先週は為替市場には大きな動きがなかったものの、3月21日に米国株式市場で200ドルを越す値下がりが発生し、昨年11月のトランプ氏の大統領選勝利後で一番の下げとなりました。株の下落は1日で終了しましたが、米国株の値下がりとともにドルの相対的な強さを表すドルインデックスも下落し、1月末に付けた安値水準に到達しました。

トランプ相場を牽引した株とドルの上昇がここにきて遂に崩れてしまうのでしょうか? トランプ政権の政策実行力そしてドルインデックスの行方に注目です。

先週の為替動向振り返り

3月10日に雇用統計、15日のFOMC後に金利引き上げと、大きなイベントが続いた3月ですが、先週は久しぶりにこれといったイベントのない週となりました。イベントのない週は為替市場に方向性が出ないケースが多いのですが、今回もドル円が多少円高に向かった程度で、各主要通貨ともに大きな値動きのない展開となりました。

為替市場に大きな動きはなかったものの、株式市場は21日にダウ平均が200ドルを超える下げを見せました。昨年10月のトランプ大統領当選以降、初めてとなる大きな下げとなり、既に割高感も言われているアメリカ市場で遂に調整入りの可能性が取り沙汰されました。

ただし、翌22日以降のアメリカ株式市場は小康状態を保っており、大きな下げが続くような事態にまでは陥っていません。

米国株の下落に金価格およびドルインデックスが反応

21日の米国株の下落に反応したのは金価格およびドルインデックスです。既に12日の週より上昇を開始していた金価格ですが、21日の米国株下落にあわせ再び上昇を開始。3月上旬は下落していた金価格ですが、2週間の上昇でほぼ3月のスタート時点の価格にまで戻すこととなりました。

また、ドルの強さを表すドルインデックスが21日に大きく下落しました。21日の下落で1月末につけた安値水準に到達しており、今後再度反発するか、下方ブレイクするか、重要な価格に位置しています。

トランプ相場は米国株の上昇とドルの上昇がセットで発生しており、米国株の上昇と同じようにドルインデックスも上昇していましたが、今後ドルインデックスが下落トレンド入りするようであれば、金融市場は少なくともトランプ相場モードが終了ということになります。

今週の為替見通し

ドルインデックスが重要な値位置にありますが、先週の株式市場下落の原因となったトランプ政権によるオバマケア代替法案は25日に取り下げとなっています。

オバマケア代替法案が可決されればドル高、否決されればドル安と言われていましたが、取り下げによってイベントが1つなくなることとなりました。この法案取り下げが金融市場にどのような影響を与えるのか、週前半の注目点となります。

そんな中で、注目すべき値位置に到達しているドルインデックスが下方ブレイクすれば、主要通貨ではドル円は下落(円高)に、ユーロドルは上昇のトレンド入りする可能性が高くなります。

また、29日にはイギリスが正式にEUに対し離脱を宣告します。EU離脱に向け長く厳しい交渉がスタートしますが、宣告後のポンドは再び下落に向かっていくのか、それとも材料出尽くしで上昇に向かうのか、その値動きにも注目したいと思います。

まとめ

トランプ相場は、トランプ大統領への期待感で株とドルが上昇してきた相場と言えます。しかしながら予算を伴う政策は、最初のオバマケア代替法案からつまづくこととなりました。今後、国境関連の政策(国境税、国境の壁建設等)、大型のインフラ投資などについてトランプ政権はその実行力を問われることとなります。

「相場は期待の中で育ち現実とともにしぼむ」と言われますが、トランプ政権の期待が現実に向かうタイミングでドルインデックスが節目の価格に到達しています。ドルインデックスの価格に注意しながら、トランプ政権の政策実行力に注目していきたいと思います。

米ドル/円の推移

LIMO編集部