ロボットブームの背景には技術革新と労働力人口減。この困難を乗り越えるカギとなる意外な企業

最近のロボットやAI(人工知能)ブームを見てどのようにお感じでしょうか。技術革新が進んだためにロボットが実用化される場面が増えてきたのではとお考えの方も多いかもしれません。

確かにそうした側面もあるでしょう。その一方で、先進国を中心に労働力人口が減り、ロボットを活用しないことには経済規模を維持できない国も出てくるのではないでしょうか。今回はデータをもとに未来を俯瞰し、どのような企業が活躍する社会となるのかについて考えてみます。

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中国の労働力人口も将来は現状の半分に

人口の高齢化に加え、今後人口が減少するという事実は多くの日本人が知るところです。国連の将来予測を見てみると、日本の労働力人口(15歳から64歳まで)は2015年に約7,700万人だったものが、2050年には約5,500万人、2100年には約4,300万人にまで減少してしまいます。日本が製造業で同じ生産量を維持しようとしても、人間という働き手は減少していくため機械の助けを借りるほかありません。

また、地域によってはサービス業においても人手が足りないという場面もあるでしょう。ロボットが必要なのは生産現場だけではありません。接客や介護などのサービス業にも必要なのです。これらはいわゆる産業用ロボットというカテゴリです。日本人の多くが知る「ペッパー君」も使い方次第では産業用ロボット言えるでしょう。

労働力人口が減少するのは日本だけではありません。日本と同様に製造業が経済の基盤を支えているドイツでも同じような現象が起きています。ドイツの2015年の労働力人口は約5,300万人ですが、2050年には約5,100万人、2100年には約3,300万人まで減少する見通しです。

また、人口が多く世界の製造業の中心となった中国でも同様です。2015年の労働力人口は約10億人!ですが、2050年には約7億9,400万人、2100年には約5億3,000万にまで減少してしまいます。35年後に労働力人口が約半分になるという状況は実感としてピンと来ないかもしれませんが、労働力人口が半分になってしまうような状況では現在の産業構造は当然維持はできないでしょう。

各国は前向きのようで防戦の色合いもあるロボット化

労働力人口が減少する一方で現在の競争力のある産業を将来も維持したいと考える国々では、労働力人口の減少を補いつつ効率性を高めるためにロボットを導入しようとしているのです。つまり、ロボットブームはブームで終わるようなものではなく、トレンド(潮流)にすらなりそうな勢いを持っていると言えます。

話はそれますが、AIも最近頻繁に取り上げられるテーマではないでしょうか。AIもどのように使われるのかといえば、すでに具体的なソリューションとして話題に上るのがコールセンターなどの労働集約的な職場への導入です。様々な状況で顧客がコールセンターに電話をかけてきますが、それらに機械が効率的かつ的確に対応するというものです。労働集約的な現場をテクノロジーで効率的な運用に変えることは、経営者の多くが望んでいることでしょう。

このように、ロボット化・機械化というテーマは、効率化が目的という側面があると同時に現在の産業を維持するための一つの回答であるということが分かります。

世界には何台のロボットが存在するのか

国際ロボット連盟のデータによれば、産業用ロボット(マニピュレーティングロボット)は2014年に148万台稼働しています。1985年には約14万台でしたので、30年で10倍近い規模になったということです。

では、どこの国で最も産業用ロボットが活用されているのでしょうか。第1位は日本です。第2位は米国、第3位は中国となっています。

ところが、稼働するロボット数の推移を時系列で見ていくと面白いことが分かります。日本は2000年をピークにその後は減少しています。産業の空洞化とともに国内製造業の競争優位性の低下などが叫ばれて久しいですが、産業用ロボットの稼働台数からはそうしたことも推測できます。

その一方で、中国と米国がその稼働数を大きく増加させています。中国で製造業が盛んになってきた経緯は多くの人が知るところでしょうが、米国の状況は非常に興味深いですね。

現在、トランプ大統領が製造業回帰だといって、メキシコに工場を作ろうとする企業には容赦なく非難を浴びせていますが、米国は実はロボットに10年以上前からしっかりを投資をするなど、製造業にコミットしてきていると言えます。今後の製造業の就労人口がどのように推移するのかは見ものですが、米国はロボットを積極的に取り入れる国だと言えます。

ロボットで恩恵を受ける企業とは?

産業用ロボットの需要と稼動規模が拡大しているのをご理解いただけたと思います。では、どのような企業がこのトレンドを支え、今後業績を拡大していく可能性があるのでしょうか。

  • 安川電機(6506):産業用ロボット大手、モーターやインバーターなどの基幹部品にも強い
  • ファナック(6954):産業用ロボット大手、黄色いロボットで有名
  • キーエンス(6861):工場自動化(FA)のセンサー大手、ファブレス企業として収益率が高い
  • 不二越(6474):産業用ロボット大手、溶接やハンドリングに強く大手自動車メーカーの信頼が厚い
  • ナブテスコ(6268):産業用ロボットに必ず必要な減速機でグローバルシェアが大きい

まとめ

いかがでしたでしょうか。このようにロボットに関係する日本企業は多く、かつグローバル市場でのシェアが高い企業も多くあります。

ロボット化は一時のブームではなく、労働力人口減少といった各国の人口動態を背景とした流れだとすれば、長期投資のテーマともなりえます。ぜひ、今後もじっくりロボット化のトレンドに乗れるような銘柄をポートフォリオにして長期投資に臨みたいものですね。

投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。