「守ると減る」日本の税制、相続対策のアパマン経営も「守り」ではダメ?

建てるばかりが相続対策にあらず

なぜ相続税という制度があるのか?

あなたは、なぜ相続税という制度があるのか知っていますか?

相続税の性格は「富の再分配」です。かたよった富によって格差社会ができてしまったため、その富を利用して社会還元をはからない人は、その富を全員に再分配しよう、という機能があるのです。

資産家にとっては、そんなのは理不尽!やくざのしのぎ稼ぎよりたちが悪い!と思われるかもしれませんね。でも、よく経済の成り立ちとその仕組みを考えてみると、実は納得せざるを得ない部分も多いのです。

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「富」と定義されるものには、現金や不動産がありますが、相続財産の約7割は不動産です。さらに、その多くを占めるものは土地資産となっています。

基本的に土地は、国民の財産ではなく国家の財産であるという考え方があります。つまり、土地を所有している人も、実は国から土地を借りて、その上で商売をしたり生活をしているというのが、根底にはあるわけです。

浦安はどうして日本有数の金持ちになったのか?

たとえば、東京ディズニーリゾートがある千葉県浦安市を例に考えてみましょう。

浦安市は、わずか40年前までは、その土地の半分以上が海でした。高度成長期とともに、電車や高速道路の整備のために、海を埋め立てました(1981年に市制が施行される以前は浦安町でした)。

漁業で生計をたてている人が多かった浦安町民は、埋め立てのために漁業権を放棄する代わりに埋め立てた土地の一部をもらいました。

埋め立てられた土地は、総合的な都市計画により機能的で都会的な区画整理がされていきます。広大な敷地にディズニーランドを誘致し、インフラの整備もともなって人口も爆発的に増えていきました。その結果、浦安市民の資産は10倍、20倍と膨れ上がっていったのです。

さて、これは、浦安市民の実力でしょうか? 違いますね。右肩上がりの日本経済と行政の総合的な都市計画のおかげ、そして、なによりたまたま浦安で漁業をしていたおかげによるものです。

一方、同じ浦安市民であっても、アパート住まいの勤め人の場合は、このような恩恵は受けられませんでした。土地に変換される漁業権も、区画整理やインフラ整備によって値上がり期待のできる不動産も持っていなかったからです。不動産によって、富の格差が広がるメカニズムはこのように説明できます。

さて、行政がこの区画整理やインフラ整備を推し進める理由は、土地区画を整備して街全体を開発し、住みやすく快適で便利な街づくりをするために行っています。

ですから、せっかく区画整理をして容積率を上げてあげたのに、地主が何も建てず、駐車場程度の活用では、街の人口も増えませんし、経済的なメリットを行政も市民も受けることはありません。

そこで、価値の上がった土地を積極的に開発しない人には重い相続税を課すことによって、増えすぎた富を国民に再分配しようと考えたわけです(ちなみに再分配は、徴収した税金を国民に減税や補助金というかたちで還元していくことで行われます)。

逆に、積極的に賃貸マンションなどを建てて開発する人には、固定資産税の優遇や相続税課税評価の減額という特典を用意して開発を奨励していきました。

つまり、都市計画の推進→地価のアップ→相続税の増税→相続税対策として土地の活用→賃貸マンション等の建築→経済成長→雇用の拡大→税収のアップ・・・、このような筋書きを政府は描いていったわけです。

全産業の10%が建設関連の仕事ですから、住宅着工戸数が増やすことは、景気の刺激策としても非常に有効な手段でした。相続税が富の再分配機能を持っているということがお分かりいただけるでしょう。

建てるばかりが相続対策ではない

相続対策手法の代表格は今も昔もアパート、マンションです。

貸家を建てれば、相続税の評価減だけでなく固定資産税も下がりますし、テナントのように一気に空室になることも、そして、景気によって家賃が極端に下がることもありません。他の開発手法に比べて比較的リスクが低く運営ができるのがアパマン経営の特徴だからです。

しかし、既に飽和状態となっている賃貸市場で、新たにアパマン経営を始めるなら、よほど特徴を持って、経営者自身も積極的に経営に取り組まない限り、安定経営を続けるのは難しいでしょう。単なる相続対策だけで、アパート、マンションを建築する時代ではないのです。

では、どうすべきか? たとえば、今ある資産で何かを建てるというだけの発想ではなく、建てる以外の「活かし方」も平行して考えるべきでしょう。

たとえば、今ある土地を売って、中古のアパートに買い替えるというのは非常に賢い資産の活かし方のひとつです(事業用資産の買い替え特例を使えれば、土地の譲渡益に対する税金の負担を少なくして買い替えることができます)。

既に稼働している中古アパートなら、新築して満室になるまでの時間的ロスや精神的負担はありません。買ったその月から家賃収入が得られます。

アパートを現金で購入できれば、ローン返済の精神的な負担もありませんから、空室になっても、落ち着いて対策を練ることができますし、滞納などがあっても、冷静に対処することができるでしょう。

さらに、もし、今ある土地が郊外にあったとしたら、都心の不動産に買い替えることで、資産価値をアップできる可能性もあります。

実際に、日本の税制と資産運用について深く理解された、私のクライアントさんの中には、躊躇無く数百坪の土地を売却し、都心の中古賃貸マンションを現金で買われた方もいます。

このクライアントさんは先祖代々の地主です。土地を売却した時はご近所から、あることないこと噂されたといいます。しかし、賢いのは、何を隠そうこのクライアントさんの方なのです。

本来、先祖代々、土地を受け継いでこられた地主さんにとって、土地を売るというのは、非常に抵抗がある行為です。なぜなら、自分の代で土地を減らしてはならない、という意識がとても強いからです。

ですが、今ある資産(あるいは土地)に執着してしまうと、今ある資産価値すら守れない時代にもはやなっているのです。なぜなら、日本の税制は「守ると減る」ようにできているからです。

では、攻めるためにはどうしたらいいか?

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浦田 健

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浦田 健
  • 浦田 健
  • 株式会社FPコミュニケーションズ代表取締役
  • 一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)代表理事

明治大学商学部卒。
2002年個人向け不動産コンサルティング会社を創業。 近年、国内はもとより海外の不動産コンサルティングを手がける。
2008年「すべての人に不動産の知識を!」を使命としJ-RECを創設、 同時に「不動産実務検定」を開始。全国35カ所以上に教室を開設し、いつでも、だれでも、どこでも 不動産実務知識が学べる環境をつくる。
主な著書に「金持ち大家さん」シリーズ他不動産関連書籍多数、発行部数は業界最多となる累計30万部を超える。