地政学リスクと相場:それは”いつも買い場”なのか? 

過熱報道に踊らされるな〜アルマゲドンはそう簡単には起らない

最近よく耳にする地政学リスクとは

北朝鮮での緊張の高まりなどを理由に、最近の株式市場では「地政学的リスク」という言葉を良く耳にします。では、そもそも地政学リスクとはどのようなリスクを指すのでしょうか。

地政学は、英語では「Geopolitics」とされ、Geo(地理)とPolitics(政治)が組み合わされた単語となっています。このことから理解できるように、地政学とは、地域や地理に基づいた政治学ということになります。

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ただし、株式市場では、そのようなアカデミックな研究対象としてではなく、テロ、地域紛争などの“きな臭い事象”全般を指して「地政学的リスク」と表現されます。

なお、地政学的リスクは、文字通り”ある特定”の地域のリスク、すなわち局所的なリスクと言えます。とはいえ、グローバル化により世界経済の結びつきが強くなっていることや、インターネットの普及などで情報が素早く拡散されるため、瞬時に世界の金融市場にインパクトを与えることが最近の傾向となっていることには注意が必要です。

地政学リスクが顕在化してからの日経平均はどうなったのか

加えて、地政学的リスクに関する報道の過熱と実際のマーケットの動きは必ずしも一致しないことにも注意が必要です。

テレビのワイドショーなどでは連日、北朝鮮に関する報道が繰り返されていますが、その最中に会ったあるベテランのファンドマネージャーは、「地政学リスクはいつも買い場」と語っていました。

今回もその読みが当たるかはさておき、過去の例で紛争(あるいはテロ)ぼっ発から1年間の日経平均株価の推移を振り返ると、そのファンドマネージャーのように冷静でいられることも理解できます。

● 湾岸戦争(1991年1月17日に多国籍軍がイラク侵攻):(最高値)+15%上昇~(最安値)▲9%下落、1年後の株価は▲9%下落。

● 米同時多発テロ(2001年9月11日に米国でハイジャックされた複数の飛行機がニューヨークの高層ビルなどに衝突):(最高値)+16%上昇~(最安値)▲12%下落、1年後は▲9%下落。

● イラク戦争(2003年3月19日※に米国を中心とした有志連合がイラクへ侵攻):(最高値)+43%上昇~(最安値)▲6%下落、1年後は+42%上昇。※米国時間

● ボストンマラソン爆弾テロ事件(2013年4月15日):(最高値)+23%上昇~(最安値)▲6%下落、1年後は+5%上昇。

● ウクライナ騒乱(2014年2月18日に反体制派の市民と警察の間に武力衝突が発生):(最高値)+23%上昇~(最安値)▲6%、1年後は+23%上昇。

パニックにならないことが重要

以上の過去5つのケースでは、必ずしも1年後の株価が上昇しているわけではありませんが、1年間の間には十分に利食いを行える機会があったことがわかります。

その背景には、紛争ぼっ発までにリスクが織り込まれて株価が下落していた、紛争ぼっ発による景気悪化を食い止めるために景気対策が行われた、紛争は地域限定のもので世界経済全体には影響を与えなかったなど、様々な要因があったのではないかと考えられます。

現在進行中の地政学的リスクが今後どのように顕在化し、世界経済に影響を与えるのかを正確に予測することは困難です。ただ、過去の経験則によると、リスクが顕在化してからも利食いのチャンスは十分にあるということを頭の片隅に入れて、パニックにならないようにしたいと思います。

アルマゲドンなどそう簡単に起らないのだという気構えを持ち、加熱する地政学的リスクに関する報道に過度に惑わされないようにしたいものです。

投信1編集部

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