を最近の決算説明会で行っています。

このため、今回の同社初の株主優待制度導入も、「会社を知ってもらうこと」が目的の1つではないかと考えられます。

一見の価値がある「オルゴール記念館すわのね」

ところで、日本電産の株主になって優待を活用するかどうかはともかく、「オルゴール記念館すわのね」は一見の価値がある博物館です。

同館では、2003年に日本電産が買収した三協精機(現、日本電産サンキョー)が保有していた日本および世界のオルゴールの実物を見学したり、オルゴール製作の体験などができます。

余談ですが、日本電産サンキョーは数多くのオリンピック選手を輩出したスケート部でも有名ですが、スピードスケート靴の「ブレード」と呼ばれる刃の加工には、オルゴールから始まる日本電産サンキョーの精密加工技術が活用されています。そうしたことも下諏訪に行くと実感できると思います。

なお、日本電産サンキョーは現在でもオルゴールを生産販売しており、世界でトップシェアを確保しています。19世紀の終わりにエジソンらが蓄音機を発明して以来、一時は衰退の危機にあったオルゴールですが、その音色の美しさなどで現在もビジネスとして継続できるだけの価値を十分に提供しているのです。

こうした歴史は、フラッシュメモリーの登場で一時は衰退が危惧されたHDD用モーターが、ハイエンドサーバー用に活路を見出すことで、衰退どころか見事に採算性を高め日本電産グループのキャッシュカウとなっている姿とも重なります。

なお、日本電産についてもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事「【日本電産の業績、株価、評判、サンキョー、テクノ、シンポなどのM&A等を徹底解剖】」もご参考にしてください。

株主優待制度を活用するためには

もし、日本電産の株主優待を得たいとお考えであれば、3月末の株主名簿に掲載されることが条件で、そのためには「権利月最終売買日」である3月28日(火)までに株式を購入しておく必要があります。

また、株式を購入するためには証券会社に口座を持つ必要がありますが、購入売買手数料を安く抑えるためにはネット証券に口座を持つことも一案です。ちなみに、ネット証券への口座開設は無料です。複数口座を開設し、実際に使いながら自分に合ったネット証券を見つける運用上手な方も少なくありません。

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投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。