【本当?】ユニクロはトランプ政策次第で米国撤退か

付加価値を高める事業モデルの実験場にしてはどうか

Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com

柳井氏、トランプ政策次第では米国事業撤退も

各種報道によれば、2017年3月29日、ファーストリテイリング(9983)の柳井正代表取締役会長兼社長は、トランプ政権が北米に工場を作ることを要求するなどの政策を取る場合には、北米事業の撤退もありえると発言しています。

トランプ政権は米国の雇用拡大に寄与する企業を歓迎する姿勢で、海外からの輸入品に対しては国境調整を行う方針です。北米事業を強化する立ち位置にある同社にとって、いまから米国に工場をつくるのは割が合わないと判断しても不思議はありません。柳井氏の発言はもっともな発言と言えるでしょう。

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ユニクロの米国事業は苦戦中

同社のユニクロ米国事業は現在力を入れつつある段階であり、利益を伴った成長期には入っていません。米国の店舗数は2015年8月に42店舗、2016年8月に45店舗、2016年11月に49店舗ですが、海外ユニクロ事業は1,000店舗を超えており、米国のウエイトはまだまだです。

IR資料によれば、収益はまだ厳しいといえます。2016年8月期は店舗減損や除去損などもあって赤字が拡大し、2017年8月第1四半期も改善しているとはいえまだ赤字です。同社にとって米国はまだまだ費用先行の時期と言えるでしょう。

そんな局面であるからこそ、参入のハードルが高まるようなトランプ政権の政策には神経を尖らせざるを得ないと思います。

新しい付加価値モデルの実験場にしてはどうか

実際のところ、同社が競合他社と比べてトランプ大統領の政策でどの程度不利になるのかは、もう少し国境税や法人減税の内容が見えてこなければ判断が難しいと思いますが、同社が競合比有利になるという可能性は低そうです。

そうであれば、ユニクロ事業の枠の中でより一層コスト削減を進めるか、値付けを高めることで既存ビジネスの収益性を高めるという方向性が現実的でしょう。さらにいえば、ユニクロ事業とは別に、Zaraのようなファッション性を重視した事業の実験を米国で試してみる可能性もありそうです。

柳井氏はその発言とは裏腹に、実は米国事業の次の姿をすでに具体的に構想しているのではないか――筆者はこう解釈しています。

椎名 則夫

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椎名 則夫

早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券運用と法人融資に携わる。
シカゴ大学MBA取得。フィデリティ投信に入社、中小型株全般、医薬品・ヘルスケア、保険、通信、インターネットの企業調査に従事。その後モルガンスタンレー証券にて株・クレジットのリスク管理業務を行う。
日本証券アナリスト協会検定会員、CFA。