正念場を迎えるH.I.S.の株価

テクニカル的には2,500円割れの場合2,000円まで下落か

地政学リスクの高まりで海外旅行に対するマインドが減退しつつあります。そのような環境で、旅行代理店大手の(9603)の株価下落に拍車がかかっているようです。

2016年を3,000円台でスタートした同社の株価は、現在2,500円付近にまで下落しています。昨年サポート&レジスタンスとして機能した2,500円付近を明確に割れると、次は2,000円付近まで下落する可能性が生じます。正念場を迎えているエイチ・アイ・エス(以下、H.I.S.)の株価について分析します。

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地政学リスクの顕在化で下落が加速するH.I.S.株

米軍によるシリアへのミサイル攻撃に続き、米国と北朝鮮間の緊張が高まりました。さらには、米軍がアフガニスタンの過激化組織攻撃に新型爆弾を利用する等、地政学リスクが4月に入り一気に顕在化しつつあります。

リスクに敏感な金価格が上昇し、日米の株価が下落する等の影響が金融市場にも生じていますが、地政学リスクの高まりを背景に旅行代理店の業績悪化の懸念も生じています。大手旅行代理店H.I.S.の株価は昨年から下落トレンドが続いていますが、地政学リスクの高まりとともに下落が加速しています。

業績苦戦で株価が下落トレンドに

既に昨年から下落トレンドに入っているH.I.S.株ですが、株価下落の大きな要因として、本業の苦戦をあげることができます。同社の過去3期の決算は以下の通りです。

2015年10月期 売上高5,375億円、経常利益227億円、当期純利益109億円
2016年10月期 売上高5,237億円、経常利益86億円、当期純利益2.7億円
2017年10月期(会社予想) 売上高5,800億円、経常利益230億円、当期純利益120億円。

海外旅行を主力とするH.I.S.は、フランスなど海外でのテロ事件の影響を大きく受け、特に欧州旅行が低迷。加えて急激な為替レート変動の結果、為替差損が約68億円発生し、2016年10月期は当期純利益が2.7億円にまで減少しています。

2017年10月期は2015年10月期並みの業績に回復する計画となっていますが、株価は反応せず、2016年12月に3,370円を付けた後にズルズルと下落を続けています。

正念場を迎えるH.I.S.の株価

週足でH.I.S.株価を見ると、現在のH.I.S.株価が正念場を迎えていることが分かります。

2015年8月に4,765円という高値を付けたH.I.S.株ですが、その後は階段状に下落を開始。下落トレンドを描いています。2016年5月および8~10月にかけては、2,500円付近で下落がストップし、踏みとどまった株価はいったん上昇しています。

それ以前、2013年からの株価上昇の際も2,500円を押し目として株価上昇が見られており、H.I.S.株にとって2,500円付近は非常に重要な株価ポイントと言うことができます。

H.I.S.株は現在の2,500円付近の株価を維持して、再度上昇に向け動き始めるのか、それとも2,500円を割れて下落を始めるのか、注目すべきポイントに位置していると考えられます。

エイチ・アイ・エスの過去2年間の株価推移

まとめ:創業者・澤田社長の手腕による立て直しに期待

H.I.S.は2016年10月期の決算を受け、創業者の澤田秀雄氏が11月よりH.I.S.社長に12年ぶりに復帰し、業績回復のため陣頭指揮を取っています。

今回の地政学リスクの顕在化は思わぬ事態ではありますが、H.I.S.は澤田社長の下で業績回復を果たし、株価を上昇に導くことができるのでしょうか。創業者ということもあり、期待値は上がります。今後の業績の行方、そして株価の行方に注目したいと思います。

投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。