【資産運用】国際分散投資、いまポートフォリオを見直すなら?

好景気のドイツが魅力、新興国・資源国を回避

昨年11月の米大統領選後から始まったトランプラリー。ただ、最近は熱狂に沸いた米国株式市場にも陰りが見え始めています。たとえば、3月24日現在の月初来の騰落率をみると、ダウ平均が1.2%下落、S&P500が0.8%下落と苦戦しており、大統領選後で初めて月次ベースでのパフォーマンスがマイナスとなりそうな雲行きです。

株式市場の変調で短期的なポートフォリオの見直しを検討されている方もあるかと思います。今回は、便宜的に昨年末にポートフォリオを見直したと仮定し、四半期末を迎えている現在、その後の市場環境の変化などを踏まえると、どのような変更が適当となりそうなのかを検討してみました。

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なお、投資先は国内に限定せず、全世界を対象とした国際分散投資を想定しています。

世界経済は成長見通しに改善がうかがえず、リスクは下向き

年明け以降では、世界銀行が1月10日、国際通貨基金(IMF)が1月16日、経済協力開発機構(OECD)が3月7日にそれぞれ世界経済見通しを公表しています。各リポートでの2017年の世界成長率見通しを見ると、IMFとOECDが前回の見通しから据え置き、世界銀行は0.1%ポイント下方修正となっています。

総じて見ると世界全体の成長見通しが改善している様子はうかがえず、むしろ当初の見通しを達成できない恐れがありそうです。IMFは世界経済のリスクは“下向き”としており、保護主義的な政策や金融情勢の引き締まり、地政学的な緊張の高まりなどをリスク要因として挙げています。

3月18日に閉幕した20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)では、これまでの共同声明にあった「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との文言が削除されました。IMFが危惧する保護主義の動きが強まっている模様です。

3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では昨年12月に続いて利上げが実施されたほか、4月からはECBによる資産購入規模が3月までの月額800億ユーロから月額600億ユーロへと縮小されます。

また、日銀は国債保有残高の増加目途を「年間で約80兆円ペース」に据え置いていますが、実際の購入ペースは目標を下回っており、3月24日には8年ぶりに保有国債の売却も実施しています。こうした動きから、金融情勢は引き締まる方向にあると言えそうです。

さらに、4月から5月にかけて仏大統領選挙が実施されますが、3月22日にはロンドンでテロ事件が発生しており、地政学的な緊張も高まっている模様です。

以上を踏まえると、当面のポートフォリオの見直しはリスクオフが基本となりそうです。株式のみでのポートフォリオであれば、リスクの高い新興国を避けて、より安全とされる先進国への資金シフトが推奨されると見られます。

ドイツに期待、日本は円高を警戒、資源国を回避

先進国で最も高いパフォーマンスが期待できそうなのがドイツです。

ドイツの2月消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.2%上昇していますが、ECBの量的緩和の影響でドイツ国債の利回りは5年物でマイナス0.3%、10年物でもプラス0.4%となっており、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は大幅なマイナス圏にあります。

ECBはテーパリングを模索中とはいえ、ギリシャやイタリアといった金融システムに不安のある国を抱えており、政治面では仏大統領選やドイツ総選挙を控えて動きづらい状況にあります。したがって、好景気にもかかわらず、ドイツでは大幅な実質マイナス金利が維持される公算が大きく、その分景気の下振れリスクも小さいと言えそうです。

米国に目を向けると、米連邦準備理事会(FRB)が自信を持って利上げをしている割には、景気はそれほどよくありません。3月24日現在のGDPナウによると、1-3月期の米GDP成長率は前期比年率で1.0%と予想されています。

また、3月24日には医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案、通称トランプケアの下院での採決が見送られ、法案が撤回されました。税制改革や規制改革など他の重要な経済政策に着手できると歓迎する向きもありますが、選挙公約の目玉となる法案で共和党内での賛成を集められなかったことから、政権の求心力低下を危惧する声も少なくありません。

日本はどうかというと、低成長・低インフレの状態から大きな変化は見込めない中で、G20で反保護主義が削除されたことは最近貿易黒字が定着しつつある日本にとって逆風と言えそうです。

トランプ政権は日本の対米貿易黒字を問題視しており、トランプ大統領も「日本は為替操作して通貨安に誘導している」と批判しています。こうした中で、4月中旬には米財務省から為替報告書が公表され、時を同じくして、2月の日米首脳会談で新設された「日米経済対話」の初会合も予定されています。

日本は既に為替操作の“監視対象”となっていることもあり、これらの政治的なイベントは円高リスクとして警戒する必要がありそうです。

当面はリスクオフを想定していますので、リスクの高い新興国への投資は避けるのが基本的な考え方となります。特に、OPECの減産合意で上昇していた原油価格が反落していますので、ブラジルやロシア、南アフリカといった資源国への投資は慎重にならざるを得ません。

一方、原油価格の下落は石油の消費国には恩恵となります。ポートフォリオにどうしても新興国を入れたいのであれば、経済が好調なインドが候補となるかもしれません。ただ、同じ消費国と言っても不良債権問題で金融システムが不安視されている中国はお勧めできません。

四半期ごとの見直し、今回はリスク回避がお勧め

少なくとも年に一度、できれば四半期ごとに、既存のポートフォリオが想定の範囲内で運用でされているのかどうかをチェックすることは大切です。

世界的な株価の上昇を受けて、昨年末に見直されたポートフォリオでは積極的にリスクを取ることにした投資家の方も少なくないかと思います。ただ、最近の市場環境の変化を踏まえると、リスク選好的なスタンスの継続はお勧めきません。リスクは中立に戻す、もしくはやや回避的なスタンスが適当となるのかもしれません。

投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。