2017年第1四半期のIPOは、野村證券が主幹事比率約4割でその強さを発揮した一方、ファンド傘下企業のIPOで公募割れが相次ぎました。27社がIPOを行い好調に推移した2017年第1四半期のIPO市場について振り返ります。

2017年第1四半期のIPO主幹事ランキング

IPO市場に興味があるのであれば、当然IPO投資に興味がある、もしくは既にIPO投資を手がけている方も多いのではないでしょうか。IPOの際は主幹事証券会社に最も多くIPO株が割り振られるため、主幹事数の多い証券会社に口座開設をするのがIPO投資を始める第一歩と言えるでしょう。

27社がIPOを行った2017年第1四半期の主幹事ランキングは以下の通りです。

1位 野村證券 11社
2位 大和証券 5社
3位 みずほ証券 3社
3位 SBI証券 3社
5位 SMBC日興証券 2社
6位 三菱UFJモルガン・スタンレー証券、岡三証券、東海東京証券、東洋証券 各1社

注: マクロミルが三菱UFJモルガンと大和の共同主幹事であるため、上記の合計は28となっています。

2017年第1四半期の主幹事数第1位は野村證券の11社。2位の大和証券にダブルスコア以上の差を付けての圧倒的な1位となりました。ネット系ベンチャー企業のうるる(3979)、「一風堂」の力の源ホールディングス(3561)、ファンド傘下で再上場のスシローグローバルホールディングス(3563)など幅広い企業のIPOを手がけており、さすがの存在感を発揮しています。

第2位は大和証券の5社。主幹事数は野村證券の約半分ですが、大和証券も大手証券会社として、ユーザーローカル(3984)、ファイズ(9325)といったベンチャー企業から、ファンド傘下のIPOであるマクロミル(3978)、中堅企業の日宣(6543)まで幅広く主幹事を担当しています。

第3位はみずほ証券とSBI証券が同数の3社。みずほ証券は話題の銘柄となったほぼ日(3560)の主幹事を手がけるとともに、今期初のバイオ銘柄IPOとなったソレイジア・ファーマ(4597)の主幹事も担当しています。

SBI証券はこれまで同様、ピーバンドットコム(3559)、ネットマーケティング(6175)といったネット系企業のIPOを中心に担当しています。

2017年第1四半期の主幹事数の傾向

主幹事数の傾向としては、野村證券の強さが光っているという点につきます。全27社中、11社の主幹事を手がけており、占有率は約4割です。野村證券も以前のような証券業界のガリバー的な存在ではないと言われることもありますが、2017年第1四半期の主幹事数に限って言えば、その存在感は圧倒的と言えます。

2位の大和証券は5社の主幹事を手がけ、現在もIPO市場における大手として存在感を発揮しています。3位以下は、各社が満遍なく主幹事を務めている状況となっています。

ファンド傘下のIPOを避ければ第1四半期のIPO投資では負けなし

2017年第1四半期に公募割れしたマクロミルとスシローグローバルホールディングスは、いずれもファンド傘下の再上場案件であり、主幹事の証券会社に関係なく、ファンド傘下の再上場案件を避ければIPO投資で負けることはなかったという状況になっています。

IPO投資に際しては、多くの証券会社に口座を持つことで投資のチャンスが増えますが、当然銘柄によっては結果がマイナスになることもあります。しかし、2017年第1四半期のIPO投資は損失を避けやすい、非常に分かりやすい投資環境にあったと言うことができるでしょう。

まとめ

2017年第1四半期のIPO市場は、野村證券の底力を見せつけられるとともに、投資という観点では利益を出しやすい状況だったと言えるでしょう。

IPOの社数自体も好調に推移しましたが、第2四半期はどの程度の企業がIPOを行うのでしょうか。また、ファンド傘下企業以外の公募割れなし記録は継続するのでしょうか。引き続き、今後のIPO市場を注目していきたいと思います。

LIMO編集部