生活習慣病と貧乏は同じ?

少し前の話だが、毎日深夜まで働き、その後お好み焼きを食べに行き、お好み焼きには必ず餅とチーズをトッピングする人が知り合いにいた。説明するまでもないがそんな食べ方をするその人はとんでもなく太っていて、健康診断では毎度医者から大目玉を食らっていたようだ。

その頃の彼の生活はあまりにも不健康すぎたが、不健康な取り組みも毎日目の前で繰り返されると本人はおろか周囲にとっても次第にそれが当たり前になっていく。気が付けば彼が不健康であることを誰も不自然に思わないというとんでもない状況が成り立っていた。

その頃の彼は生活習慣を改めようなどと考えるそぶりもなかった。しかし数年後、見違えるようにやせて健康そうになった彼に再会したとき「こんなに人間変われるのか」と驚いたものだ。一体どういう心境の変化か?と訝しがると、彼はぽつりとつぶやいた。

「人間、心底『死ぬ』と思うまで何もしないもんだな」

つまり、本当にもうダメだと自覚せざるを得ない事実を目の当たりにして、死に物狂いで改めた、ということらしい。ただ、これは運良くなんとかなった、あるいは死に物狂いでなんとかした、という人だけが言えるセリフだ。多くの人は、どうにもならないか、何をどうしていいのかわからず、ただ茫然としているうちに時だけが過ぎていくのではないか。

一つ一つは大した問題ではないけれど、積み重なることでじわりじわりと蝕まれ、気づけばのっぴきならないところまで来ている。それが生活習慣病というものなのだろう。

前置きが長くなったが、もし「貧乏」も生活習慣病と同じだとすればどうだろうか。『貧乏は必ず治る。』の著者である桜川真一氏は、貧乏は考え方や行動の癖からくる生活習慣病であり、今は「隠れ貧乏」であってもいつか必ず発症するとその著書で述べている。

貧乏な人とお金持ちの違いは日常生活での行動や考え方に表れる

桜川氏は兄の会社が倒産したことで3億円の保証人問題に向き合わざるを得なくなる。さらに、父親から譲り受けたビルに入居していた会社の社長が家賃を払わず夜逃げしたり、お金を貸していた友人が生活保護になったり、実家から大金を盗まれたりと、一気に貧乏が引き寄せられたという。まさに「死に直面している状況」だ。

しかし、桜川氏はここから貧乏を脱却してお金持ちになる方法を必死に探す。貧乏人とお金持ちの行動や考え方にどのような違いがあるのかと考え抜いた結果、死に物狂いで死地から生還したのだ。今では逆に3億円の資産を持つまでになっているという。

では、桜川氏が気づいた貧乏人とお金持ちの違いとは何だったのか。そのヒントは日常生活の中にあるという。本書は、生活習慣病が生活習慣の見直しで改善する、あるいは発症を未然に防げるのと同様に、貧乏も生活のちょっとした習慣を改めることで治っていくと指摘する。

本書では具体的に「割り算か掛け算か」「占いを信じるか神を信じるか」など、40項目に分けて貧乏な人とお金持ちの行動や考え方の違いをあげ、貧乏につながる理由、お金持ちになっていく理由が明瞭に語られる。

身につまされるのは、貧乏人には「後回し」や「言い訳」が多いという点だ。「明日からがんばる」「向いていない」「面倒だからやりたくない」――今、生活習慣病でなくても、当座のお金に困っていなくても、普段から似たようなことを言っていないだろうか。

喫煙、飲酒、食生活、運動不足など、さまざまな日常生活の悪癖が積み重なって生活習慣病を発症するように、日頃のお金に関する悪癖が積み重なることで貧乏を発症するとするなら、そうならないように予防しておきたいものだ。

あなたも今のうちにお金の生活習慣病チェックで改善点がないか調べてみてはいかがだろうか。

貧乏は必ず治る。

LIMO編集部