セブン&アイ・ホールディングス大解剖~井阪新体制の舵取りに注目

グループ構成、沿革、業績、株価から、事業戦略、課題、採用まで

アメリカ発のセブン-イレブンを日本で根付かせ、日本型のコンビニエンスストア事業の事業モデルを構築した鈴木前会長が2016年春に退任しました。カリスマ経営者からバトンを受けた生え抜きの井阪社長の舵取りが注目されます。同社の強みと課題のポイントを簡単に整理して、新生セブン&アイ・ホールディングスの針路を考えていきます。

目次

1. セブン&アイ・ホールディングスはセブン-イレブンを核にした日本を代表する総合小売業
 1.1 グループ売上10兆円超の巨大流通コングロマリット
 1.2 主要子会社はセブン-イレブン、セブン銀行、イトーヨーカ堂、そごう・西武など
 1.3 コンビニ関連がグループの牽引役
 1.4 巨大流通コングロマリットができるまで

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2. セブン-イレブンの強さ、早わかり
 2.1 セブン-イレブンはフランチャイズ事業
 2.2 セブン-イレブンの店舗数は国内#1
 2.3 セブン-イレブンは成長加速
 2.4 セブン-イレブンの店舗売上高は高い
 2.5 商品へのこだわりが「セブンプレミアム」に昇華

3. 鈴木氏が会長退任。トップ交代の背景を業績と株価から考える
 3.1 確かな連結収益力
 3.2 セブン-イレブン・ジャパン着実な成長を継続、セブン銀行も順調
 3.3 イトーヨーカ堂、そごう・西武などは苦戦が続く
 3.4 株価の推移は今一つ、そのわけは?
 3.5 井阪体制の中期経営計画、かぎは「強い事業をより強く」
 3.6 セブン-イレブンを中心に人手不足対策待ったなし
 3.7 気になる株主優待は?

4. 中興の祖、鈴木敏文前会長

5. 就活生に気になるセブン&アイ・ホールディングスの採用と人物像を考える
 5.1 採用実績
 5.2 求められる人物像

6. セブン&アイ・ホールディングスをもっと知るためにおすすめの書籍

1. セブン&アイ・ホールディングスはセブン-イレブンを核にした日本を代表する総合小売業

1.1 グループ売上10兆円超の巨大流通コングロマリット

セブン&アイ・ホールディングスのグループ売上は2017年2月期10.6兆円です。この金額にはフランチャイズビジネスを展開しているセブン-イレブン・ジャパンと7-Eleven, Inc.の加盟店における売上高が含まれていますが、同社はフランチャイズ加盟店に対して商品を提供し経営指導をしているので、実質的に同社の実力を測るうえで売上高にカウントしても差し支えないと思います。この金額はちょっとピンと来ないかもしれませんが、東京都の一般会計の規模が約7兆円ですあることと比較すると、同社の事業規模の大きさがイメージできるのではないでしょうか。

一日あたりの国内の来店客数はどのくらいだと思いますか?同社の資料によればなんと約2,150万人とのことです。

1.2 主要子会社はセブン-イレブン、セブン銀行、イトーヨーカ堂、そごう・西武など

同社の社名はセブン&アイ・ホールディングスで、基本的にセブン-イレブンとイトーヨーカ堂を中核とする企業グループを示します。しかしグループにはこれ以外にも多くの企業があります。より具体的なイメージを掴むために事業セグメントと主要子会社をあげていきましょう。カッコ内の数値はとくにことわりがない限り2017年2月末現在の店舗数です。

  • 国内コンビニエンスストア事業:セブン-イレブン・ジャパン(19,422店)および中国の同事業など。
  • 海外コンビニエンスストア事業:7-Elven, Inc(8,707店)など。
  • スーパーストア事業:イトーヨーカ堂(171店)、ヨークベニマル(213店)、ヨークマート(78店)、中国のイトーヨーカ堂など。
  • 百貨店事業:そごう・西武(19店)など。
  • 金融関連事業:セブン銀行(ATM設置台数国内23,353台、北米6,227台)など。
  • 専門店事業:赤ちゃん本舗(106店)、バーニーズジャパン、オシュマンズ・ジャパン、セブン&アイ・フードシステムズ(386店)、ロフト(109店)、ニッセンホールディングスなど。
  • その他の事業

1.3 コンビニ関連がグループの牽引役

グループが多くの事業を手掛けていることはわかりましたが、主たるビジネスとなると圧倒的にコンビニ関連がメインです。

2017年2月期連結営業利益は3,646億円でしたが、このうち国内コンビニエンスストア事業が2,438億円、金融関連事業が501億円となります。金融関連事業における主たる利益源は国内コンビニに設置されたATMの利用料ですので、これも国内コンビニ関連収益とみなして差支えないでしょう。こうみると、連結営業利益の8割を国内コンビニ関連で稼いでいる計算になります。

ちなみに海外コンビニエンスストア事業の営業利益は674億円でした。従って内外コンビニ関連で利益のほとんどを出しているといえるのです。

1.4 巨大流通コングロマリットができるまで

同社の歴史のポイントを簡単にまとめましょう。

まずイトーヨーカ堂が1958年に東京都足立区に1号店を開設し、その後総合スーパーとして全国展開を進め、1972年に東証2部に上場しました。

次の転機は1973年です。東証1部に指定替えを受けたことに加えて、ヨークベニマルと業務提携し、米レストランチェーンのデニーズ社と提携しデニーズジャパン(現セブン&アイ・フードシステムズ傘下)を設立、そして米コンビニエンスストアであったサウスランド社と提携し現在のセブン-イレブン・ジャパンを設立しました。

セブン-イレブン・ジャパンは1974年に豊洲に1号店を出店し1975年には24時間営業を開始しました。1976年には100店の出店を達成、1980年に1,000店と順調に業容を拡大しました。株式は1979年に東証2部に上場され、1981年には東証1部に指定替えをされています。ちなみにPOS(Point of Sales)システムの導入は1982年10月でした。

その次の転機は1991年、セブン-イレブン・ジャパンのライセンス元であった米サウスランド社の経営破たんです。このときイトーヨーカ堂とセブン-イレブンは共同でサウスランド社の69.98%の株式を取得し経営権を取得しました。なお、2005年にはセブン-イレブン・ジャパンが米7‐Eleven,Inc.(旧サウスランド)を完全子会社化しています。

2001年にも注目すべき動きがありました。イトーヨーカ堂がネットスーパーを開始し、セブン銀行が設立されました。

大きな転機は2005年でした。ここに至るまでは、イトーヨーカ堂が上場し、その連結子会社であったセブン-イレブン・ジャパンも上場するという親子上場の関係になっていました。イトーヨーカ堂の連結利益の構成において、従来のスーパーストア事業の収益が頭打ちになる一方でコンビニエンスストア事業がメインの座を占めるようになりました。そのため、2005年9月にイトーヨーカ堂、セブン-イレブン・ジャパン、デニーズジャパンが共通の持ち株会社のもとに事業会社としてぶら下がるというグループ体制に移行しました。これが現在のセブン&アイ・ホールディングスの出発点です。そして2006年にはヨークベニマルを完全子会社化しました。

総合小売業としてさらに一歩進んだのが2006年でした。1830年創業のそごうと1940年創業の西武百貨店が2003年に発足させたミレニアムリテイリンググループ(現そごう・西武)を完全子会社化したのです。ちなみにイトーヨーカ堂は春日部などにロビンソン百貨店を数店舗展開していましたが、本件後本格的に百貨店業態をグループに取り込むことになりました。本件によって現在の同社の基本構造が出来上がったと言えるでしょう。

2. セブン-イレブンの強さ、早わかり

では、セブン&アイの中核を占めるコンビニ事業、とりわけ日本で展開するセブン-イレブン・ジャパンの強さを見ていきましょう。

2.1 セブン-イレブンはフランチャイズ事業

冒頭にも述べましたが、このビジネスは基本的にフランチャイズ事業です。セブン-イレブン側をフランチャイザー、店舗を運営する側をフランチャイジーといいます。多くの場合、店舗をフランチャイザーが開発し、フランチャイジーがその店舗を運営することになります。イトーヨーカ堂は社員やパート社員が消費者に直接相対して販売を行いますが、フランチャイズではフランチャイザーが直接店舗で販売をするのではありません。

そしてコンビニエンスストア事業は基本的に店舗で上がった粗利益(=売上高‐商品原価)を両社が分け合う構造です。セブン-イレブンが受け取る店舗での粗利益の取り分をセブンイレブンチャージ(率)といいます。

店舗側から見れば、店舗の売上が高く、商品粗利率が高く、チャージ率が低いほうが望ましいと言えます。最近では人手不足感が強まってきましたので、業務の効率化を支援してくれると助かります。

一方、セブン-イレブンから見ると稼ぐ店舗をどれだけ効率よくたくさん開発できるかがカギになります。また、店頭ではつねに十分な商品を陳列し、お客さんが来たのに欲しいものが売り切れていた、というような事態を避けたいと考えます。このため、近くにセブン-イレブンの競合店舗ができたり、大目に在庫を仕入れて廃棄ロスが出たり(廃棄ロスはフランチャイジーの負担割合が大きいです)することもあり、一部でフランチャイザーとフランチャイジーには利害の対立も起こります。しかし、グループの規模が大きいほどさまざまな規模の利益が生まれ、それはフランチャイザーにとってもフランチャイジーにもメリットとなりますので、両者にとって規模(=店舗数増)追求は重要な命題のひとつと言えます。

2.2 セブン-イレブンの店舗数は国内ナンバーワン

先ほど触れた規模を考えるとき、一番わかりやすいのは店舗数です。2017年2月末現在の大手3社の店舗数を比較しましょう。

  • セブン-イレブン・ジャパン19,422店
  • ファミリーマート17,683店(サークルK・サンクスとエリアフランチャイズの店舗も含む)
  • ローソン12,313店(ローソン、ナチュラルローソン、グループ計)

ファミリーマートがサークルK・サンクスと事業統合したため店舗数で肉薄してきましたが、セブン-イレブンは独自でこの規模まで効率を重視して店舗を増やしてきたことがポイントです。

2.3 セブン-イレブンは成長加速

コンビニエンスストアは当初から異端と言われ、また米国のサウスランド社も経営破たんしたため、何度となく限界論や飽和論と無縁ではありませんでしたが、結果としてみると着実な成長を続けてきました。

同社の店舗数の推移を5年ごとでみると次の通りです。

  • 2007年2月末11,735店舗
  • 2012年2月末14,005店舗
  • 2017年2月末19,422店舗

つまり直近5年の増加数のほうが前半5年の増加数を上回っていることがわかります。

このような成長加速の要因には、2011年3月の東日本大震災でライフラインとしてのコンビニが見直されたこと、セブンプレミアムなどの付加価値型PB商品が食品を中心に支持を集めたこと、高齢化や共稼ぎが進み朝から夜まで近隣で日常の生活を支援するコンビニエンスストアに対するニーズが高まったこと、さらに同社の立地戦略がうまくいったことなどがあげられます。

2.4 セブン-イレブンの店舗売上高は高い

店舗数の増加が続くセブン-イレブンの一日あたりの店舗当たり販売額(平均日販)は、2017年2月期に65万7千円でした。これはファミリーマートの52万2千円、サークル・K・サンクスの42万5千円、ローソンの54万円を凌いでいます(各社IR資料より、各社定義)。

また積極出店を進めていますが、同社の平均日販は過去3年間ほぼ同じ水準を維持していており、同社の出店の確かさを示していると言えるでしょう。

2.5 商品へのこだわりが「セブンプレミアム」に昇華

「なぜセブンに行くか」と考えるとやはり食べ物のおいしさや新商品への期待と言えるのではないでしょうか。商品売上のうち、おにぎり・弁当のファスト・フードは全体の30%占める最大の売れ筋です。さらに加工食品と日配食品を加えると全体の70%占めています。おいしく値打ちのある食品を提供することが消費者の支持を得るカギになっています。

このためセブン-イレブンはセブン&アイ・ホールディングス全社の取り組みの一環として長年にわたりプライベートブランド(PB)商品の開発、調達の一元化、全体最適な物流の構築を進めてきました。

ちなみに同社PBである「セブンプレミアム」は2007年5月から発売されましたが、その売上高(ホールディングス全体)は2017年2月期に1兆1,500億円、アイテム数は3,650アイテムに上っています。

あまりそう呼ばれませんが、筆者は同社も衣料品のファーストリテイリングや家具などの良品計画、ニトリホールディングスと並び、食品を中心にした「製造小売業」と呼んで構わないと考えます。

3. 鈴木氏が会長退任。トップ交代の背景を業績と株価から考える

これまで、グループの概要とその中核であるセブン-イレブン・ジャパンの特徴を概観しました。そこで、次にセブン&アイ・ホールディングスの実力を財務面から見てみましょう。

2016年には長年セブン-イレブンを牽引したカリスマ経営者の鈴木敏文氏からその薫陶を受けてきた井阪隆一氏にトップのバトンがわたりました。この交代劇はさまざまな報道がなされていますが、財務数値を見ると必然だったとも言えます。その理由を探ってみましょう。

3.1 確かな連結収益力

はじめに過去10年間の営業利益の推移を見てみましょう。2010年2月期に一旦減益になりましたが、それ以降は順調に右肩上がりの成長軌道にあります。

3.2 セブン-イレブン・ジャパン着実な成長を継続、セブン銀行も順調

次に2017年2月期の連結営業利益3,646億円(対前年度比+4%増益)をセグメント別(部門別)に見てみましょう。

  • 国内コンビニエンスストア事業: 2,438億円(対前年度比+4%増益)
  • 海外コンビニエンスストア事業 :674億円(同+1%増益)
  • スーパーストア事業:202億円(同+417%増益)
  • 百貨店事業:29億円(同▲6%減益)
  • 金融関連事業:501億円(同+1%増益)
  • 専門店事業:▲113億円(赤字拡大)
  • その他の事業:40億円(同▲14%減益)
  • 消去及び当社:▲127億円

このように国内コンビニエンス事業がメインで、しかも着実に増益を達成していることがわかります。またセブン銀行をメインとする金融関連事業も利益貢献が大きく、利益もしっかりしていることがわかります。
同社の沿革で述べましたが、ホールディングスが設立されて以降も国内コンビニエンスストア事業とそれに付随する事業が相変わらず主力事業であることがわかります。

なお、米国でコンビニエンス事業を行う7-Eleven, Inc.をメインとする海外コンビニエンス事業は、増益率が低く見えますが金額的には2番目に大きい営業利益を出すセグメントです。しかも2017年2月期は2016年2月期に対して10%円高になっていますので、ドルベースでは同約+11%増益です。金額の大きさ、成長率の高さからみて重要な成長エンジンになりつつあることが感じられるのではないでしょうか。

3.3 イトーヨーカ堂、そごう・西武などは苦戦が続く

コンビニ関連が順調なことはいいのですが、課題はその他のセグメントにあります。

まずスーパーストア事業ではヨークベニマルとその惣菜子会社が稼ぎ頭で188億円の営業利益を出しました。他方でイトーヨーカ堂の営業利益は厳しい状況が続きます。過去3年間の営業利益の推移は次の通りです。

  • 2015年2月期19億円
  • 2016年2月期▲140億円(赤字)
  • 2017年2月期0.5億円

全国で171店舗(2017年2月末)を構えるイトーヨーカ堂が十分な利益額を出していない実態が見えてきます。

百貨店事業も苦戦が続きます。三越伊勢丹ホールディングスなどと比べて収益性は大きく見劣りしています。さらに買収したニッセンホールディングスの赤字が拡大し専門店事業は連結利益をむしばんでいます。

このようにコンビニ関連以外には多くの課題を抱えていると言わざるを得ないでしょう。

3.4 株価の推移は今一つ、そのわけは?

このように、営業利益は増益基調でありながら事業別に好不調がはっきりわかれており、株価にも影響が出ています。

過去5年間の同社の株価をTOPIXと比較してみると2015年にTOPIXを上回るパフォーマンスを示した時期がありましたが、井阪新体制になった過去1年を見るとTOPIXが上昇したにもかかわらず同社株は横ばいを続けパフォーマンスが見劣りすることがわかると思います。

株主・投資家が気にしているのは端的に言えば資本効率、すなわちROEです。

ごらんのように、同社のROEは優良企業を示す8%を超えたことが過去10年間で一度しかありません。とくに最近3年はROEが右肩下がりです。連結営業利益が増加基調にもかかわらずROEが低下しているのは、特別損失が増えていることが主因です。スーパーストア事業と百貨店事業を中心に、わかりやすくいえば膿だしが終わらないため投資家の姿勢が慎重だったと言えるでしょう。

筆者は2016年にグループトップがセブン-イレブン・ジャパンを創業し成長させた中興の祖ともいえる鈴木敏之氏から井阪隆一氏に代替わりした最大の要因はここにあると考えています。投資家は、鈴木体制のもとで進められたコンビニ事業以外の投資(含むM&A)が十分に成果をあげていないことに「待ったなし」と判断したのではないでしょうか。

3.5 井阪体制の中期経営計画、かぎは「強い事業をより強く」

井阪体制は2016年5月に発足し、100日プランを経て2016年10月7日に2019年度(2020年2月期)を最終年度とする中期経営計画を発表しました。その骨子は次の通りです。

  • 2019年度(2020年2月期)営業利益4,500億円、ROE10%
  • 日米CVS事業を成長の柱とし、経営資源を集中させる
  • エリアと業態の「選択と集中」を進める
  • GMS(イトーヨーカ堂)・百貨店再生に、不動産再開発の視点を取り入れる
  • オムニチャネル戦略の見直し

いかがでしょうか。不採算事業を早く切り離せないのか、とお考えの方もいらっしゃると思いますが、実際にはイトーヨーカ堂は40店舗閉鎖し、残された店舗も業態変更を進め、さらに得意の食料品以外は売り場面積を縮小するという考え方をとっています。百貨店も含めて外科的治療ばかりではないので切れ味に不満の投資家の方もいらっしゃるでしょう。しかし就任100日間で40店舗の閉鎖を決めるなど方向性をしっかり打ち出してきたことは評価できるのではないでしょうか。

一方、アマゾンが米国型コンビニエンスストア(レジ不要のアマゾン・ゴー)に乗り出すなど、将来の事業モデルにおいても競争が厳しくなりそうです。井阪社長がどのように競合対策を立ててくるのか、あわせて注目したいと思います。

3.6 セブン-イレブンを中心に人手不足対策待ったなし

2017年2月期以降人手不足の深刻化、社会保険加入の適用拡大、労働時間管理の厳格化などの流れから人件費が高まっており、とくにセブン-イレブンのフランチャイジーも例外ではありません。このため同社は2017年9月以降セブン-イレブン・チャージ(店舗粗利額に対するフランチャイザーの取り分)を1%ポイント減額することになりました。これはフランチャイジーの取り分の増加となり、高騰する人件費の補てん原資になります。

今後は店舗作業の更なる省力化、新型レジ投入によるセルフレジの導入など、あらゆる施策で労働生産性を高める必要が出てきます。フランチャイジーの事業意欲を駆り立てる仕組み作りを競合に先んじて確立できるのか、注目が集まりそうです。

3.7 気になる株主優待は?

残念ながら株主優待制度はありません。しかし、株主には同社の「四季報」と呼ばれるきれいな冊子が年四回送られてきます(同社HPでも閲覧できます)。

4. 中興の祖、鈴木敏文前会長

セブン&アイ・ホールディングスは伊藤家が創業したイトーヨーカ堂が祖業になりますが、事業の主力はコンビニエンス事業であり、これを米国から取り込み日本で根付かせ日本型のコンビニエンスストアとして展開させた「コンビニ育ての親」、「同社中興の祖」は鈴木敏文氏です。

同氏は退任直前まで高齢ながら投資家向け説明会の場できわめて的確な分析を披露していました。セブン-イレブンのフランチャイジーにとってカリスマ的存在と言えます。

現在の同社は鈴木氏のDNAが根付いていると言えますので、後にも触れますが、同社を志すのであれば一度その著作を手にとって見ることをお勧めします。

5. 就活生に気になるセブン&アイ・ホールディングスの採用と人物像を考える

5.1 採用状況

2017年4月24日の日本経済新聞によれば、グループ全体で2017年春実績が1,220人、2018年春計画が1,250人(うち大卒850人)とされています。採用はグループ内各社で行われます。

セブン-イレブン・ジャパンの場合、オペレーション・フィールド・カウンセラー(OFC)と呼ばれるフランチャイジーを7~8店舗担当して情報提供・カウンセリングを行う職種が求人されます。直営店で店舗運営の基本を学び、その後にOFCとしてフランチャイジーの成功をサポートする仕事に就きます。その後のキャリアパスは適性に応じていくとのことです。

5.2 求められる人物像:「変化するお客様のニーズ」を追いかけるロマンがあるか

セブン-イレブンでいえば、まずフランチャイジーとのコミュニケーション能力が問われます。さらに豊富なデータを分析し担当先に対して日々仮説検証を行い、新鮮な発想で販売機会を逃さない積極的な取り組み姿勢が求められます。

同社は競争相手を「変化するお客様のニーズ」ととらえています。競合小売企業ではありません。こうした変化を察知して先取りし、新しい取り組みにチャレンジし、消費者とフランチャイジーと共存共栄することに喜びを感じられるような方に向いていると言えるでしょう。

これはコンビニエンスストア事業だけではなく同社のさまざまな小売業態業に共通に必要とされる素養ではないでしょうか。

6. セブン&アイ・ホールディングスをもっと知るためにおすすめの書籍

最後に同社を知るうえでお勧めの書籍をご案内します。なんといっても鈴木敏文氏の書籍をひとつ手にとって見てください。今回は比較的手に取りやすいこちらの書籍をご案内します。

売る力 心をつかむ仕事術(文春新書)

椎名 則夫

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椎名  則夫

早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券運用と法人融資に携わる。
シカゴ大学MBA取得。フィデリティ投信に入社、中小型株全般、医薬品・ヘルスケア、保険、通信、インターネットの企業調査に従事。その後モルガンスタンレー証券にて株・クレジットのリスク管理業務を行う。
日本証券アナリスト協会検定会員、CFA。