ランドセルはいつからあんなにカラフルに? 祖父母からの入学祝いの定番化

競争激化でランドセル商戦はゴールデンウィーク時期から

イオンの24色ランドセルが多色化の大きなきっかけに

卒業、入学のシーズンです。小学校への入学祝いの定番と言えばランドセルでしょう。かつて、ランドセルの色といえば、女児向けは赤、男児向けは黒しかありませんでした。ところが、最近はとてもカラフルになっています。きらびやかな装飾を施したものも少なくありません。

転機となったのは2001年、イオンリテールが自社の「トップバリュ」ブランドで24色のランドセルを売り出したことです。他のランドセルメーカーも追随することで、選択肢は一気に広がりました。

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一般社団法人日本鞄協会ランドセル工業会によれば、ランドセルの歴史は、幕末に輸入され、軍隊で活用されるようになった布製の背のうが、その始まりだとされているそうです。また、1887(明治20)年、大正天皇の学習院ご入学祝いに伊藤博文が箱型の通学かばんを献上したことが、現在のランドセルの原型だとされています。

小学校でランドセルを使うのは義務ではありません。もちろん、男児が黒、女子が赤といった決まりもありません。リュックサックでもいいのです。「みんなが持っているから」といった横並び意識や、「祖父母からプレゼントされることが多い」といったことも背景にあったのかもしれません。

少子高齢化で祖父母のスポンサードが手厚くなったのも要因

ランドセルの多色化や刺しゅうなどの装飾化に貢献しているのが、クラレ(3405)の人工皮革「クラリーノ」です。ランドセルの素材はかつて牛革が主流でしたが、現在は7割をクラリーノが占めるとされています。

といっても、クラリーノのランドセルが初めて登場したのは1967年で、50年も前です。クラリーノは靴やベルト、スポーツ用品などにも広く利用されており、多彩な色の素材を作ることができます。

では、なぜランドセルだけがこれまで「黒と赤」が主流で、ここ十数年で一気にバリエーションが広がったのでしょうか。大きな要因の一つが少子高齢化の進展です。子供の数が減っていることにより、一人の子供にかけられる金額が増えています。特に祖父母のサポートが増しています。

牛革製はもちろんのこと、クラリーノ製であっても、多品種化を進めると1品種あたりのコストが高くなります。最近では、祖父母のスポンサードが手厚くなったため、従来であれば高額商品であったものが売れるようになってきたのです。

前述したランドセル工業会によれば、2014年の平均単価は42,400円で、10年前(35,000円)の1.2倍になっています。現在はさらに平均単価が上がっているのではないでしょうか。

リーズナブルという印象があるイオンの24色ランドセルでも、もっとも安い商品が35,000円です。同社のラインナップの中には、14万円以上するものもあります。有名百貨店では10万円以上する商品もよく売れているようです。

競争の激化でランドセル商戦の前倒しが進む

ところで、ランドセル商戦の時期はいつか知っていますか。「12月から2月くらい?」と思う人もいるかもしれませんが、それは過去の話です。

年々前倒しが進み、今では、ゴールデンウィークから夏休みがピークになっています。ゴールデンウィークや夏休みに帰省したときに、祖父母と一緒に子供本人が選ぶという買い方が増えているようです。

ランドセル市場の規模は400億円~500億円と言われますが、そこに30社以上のメーカーがひしめく激戦区です。ランドセルは2つ要りませんので、先に買ってもらわなければなりません。そこで、商戦の前倒しが進んできました。

また、前述した多色化に加え、大型化や軽量化などの競争が進んでいます。さらに、「天使の羽根」(セイバン)や、「フィットちゃん」(ハシモト)、「ふわりぃ」(協和)などのように、背負い心地などの付加価値がブランド化しつつあります。

単価が上昇し市場が活性化する一方で、「家計が苦しくランドセルを買う負担が大きい」という家庭もあります。上記の大手メーカー協和では、その声に応え、25,000円の低価格商品を開発しました。同社はまた、東日本大震災など被災地の子どもたちにランドセルを贈る活動を現在も続けています。

下原 一晃

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下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。