シャープ株が今年最大の下落率に。悪いニュースはあったのか?

時価総額は既にリーマンショック前の水準にまで回復

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シャープ株が逆行安で今年最大の下落率に

2017年4月7日、日経平均は地政学的リスクが高まるなか一時急落したものの、結局は前日比+0.36%高で引けています。一方、シャープ(6753)の株価は同▲4.6%安の逆行安で、今年最大の下落率となりました。

シャープと同じ電機セクターのパナソニック(6752)は+1.58%高、日立製作所(6501)が+0.09%高、ソニー(6758)が▲0.23%安であったことを考慮すると、シャープの下げが目立ちます。

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特段の悪材料は見当たらず

とはいえ、ここ数日間シャープに関する特段の悪材料は見当たりません。

まず、4月5日には、米アップル向けなどのスマホ用カメラ部品事業を強化するため、亀山工場の従業員を4,000人に増やすことが各種メディアにより報じられています。

これは現在の約2倍、ピーク時であった2008年の約1.3倍に相当する規模で、人件費増がやや気になるところではあります。とはいえ、他工場からのシフトも含まれる可能性が高いことや、そもそも今後の事業の見通しが明るいための増強である点を考えると、悪材料というよりもむしろポジティブなニュースではないかという気がします。

また、4月4日の日経新聞では、今年の冬の賞与から算定のためにポイント制を導入することが報じられています。これは成果配分の算定に透明性を持たせ、「信賞必罰」の考えを一段と徹底することが目的です。一律に引き上げるのではなく、成果に応じて賞与が決められることになるため、このニュースも特段の悪材料には見えません。

さらに、3月31日には、国内グループ会社の全社員に「経営再建が進展した感謝のしるし」として3,000円を支給したことを各種メディアが報じています。このニュースも、コストアップ要因とはいえ総額が約6,000万円に過ぎないことや、経営再建が順調であることを示唆するものであり、悪い話ではないと思います。

心理的な節目の500円を達成、目を見張る株価の高パフォーマンス

では、足元で新たな悪材料が見当たらないなか、なぜシャープ株は売られたのでしょうか。

まず考えられる理由は、利益確定売りの増加、つまり、これまでの大幅な上昇過程で好材料が既に十分に織り込まれたと判断した投資家が、ここにきて増えてきたためではないかということです。

実際、株価や時価総額の上昇率には目を見張るものがあります。

シャープの株価は4月3日のザラバで503円を付け年初来高値を達成しており、株価上昇率は年初からは+87%、過去1年間では3.9倍となっています。

さらに、時価総額についても約2.3兆円にまで上昇しており、この水準は日立製作所(6501)の2.8兆円やパナソニックの2.5兆円をやや下回るものの、京セラ(6971)にほぼ並びます。

この2兆円超えという時価総額は、リーマンショック(金融危機)直前である2007年の水準にも相当します。当時は経営危機に陥る前であり、液晶も好調であった時代です。時価総額では既にその水準にまで回復しているのです。

ちなみに、株価は2007年の水準にはまだ遠く及びませんが(当時は2,000円を超えていました)、時価総額がその水準まで回復している理由は、2016年にホンハイグループに対して第三者割当増資を行い、株数が17億株から50億株へと約2.9倍に増加していることによります。

今後の注目点

シャープ株に限らず、株価は業績悪化局面では実態以上に下落(アンダーシュート)、回復局面ではその逆(オーバーシュート)となることがしばしば起きます。また、大幅な事業構造改革を行った企業の場合、業績が市場の予想を大幅に上回って非連続的に改善を示していくこともあります。

よって、株価の高いパフォーマンスを「根拠なき熱狂」などと決めつけず(もちろん、その可能性を完全に排除すべきではありませんが)、まずは今後の業績がどのように変化していくかを注視したいと思います。

そのために、まずは4月28日に予定されている2017年3月期の決算発表や、その後に発表予定の中期経営計画に注目していきたいと思います。

シャープの過去10年間の株価推移

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。