やはり主戦場はここ! 刺激とビジネスチャンスに溢れるアジアの今

多様性ある未成熟なマーケットが新しいビジネスを生む

Ovchinnikova Irina / Shutterstock.com

長らく経済停滞が続く日本では、「アジアの成長を取り込む」と言われるなど、アジア地域が注目されてきました。

では、最近はどうでしょうか。中国・インド等、新興国経済の不安材料等が報道され、これまでのブームの揺り戻しでアジアへの関心は薄れているのかもしれません。あるいは、アジアは当たり前になってきて新鮮味がなくなってきているのかもしれません。

しかし、アジアにどっぷり浸っていると、アジアはますます有望な地域だと感じます。日本人として、当面10年間、世界のどこがビジネスの主戦場となるかを考えれば、やはり世界の成長センターと目されるアジア地域は有力です。

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そんな地域だからこそ、あらゆる業界で働く若い日本人ビジネスマンはいつアジア地域に転勤になってもおかしくありません。また、起業家の方であればアジアでの起業やアジア拠点の設置も視野に入ってくるのではないでしょうか。

このような観点から、改めてアジアの将来性を再考したいと思います。

アジアはもはや米国に匹敵する経済規模

アジア経済の規模感を客観的に把握するために、以下に2つのデータを挙げます。ここから、日本が長期不況に陥っている間に急成長したアジア経済を実感できるのではないでしょうか。

  • 名目GDP規模は、米国16兆ドル、欧州22兆ドル、アジア(除く日本)17兆ドル。アジアは米国に匹敵し、その経済規模はかなり大きなものになっています。
  • Fortune Global 500企業(2016年発表)のうち3分の1をアジア企業が占めるようになっています。

さらに成長するアジア地域

当面、アジアはこの地球上で数少ない成長地域です。2030 年までの世界経済予測では新興国(インド・中国・ASEAN)主導で成長するとされています。

この調子でいくと、2025 年前後に日本はインドやASEANに追い越されてしまいます。そして2030 年までに名目GDP規模では米中が逆転するとも予想されています。

注目される広域メコン地域では、ベトナムは製造業のオフショア拠点としてしばらく外国投資の流れが続きそうです。また、後発のミャンマーはアジア最後のフロンティアとも言われ、インフラ整備等の課題は山積ですが、少しずつ前進しているように見えます。

経済成長を支えるタフな人々

アジアで長年仕事をしていると、アジア人、特に、華僑や印僑には健全なアニマルスピリット(血気盛んな精神)と狼の精神(always hungry, always hunting)があり、それがグローバルな人的ネットワークでつながっていると実感します。

おそらく、こうしたタフなビジネスマンがアジアの経済成長を支えているのでしょう。

日本政府によるインフラ整備支援

2016年9月、アジア最後のフロンティア、ミャンマーでは日本政府の円借款(1,250億円、期間40年、年0.01%)が発表されました。

日本政府は、一貫してインフラ整備により日系企業のアジアビジネス、特にASEANビジネスを後押ししています。安倍政権は価値観外交と称して中国包囲網外交を断行しており、その旗印は「平和と繁栄」です。

これが実現すれば、アジアの中でも特にASEANは日本人にとって中長期的に最も生活・仕事しやすい地域の一つとなるでしょう。

ビジネス現場での問題は市場の複雑さ

具体的にアジアでビジネスを始めようとすると、経済圏別にマーケットが複雑なことが問題になります。

まず、アジアには多くの中規模経済圏が存在します。1,000万人経済圏:7、100万人〜1,000万人経済圏:244、50万人〜100万人経済圏:195です。なお、人口100万人都市の数は、アジア251、米国51、欧州45で、アジアは欧米の2.6倍となっています。この経済圏別に特徴のあるマーケットが存在します。

さらに、最近のアジアの新たな複雑性(New Complexity)として、デジタルと消費者革命、メイド・イン・チャイナの終焉、中国のグローバル化、アジア経済圏(AEC)等も指摘されています。

逆に言えば、こうした複雑なマーケットを熟知できれば、それは強みになります。一例としてDennis社(中国河南省)の事例をご紹介します。

同社は33のハイパーマーケットと118のコンビニを河南省で運営していますが、2015年に広東省深圳市にてオンラインショッピングの消費者動向調査を行ったところ、デジタル化の遅れが明らかになりました。

小売におけるオンライン取引の割合は、欧州7.8%、中国7.2%、US 5.8%、シンガポール4.5%に対し、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムで1%以下です。スマートフォン保有率も、中国71%、タイ49%に対し、インドネシア23%、インド18%、フィリピン15%と低めで、そこに同社はビジネス機会を認識し、突破口にしました。

このように、アジアでは複雑なマーケットに対峙していかなくてはなりませんが、その多様性がアジアの魅力の一つでもあります。

こうした多様性やマーケットの未成熟さの中から、何か新しいビジネスが生まれてくる予感に満ちたアジア。この地域と関わる多くの日本人は、すでにこの魅力を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

大場 由幸

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大場 由幸

新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学(元Helsinki School of Economics)Executive MBA取得。
専門は新興国における中小企業金融、中堅・中小企業のアジア戦略・財務。
中小企業金融公庫(神戸支店、宇都宮支店、本店国際デスク)、在ベトナム日本国大使館 専門調査員、UFJ総合研究所 国際本部チーフコンサルタント、東京中小企業投資育成 アジアデスク統括マネジャー、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長を経て、2012年12月、マレーシア(ジョホールバル市)へ。現在、新興アジア諸国にて地場中堅・中小企業/起業家向け金融支援プロジェクト、戦略コンサルティング等に従事。