「iDeCo(イデコ)」の魅力は掛け金がそのまま所得控除される節税効果

4月になりました。駅などで社会人デビューしたばかりの人たちを見ると、頑張ってほしいと思います。一方で、そのような若い人たちの間で、「老後の資産形成が心配」という声が増えているようです。

公的年金が縮小傾向にあることから、何らかの準備をする必要があるといえます。ただし、では何から始めればいいのかと言われると、悩む人もいるでしょう。

最近ではさまざまな資産形成の選択肢がありますが、その中でも、まず検討したいのが個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」です。これまでは自営業者や、勤務先に企業年金がない人しか個人型確定拠出年金を利用することができませんでしたが、2017年1月からは企業年金の加入者や公務員、専業主婦なども個人型確定拠出年金iDeCoを利用できるようになりました。

iDeCo活用のメリットは、節税効果が大きいことです。掛け金の全額を所得控除できることに加え、利子や配当などの運用益に対する源泉分離課税等もありません。

一般的な会社員で、課税所得金額が330万円超695万円以下の場合、税率は20%です。iDeCoを利用して、毎月23,000円を掛け金にした場合、年間の税の効果(軽減)額は55,200円にもなります。これほどのリターンを出せるような金融商品はありません。

iDeCoは早く始めるほど、メリットが大きい

iDeCoは、前述したように、毎月拠出する掛金が全額所得控除の対象となります。さらに、運用するときの運用益も非課税で、受け取るときは「公的年金等控除」、「退職所得控除」の対象になります。

「運用益も非課税」というと、「NISA(少額投資非課税制度)」を思い浮かべる人もいるでしょう。iDeCoとNISAはどう違うのでしょうか。

NISAでは、NISA口座で購入した上場株式や株式投資信託などの配当金および売買益などが非課税になります。また、NISAは買付代金の上限(年間120万円)および非課税期間の上限(最大5年間)があります。

2018年1月からは新たに「積立NISA」がスタートする予定です。積立NISAでは、毎年40万円までの投資額にかかる運用益が最長20年非課税になります。

ただし、NISAで非課税になるのはあくまでも運用益であり、iDeCoのように、拠出する掛け金そのものが控除の対象になるわけではありません。つまり、NISAは運用益が出るまでそのメリットを享受できませんが、iDeCoは掛け金を拠出したときからすぐに節税になります。

その点では、iDeCoは早く始めるほど、メリットが大きいと言えます。

制度の特徴を理解し、複数の資産形成を組み合わせる

魅力の大きいiDeCoですが、注意すべき点もあります。それは、原則60歳まで資産を引き出すことができないことです。

ですから、子どもの教育資金や住宅購入の頭金のために引き出して使うといったことができません。そのような目的の資金を作るのであれば、NISAのほうが適しています。

iDeCo、NISAの選択に限らず、資産形成は必要な資金の「備え」のために行うものです。iDeCoも、それだけで老後の生活が安心できるというものではなく、公的年金の不足分を補うためのものです。「iDeCoかNISAか」という二者択一ではなく、自分のライフスタイル像に応じて、複数の資産形成を組み合わせていくといいでしょう。

若い人の中には「まだ資産形成にお金を回す余裕がない」という場合も多いでしょうが、毎月5,000円、1万円からでも始めると「時間(複利)」を味方にできます。社会人デビューした人にこそ、資産形成を考えてほしいと思います。

 

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下原 一晃