冴えない新年度相場

4月に入りましたが、日本株はなかなか反騰のきっかけがつかめません。米国でトランプラリーに息切れ感が出ているうえ、日本株は円高懸念や景況感が頭打ちであることを日銀短観で見てしまいました。3月末決算を月末に控え、日銀からも新しい相場への援軍が出ていませんので手詰まり感が強まっていると思います。

このように、不透明感が漂い、やや冴えない投資環境ですが、個人投資家の売買動向を投資信託の売れ筋から探ってみます。冴えないときこそ、外部環境に左右されにくく、個別企業の成長期待が株価形成に大きな役割を果たす中小型株に人気が出ているのか、SBI証券の投信販売ランキング(2017年3月27日-3月31日)で検証してみましょう。

SBI証券の投信販売ランキング(2017年3月27日-3月31日)

では、ランキングを見てみましょう。

1位 レオス-ひふみプラス

2位 ニッセイ-ニッセイ日経225インデックスファンド

3位 ニッセイ-ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)

4位 ニッセイ-〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ外国株式インデックスファンド

5位 楽天-楽天日本株4.3倍ブル

6位 三菱UFJ国際-JASDAQオープン

7位 SBI-グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型)

8位 大和住銀-日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)

9位 三菱UFJ国際-ワールド・リート・オープン(毎月決算型)

10位 SBI-SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ

三菱UFJ国際-JASDAQオープン、SBI-SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブがランクイン

結果を見ますと、従来とそれほど顔触れに変化はありません。ここで注目なのは6位に赤丸急上昇でランクイン(前週は87位)の三菱UFJ国際「JASDAQオープン」と前週12位からトップ10に返り咲いたSBI「SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ」の2つです。

「SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ」については、2017年3月2日の記事でもご案内しました。企業取材をベースに約50銘柄に投資する中小型株のアクティブファンドです。

直近の週次レポートによれば、組み入れ上位にはアミューズ(4301)、プレステージ・インターナショナル(4290)、ニチハ(7943)、SHOEI(7839)、前田工繊(7821)、ヒラノテクシード(6245)、エン・ジャパン(4849)、日進工具(6157)、福井コンピュータホールディングス(9790)、日本マイクロニクス(6871)が入っています。

一方の「JASDAQオープン」は、三菱UFJ国際投信が運用するJASDAQ上場株式を中心に組み入れを行うアクティブファンドです。2017年2月末の月報によれば、純資産総額は23億円で、過去3年のファンドパフォーマンスは56%とベンチマークの33%を上回っています。

58銘柄が組み入れられており、その上位の顔ぶれはエン・ジャパン(4849)、夢の街創造委員会(2484)、セリア(2782)、UTグループ(2146)、平田機工(6258)、ニュートン・フィナンシャル・コンサルティング(7169)、日本マクドナルドホールディングス(2702)、エフアンドエム(4771)、ナカニシ(7716)、モーニングスター(4765)です。

いかがでしょうか。これら2つの投信の個別の銘柄を見ると、為替や海外景気など外部環境に影響を受けにくい銘柄が並んでいると思われます。こうした物色が定着するのか、注意深くフォローしたいと思います。

最後に、ご参考までの過去5年間のTOPIX(青線)とJASDAQ(赤線)の推移をお示ししておきます。

椎名 則夫