この記事の読みどころ

  • 半導体需要が世界的に拡大する中で、半導体基板材料であるシリコンウエハー需要も史上最高水準を更新中です。
  • リーマンショック後初めての値上げが実現し、次の設備増強を見据えた慎重な値上げ交渉継続が予想されます。
  • SUMCO(3436)の足元のバリュエーション(株価評価)は割安とは言えないものの、今後の値上げの動向次第で業績の改善が予想され、株価が高値を取りに行く場面もありそうです。

需給ひっ迫が続く半導体ウエハー、値上げによる業績改善に期待

この2月に発表されたSUMCOの2016年12月期実績は、売上高が対前期比▲11%減、営業利益が同▲52%減、親会社株主に帰属する当期純利益が同▲67%減という減収減益決算となりました。

同社が強みを持つエピタキシャルウエハー(ロジック半導体基板用)の値下げ、また円高による利益へのネガティブ影響などが減益の要因でした。しかし、2016年3月以降、主力の300ミリウエハーの出荷が着実に回復し、第3四半期(10-12月)以降は200ミリウエハーもフル操業に転じています。

2017年12月期は、このような好環境でスタートを切っており、300ミリおよび200ミリウエハーの販売量増加と値上げという両面での効果が業績を押し上げると期待されます。

同社を取り巻く環境は、スマホの世界的ハイエンド化に伴うロジックおよびNANDフラッシュメモリー半導体の需要増加、データ通信量やストレージデータ量の激増によるメモリー需要増加、車載向け自動運転まわりの半導体需要などにより、市場拡大に拍車がかかっています。

一方、半導体ウエハー業界はリーマンショック後はいずれのメーカーも300ミリウエハーの設備増強を行っておらず、足元は半導体メーカーによる“ウエハーの争奪戦”ともいうべき状況に様変わりしています。

ウエハーメーカー側は供給能力を徐々に引き上げて対応してきましたが、このままいけば半導体の生産に大きな支障をきたす可能性すら語られ始めている状況です。

このような中、昨年末には半導体ウエハーメーカーが主に300ミリウエハーの値上げに踏み切ると報じられました。これは実に11年ぶりの値上げとなります。

シリコンウエハーの価格改定は、おおむね半年や3カ月ごと、時には毎月ごとに交渉します。半年の更新期である7月以降にはさらに値上げが進む可能性が大きいと見られ、この価格改定の動きは年内いっぱい沈静化することはなさそうです。

2017年12月期業績予想に関して、SUMCOでは四半期先までの予想のみ公表しています(現時点では第1四半期のみ)。第1四半期(1-3月)は為替予約の関係で円安恩恵はそれほど表面化していませんが、第2四半期(4-6月)以降は値上げ効果も手伝い、大幅な増益が見込まれます。

また、第3四半期(7-9月)も、さらなる値上げで損益面でのプラス効果が見込まれるため、業績見通しはいっそう厚みを増すことが予想されます。こうした強い業績内容により、株価も堅調な動きを見せるのではないかと考えられます。

本稿は「個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)」の記事のダイジェスト版です。全文は以下からどうぞ(有料記事)。
>>SUMCO(3436)の急回復が予想される今期業績から株価を読む

 

LIMO編集部