富裕層にとって信頼できるアドバイザーとはどんな人?

「自由時間」と「何もしない」を提供できる伴走者の条件とは

キャピタルゲインよりインカムゲイン

富裕層と言われる方々から資産運用の相談を受けたとき、最初にお話するのは、特定の運用戦略や投資計画についてではありません。ご自身が富裕層に至るまでのプロセスを冷静に振り返っていただき、これからお金とどう向き合いたいのかを確認することです。

話を繰り返してみると、自らの努力や才覚、時の運などで作った貴重な原資を減らしたくないとの意向が強い傾向が見てとれます。

つまり、投資をする際に、大きな値上がり益(キャピタルゲイン)よりも、原資を減らさずにある程度規則性のある収入(インカムゲイン)を欲する傾向が強いということです。ただ、ここで強調したいのは傾向の話であって、キャピタルゲインを追求する投資行動が間違っているということではありません。

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経済的自由を手に入れた富裕層と言われる人たちには、資産をさらに増やすことより減らさないことの効用が大きいと判断する人が多いのだろうと推察されます。

お金より時間

さらに、インカムゲインを追求する富裕層の心理を探ってみると、「一番貴重な資産は、お金以上に時間である」との考えが紡ぎ出せます。お金は既に十分ありますが、人生における時間は減る一方だからです。十分な原資を作った中、できる限り自由な時間を増やし、その時間を経済的にサポートしてくれるインカムゲインの存在がベストな組み合わせと考えているのでしょう。

経済的な自由を手に入れたはずの富裕層は、外から見れば、悠々自適でゆったりとした時間を過ごしている人がほとんどであると思われています。

しかし、実際には、周りはそっとしておいてくれません。まず、金融機関が放っておかないでしょう。また、富裕層自身に相談したい、その方の持つネットワークを紹介してほしい、というリクエストもたくさん来ます。色々なところから電話がひっきりなしにかかってくるのです。

私は、富裕層の方々とお話しする時、「お金以上に時間の価値が遥かに大きいですよね?」と何度も確認します。同時に、様々なアプローチをかけてくる外部の人たちのリクエストを全部受け入れる必要はないとお伝えします。

なぜなら、外部の人たちは「アプローチする選択肢」を選んだわけですが、それは富裕層の方が自ら欲したわけではありません。言い方は冷たいですが、事実として外部で勝手に選択肢が発生したまでです。受け手側がそのアプローチに応えないというのも、フェアな選択肢です。

これは極めてシンプルな構造ではありますが、富裕層の方々は他人から頼りにされることが非常に多く、また頼られると応えたくなる性分なので、なかなか難しい選択肢なのです。富裕層顧客の「自由時間」を創造するには、クオリティの高いインカムゲインの提案だけではなく、その投資を実施する本当の狙いを伝え続けられるアドバイザーが必要です。

組織より個人

また、富裕層のもう一つの選択肢として重要なのが、「何もしない」ことです。一切何もしないという意味ではなく、「来るべきタイミングに備えて、流動性資金を準備して待つ」ということです。

言うは易しですが、実際に行動を移すとなると、自ら良いタイミングで投資の意思決定をすることは困難です。日本人の真面目さは投資行動にも現れます。「余剰資金があるなら、そのまま遊ばせておくのはもったいない」と考える人が多いのです。

そこで、ここでも外部の金融プロフェッショナルが必要です。投資家のペースを熟知した伴走者となるプロフェッショナルのことです。

しかも、そのプロは、組織に所属していたとしてもノルマがない(ノルマがあれば、顧客に理想的なタイミングでの提案などそもそも無理でしょう)、また、組織に縛られた経済状況ではない、つまり自身も経済的自由があること(自身も富裕層である、または妻や夫に十分な安定した所得があるなど)が必須です。

プロフェショナルアドバイザーを選別する際には、所属する金融機関の名前ではなく、アドバイザー個人として頼りになるのかという吟味が必要です。「俺のところには外資系の○○銀行が出入りしているんだぞ。すごいだろ」というような満足感を得たいというニーズも理解できます。そのような選択肢も否定しません。

入り口はそれでも良いですが、やはり個人を見るべきです。そのプロフェッショナルの置かれた状況(ノルマの存在や経済状態)とともに、投資経験(業務経験や金融商品の知識についてだけではありません)を知ることで、富裕層顧客の伴走者として適任かどうか、相当程度の吟味が可能になります。

信頼できる人間性はもとより、経済的に安定性を有し、自身も投資家としての経験(成功も失敗も)が豊富なアドバイザーを探してみてください。それこそが富裕層が投資を実行する前にしなければならないことです。

本当に信頼できるアドバイザーであれば、周りが盛り上がっている時に、「まあまあまあ」と過熱相場への参加をたしなめてくれるでしょうし、周りが慌てふためく下落相場が形成される時に冷静な買い場をアドバイスしてくれることでしょう。

株価もかなり上昇し、不動産市場への追加投資もなかなか難しくなった今は、ひと休みして信頼できるアドバイザーを探すには絶好のタイミングではないでしょうか。

ピクテ投信投資顧問株式会社 小田嶋 康博

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小田嶋 康博

金融系ベンチャー企業を経て、イギリス系大手ヘッジファンドであるマン・グループにて、東京、チューリッヒ、ロンドンで勤務後、ピクテに入社。
ピクテでは、従来型のディストリビューションモデルと異なる戦略立案及び営業活動を担当。 特に富裕層向けビジネスモデルの構築、並びにネットチャネル経由のビジネスモデル構築及び促進に向け販売会社とのコラボレーション施策の開発に従事。
慶應義塾大学入学後渡米し、ニューヨーク州立大学経営学士取得。