【就活生】父から就職活動する息子に伝えたい3つの手紙

就職活動は人生の重要な岐路の一つ

この春から本格的に就職活動を始めた大学生の息子。ここまで中学・高校・大学受験と自分の学力にあった希望する学校に進めてきたことと思う。ただ、就職活動は自分が思ったようにはいかないことの方が多いのではないだろうか。希望する会社からは内定が出ず、手持ちのリストから次々と候補企業が消えていき、いらいらすることもあるだろう。就職活動は自分の人生にとって間違いなく一つの重要な岐路となるはずだ。

〜名古屋に住む父親が横浜で大学に通う息子に贈る3通の手紙〜

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就職人気ランキングは気にするな。みんなが何に興味を持っているかを意識をしろ

就職人気ランキングは「今一番人気のある企業」が並んだリストだ。つまり、業績が好調であるなど何かしらの理由で現在注目を集め、多くの人から評価されている企業という理解でいいだろう。ただし、問題なのはそうした人気企業が本当に良い企業であるかどうかは別問題だということだ。

今では、就職してもすぐにやめてしまう人、転職する人も増えてきてはいるが、それでも数十年勤務することもあるだろう。自分が勤めている間くらいは、競合企業に対して優位性を見せつけることができ、その中で自分もサラリーマンとして勝つことを体験しながら過ごす時間が多いに越したことはない。もっとも、そんな恵まれた企業は数えるほどしかないのだが。

現代の日本は、がつがつと成長することを意識するのでさえ、なんだか知らないが煙たがられるようになったが、成長を知る世代からすれば、成長は良くないことも吸収していける面もある。ぜひ、君にはそうした会社を選んでもらいたい。

人は誰でも初めに就職をした会社には思い入れがあるものだ。できるだけ自分に合った会社を選ぶのに越したことはない。納得がいくまで多くの企業に足を運んで、自分が将来その会社にいることをイメージし、何を得ることができるのかを考え続けるのが良いと思う。

受験は受験できる数が限られているが、就職活動では幅広い業種、数多くの企業を自分の目で見て回ることができる。つらいこともあるかもしれないが、自分で調べて足を運んだだけの結果はついてくるものだ。

就職活動は最終的には内定を手にするまでのゲームだと割り切る学生もいるだろうが、いろいろな会社の人が時間を割いてくれて、君に会社のことや業界のことを教えてくれているという見方もできる。今後、新卒の一括採用はなくなっていくかもしれないが、今はその制度を十分に活用すればよいと思う。

就職人気企業ランキングも使い方によっては役に立つ。多くの学生が興味を持っている企業には何か理由があるはずだ。そこから時代や経済の背景を紐解いていくことができるからだ。

私は高度経済成長期に化学メーカーに就職したが、今では想像できないだろうが、当時は人気業種だった。それは、石油化学工業に競争優位性があったし、日本が内需を満たすため、また外貨を獲得するために必要とされる産業であったのだろう。ただ、企業や産業にも栄枯盛衰がある。今見えている状況が未来永劫続くなどと考えないほうがよい。

もっとも、子供の時からへそ曲がりの君には、ランキングにない優良企業を訪問してみることを勧めるよ。

面接では面接されるのではなく、面接官を面接するつもりで時間を過ごせ

いつの時代も変わらないが「いまどきの若者は…」というセリフをよく聞く。最近の学生は通り一遍の回答しかしない、マニュアル通りのやり取りしかできない、ということもよく言われる。

また、採用をする企業の人事担当者からも個性を出してほしいという声が多い。ただ、これは採用する側の企業にもできていないことだと言っても過言ではない。多くの企業は自分たちができていないことを会社のスローガンにしたがるものだ。できていることを目標として掲げても意味はないからな。

通り一遍の回答が悪いという風に言われるが、実はそうでないと私は考えている。それは、少なくとも多くの学生と同様に準備をしている証拠だからだ。会社に就職したらわかるが、最低限の準備もできない社員が非常に多いことが目に付くだろう。プロ意識がないと言えばそれまでだが、それが現実だ。だから、マニュアルを頭に入れていること自体は悪いことではない。ただし、問題はそこからどう自分の色を出せるかだ。基礎があった上での応用という順番だ。

面接では面接官の心をつかむポイントが必ずある。その面接官が何を求めているか、初対面でかつ限られた時間で探り当てなければならない。つまり、面接官に面接されている場合ではないのだ。面接官とやりとりしながらそのポイントを探る面接でなければならない。

これは社会人になってビジネスをするようになれば君もきっと理解してくれると思うが、ビジネスが成功するのは相手の欲しいものとこちらが提供したいものが一致した時だ。面接でも同じことが言える。

もっとも、人間観察が昔から好きだった君には大きなお世話かもしれないが。

就職活動では夢や希望は二の次。自分がどうすれば成長できるかを考えろ

就職活動で「あなたの夢や希望は何ですか」と聞かれることもあるだろう。その質問自体、否定されるものではない。ただ、そもそも夢や希望を追い求めることを許された人はそれほど多くないというのは、大学生にもなれば君も気づいているだろう。

面接官に「あなたの夢や希望は何ですか」と聞くことができるのなら、果たしてどのような回答が返ってくるのか。大人の私からしても聞いてみたいし、自分は答えることができるのか怖い気もする。手触り感のない夢や希望を口にする人よりも、どんな環境にあっても成長しようとする人、自分の強みに磨きをかける人、目の前の問題に挑戦する人の方が目標らしきものに一番近いのではないかとも思える。

であれば、君がどんな企業に就職しようとも、常に何ができるのかを考え、どう成長していけるかのほうが人生にとって大事だということになる。また、そういう環境を探し出すほうが、会社を選ぶことよりも大事だとも言える。

65歳で定年退職をしても、余生を30年近く過ごさなければならない時代になってしまった。いくつになっても新しいことに挑戦したり、好奇心を持って生きていかなければ、それこそつらい時代とも言える。であれば、若いうちからそうした環境に慣れておくというのは悪い話ではない。

もっとも、自分の好きなことしか追及してこなかった君には必要のないアドバイスかもしれないが。

正月すら実家に帰省しない君のことだから、面と向かって話す機会も少ないだろう。もし、就職活動で思い悩むようなことがあれば、この手紙に目を通してみてほしい。そして、悔いがない「今」を過ごしてほしい。

(この文章は、事実をもとに創作したフィクションです)

投信1編集部

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投信1編集部

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