2017年の公示地価が発表、商業地の上昇率は大阪市がトップ5を独占

国土交通省が3月21日に発表した公示地価(2017年1月1日現在)によると、商業地が+1.4%上昇(2年連続のプラス)、住宅地が+0.022%上昇(9年ぶりのプラス)、全用途が+0.4%上昇(2年連続のプラス)となりました。

今回も、大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)を中心に商業地の地価は堅調に回復していることが注目されました。特に、大阪圏の地価上昇が著しく、商業地の「上昇率」では全国上位5位全てを大阪市が占めました。

ちなみに、上昇率第1位は、道頓堀1丁目にあるフグ料理店「づぼらや」前で、直近1年間で+41.3%も上昇しました。極めて大きな上昇率と言えます。

道頓堀「づぼらや」の有名なフグ提灯

訪日外国人旅行客以上のペースで急拡大してきた来阪外客数

大阪の商業地価の上昇を支えている最大の要因は、何といっても外国人観光客の急増です。

訪日外国人観光客のうち大阪に立ち寄った「来阪外客」は、2011年158万人→2012年203万人(+28%増)→2013年263万人(+30%増)→2014年376万人(+43%増)→2015年716万人(+90%増)→2016年941万人(+31%増)と推移しています(出所:大阪観光局)。

特に、2015年以降の伸び率が急拡大していることがわかります。実際、大阪の宿泊施設は需給がひっ迫しており、ホテル代は軒並み高騰しています。

確かに、アベノミクス始動以降は日本全体への訪日外国人旅行客数が増えていますが、2012年836万人(+34%増)→2013年1,036万人(+24%増)→2014年1,341万人(+29%増)→2015年1,974万人(+47%増)→2016年2,404万人(+22%増)の推移と比較しても、来阪外客数が大幅に伸びていることは一目瞭然です(出所:日本政府観光局、観光庁)。

東京への来都外客数はやや頭打ち傾向に

ちなみに、東京に立ち寄った「来都外客」は、2012年556万人(+36%増)→2013年681万人(+22%増)→2014年887万人(+30%増)→2015年1,189万人(+34%増)→2016年1,385万人(+16%増)であり、大阪に比べると、やや頭打ち傾向が見られています(出所:東京都産業労働局、2016年は筆者推定)。

もちろん、訪日外国人観光客の中には、東京と大阪の両方に行く人も少なくないと見られますが、大阪の人気が高まっていることは間違いないでしょう。外国人観光客にとって、大阪の魅力は何でしょうか?

大阪の人気スポットは、道頓堀、大阪城、USJの3つ

前出の大阪観光局が実施した『関西国際空港 外国人動向調査結果』によれば、「訪れた場所」の第1位が道頓堀(難波、心斎橋)の71%、第2位が大阪城で60%、第3位のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)はやや差が開いて35%でした。

また、「訪れた結果おすすめしたいと思った」第1位がUSJの82%、第2位が大阪城の73%、第3位が道頓堀の72%という結果でした。

本当にザックリ言うと、この3か所の人気が突出して高く、第4位以下(通天閣、梅田スカイビル空中展望台、観覧車“HEP FIVE”など)を大きく引き離しています。

東京観光にはない“コンパクトな利便性”が人気の秘密か?

この調査結果に、大阪が人気観光地である秘密、とりわけ、東京との比較において、そのカギがあると筆者は考えます。

まず、これら人気スポットは4位以下も含めて、道頓堀を中心に集約されています。“徒歩圏にある”というのは言い過ぎですが、たとえば、午前に大阪城、午後にUSJ、夜に道頓堀というように、その気になれば1日で周ることが可能です。仮にUSJで1日丸々費やしたとしても、翌日に大阪城、通天閣、梅田スカイビル、HEP FIVEを全て周ることはまったく問題ないはずです。

このコンパクトな利便性は、東京観光では難しい、というよりも不可能と言えます。また、アジア系外国人が非常に興味を示す「城」が東京にないことも挙げられましょう。

道頓堀川沿いのランドマーク、グリコのネオンサイン

派手なランドマーク広告看板も来阪外客には大きな魅力

そして、夜の街である道頓堀にも、その秘密があります。ご存知の通り、道頓堀にはランドマーク的な広告や看板がたくさんあります。外国人観光客は、こうした派手なデコレーションが大好きと考えられます。

実際、道頓堀のグリコサイン(注:江崎グリコが設置している看板)前では、自ら“グリコポーズ”で写真に納まる来阪外客が大勢いました。また、来阪外客が長蛇の待ち行列をなしている飲食店(串カツ、ラーメン、回転寿司、たこ焼き等)は、ほぼ例外なく派手な看板を掲げています。

さらに、道頓堀から地下鉄1駅で行ける通天閣の周辺(新世界など)も、大勢の来阪外客で溢れていました。平日に通天閣の展望台エレベーターの待ち時間が90分など、以前はほとんどなかったのではないでしょうか。

現在のインバウンド・バブルをいかに維持していくか

大阪はまさに今、やや遅れてのインバウンド・バブルと言えます。しかし、その最大の魅力が“コンパクトさ”ゆえに、需要一巡となるのが意外に早まる懸念があります。

大阪府や大阪市が、いかにして来阪外客を伸ばしていくのか、また、減らさないようにするのか、今後の施策に注目したいと思います。

通天閣のある新世界の名物、串カツ

 

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LIMO編集部