これを見ると、ソニーやNECの営業利益は約20年で半分程度にまで減少、三井物産は3分の1程度にまで減少しています。各社は業績悪化や一時的な損失の膨らみなどがあり、収益体質が構造的に悪化したとは言い切れない部分がありますが、安定的に成長しているとも言えない現実があります。

余談ですが、ソニーの過去最高益(営業利益)は1998年3月期の約5,200億円で、以降この水準に到達することはありませんでした。現在も回復の途上にあります。

ANAホールディングスも、1998年3月期の営業利益水準が極端に低かったために大きく拡大しているように見えますが、過去の業績推移を追うとそのブレが非常に大きいことがわかります。安定的な利益成長を追求するのは難しい業界です。

その一方で、安定的に営業利益を伸ばしてきたのがNTTです。様々なICT環境の変化を上手く切り抜けてきたと言えるでしょう。また、電通も業績のブレはありつつも利益成長を実現しています。

ただ、人気企業ランキングの会社には業績面で悪化した企業だけではなく、さらに悲惨な状況を迎えた企業もあります。日本航空は2010年に会社更生法を申請し、同年に上場廃止となっています(2012年に再上場)。ベネッセホールディングスも個人情報漏洩によって業績が大きく悪化しました。信頼の回復には時間がかかっているようです。

こうしたことは就職活動をする大学生だけではなく、その企業に勤務する人にも計り知れないことですが、20年という時間軸では、何が起きても不思議ではありません。会社に頼り切らない人生設計が必要ですね。

人気企業の株価はどうか

ここまで業績を見てきましたが、次に見方を変えて人気企業の株価について見てみましょう。株価と業績は必ずしも連動はしませんが、資本市場の評価からは、投資のプロがその企業をどのように見ているかが理解できます。

ここではソニー、NEC、NTT、ANA、三井物産を取り上げます。電通は2001年11月の上場なので外しました。1998年3月末の株価を100とし、2017年3月17日終値の株価指数がどうだったかを示したのが図表2です。

結果を見ると、5銘柄中4銘柄が100を割っており、NECは約20年で株価が5分の1程度まで下落してしまいました。そのほかにもソニーは約40%下落、ANAも約50%下落しています。

三井物産は先ほど業績が悪化した点について触れましたが、株価は約2倍になっています。20年前を思い出すと、今では信じられませんが「商社不要論」なるものもありました。しかしその後、商社はエネルギー向けなどの投資事業を拡大させています。

図表2

株価パフォーマンスだけを見ると、人気企業に関しては株式投資で保有するというよりは、長期投資の観点からはむしろ保有しない方が良いという考え方もあるかもしれません。

大学生に人気の企業に関してのショートポジションのポートフォリオというのはありかもしれません。ただし、ここまで長期にショートポジションを構えるというのも難しいですが。

まとめ

いかがでしたでしょうか。就職活動中の皆さんは、人気ランキングをあまり意識しすぎても良いことばかりではないというのがおわかりでしょう。たとえ人気ランキングで上位の企業に就職できたとしても、その後20年という時間軸ではどのような運命をたどるかは見通せません。

目の前の就職活動をやり切るとともに、自分の強みを伸ばせるような生き方を突き詰めるということも考えておくとよさそうです。

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青山 諭志