いまさら聞けない! 企業の「自己破産」ってどうなること?

「てるみくらぶ」と「Newton」の破産手続きはどう違うのか

「てるみくらぶ」が破産手続きを開始。負債額は約151億円

旅行会社の「てるみくらぶ」は3月27日、東京地裁に自己破産を申請し破産手続き開始の決定を受けたと発表しました。負債額は約151億円とされています。

「自己破産」の「自己」や「破産」とはどういう意味でしょうか。さらに、「会社が倒産する」といった表現もありますが、これとはどう違うのでしょうか。結論から言えば、「破産」は「倒産」の分類の一つです。ただし、「破産」は破産法などの法律で規定されていますが、「倒産」は、正式な法律用語ではありません。

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企業倒産については、民間調査会社の東京商工リサーチが1952年から「全国倒産動向」の集計を開始したことで一般に知られるようになったとされます。同社では倒産を次のように定義しています。

「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す。「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別され、「法的倒産」では再建型の「会社更生法」と「民事再生法」、清算型の「破産」と「特別清算」に4分類される。「私的倒産」は、「銀行取引停止」と「内整理」に分けられる。

再建型の2つの手法は「民事再生」と「会社更生」

「債務の支払不能」とは、借りているお金が返せないことです。資金繰りに窮して、これ以上会社を存続させることが難しい状態になったときに、再建型あるいは清算型の手続で法的に整理するのが倒産です。

再建型とは、その名のとおり企業が事業を継続しながら再建を図る方法です。債務の支払を延ばしたり、圧縮(減額)したりすることで、負担を減らしながら債務を弁済します。

再建型の代表的な手続が民事再生です。最近の例では、科学雑誌「Newton」を発行するニュートンプレスが2月20日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、注目されました。

実は、民事再生は2000年にスタートした比較的新しい制度です。それまでは「和議」という似た制度がありました。

民事再生では、債務者(お金を借りている側=会社側)が主体となります。債務者が再生計画案を裁判所に提出しこれが債権者集会などで可決され、裁判所に認められれば、再生計画が決まります。

また、民事再生の手続が開始されても、経営陣は引き続き経営を行なうことができます(重要事項については監督委員の同意が必要)。

再建型の制度のうち、もう一つの会社更生は、債権者数が多く、債権額も大きい大規模な企業が対象となる制度です。

破産では、すべての財産をお金に換えて債権者に分配

今回、てるみくらぶが申請した「自己破産」は、前述した分類では「清算型」の手続の一つです。ほとんどの場合、債務者が自ら支払不能や債務超過を理由に破産を裁判所に申請しますが、債権者側も破産の申請が可能です。

民事再生など再建型の手続では、会社の財産を残し、事業を行いながら債務を弁済しますが、破産の場合は、すべての財産を集めてそれをお金に換え債権者に分配します。

破産するよりも再建したほうが弁済できる額が大きくなるなら、債権者も民事再生に納得するわけですが、てるみくらぶの場合、ほとんど財産がなく、かつ、再建のめども立たないということで破産を選択したと思われます。

同社の場合、多くのホテルや交通機関への債務が支払えないことに加え、8万人~9万人にも上る顧客に対する旅行代金の返金もほとんどできない恐れがあります。

どんな企業でも経営が悪化することはあります。ただ、無理に延命せず、早期に判断していれば被害を小さく抑えることができたようにも思います。

下原 一晃

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下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。