まずiDeCoの必要性の理解から

専業主婦の非課税投資を促進するには?

セミナーに子供連れで参加するお母さん

先日マネー・フォワード主催の個人投資家向けセミナーで講演をさせていただきました。2,000人以上の参加者のうち過半数が20-30代という若い聴衆でしたが、女性が想像以上に多いことや、なかには赤ちゃん連れで参加する人など普通のセミナーとは大いに違う参加者層に感銘を受けました。金融機関はどこでも若年層へのアプローチが難しいと指摘しますが、こうした実態をみると、実は意外に若年層にメッセージを送る方法があるのかもしれません。

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以前、『ミレニアルズの若者が信頼する「お金の情報源」とは?』で取り上げた「親世代を使ったミレニアルズへのアプローチ」もその一つでしょうし、「専業主婦を経由した現役層へのアプローチ」も可能ではないかと思われます。2016年7月に実施した第3号被保険者1万人アンケートでは、いわゆる専業主婦の3分の2が家計の資産形成に関与していると回答しており、赤ちゃんを連れてまでセミナーに参加したいとする女性が増えていることと同じなのかもしれません。実際、主婦は家計のゲートキーパーとして大切なアプローチ先ではないでしょうか。

専業主婦は在宅の可能性が高いものの、これまでは資産形成に前向きと思われていませんでした。しかし個人型確定拠出年金、iDeCoが制度の改正で第3号被保険者にも使えることになり、専業主婦による非課税投資の道を開くことで、現役層への新しいアプローチ方法が見えてくる可能性が高いように思います。

iDeCoの前にしっかりした資産形成意欲が大切

ただ、iDeCoへ加入できるからといって、すぐに専業主婦の加入につながるかといえば、それほど簡単ではありません。アンケートでは保有資産別の確定拠出年金(DC)認知率とiDeCoへの加入意向を分析しましたが、実態は「資産が増えるほどDCへの認知率が高まりますがそれに合わせて加入したくないとする人の比率も高まってしまう」のです(図表「個人資産別のDC認知率と加入意向」を参照)。

iDeCoに加入したくない専業主婦は確定拠出年金のメリットとして「自分で運用する」ことを挙げている人が多く、逆に「税制優遇がある」ことをそれほど注目していない人でした。しかし、投資に対して前向きであるほどiDeCoへの加入意向は強くなること(もちろん認知率も高まります)から、単にiDeCoの理解を進めるというのではなく、資産形成の必要性を理解するなかでその資産形成の口座の一つとしてiDeCoを活用するというスタンスであるかどうかが大きくかかわってくるように思われます(図表「資産形成に対する取り組み別のDC認知率と加入意向」参照)。

制度設計の説明ではなく、あくまでiDeCoはツールであることを前提に、NISAとの違いや両制度の活用方法などを理解していただくことが大切な気がします。

個人資産別のDC認知率と加入意向

資産形成に対する取り組み別のDC認知率と加入意向

出所: フィデリティ退職・投資教育研究所、第3号被保険者1万人アンケート、2016年

フィデリティ退職・投資教育研究所 所長 野尻 哲史

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野尻 哲史
  • 野尻 哲史
  • フィデリティ退職・投資教育研究所
  • 所長

国内外の証券会社調査部を経て、2007年より現職。アンケート調査をもとに個人投資家の資産運用に関するアドバイスや、投資教育に関する行動経済学の観点からの意見を多く発表している。
日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。
著書には、『老後難民 50代夫婦の生き残り術』、『日本人の4割が老後準備資金0円』(講談社+α新書)や『貯蓄ゼロから始める安心投資で安定生活』(明治書院)などがある。
調査分析などは専用のHP、資産運用NAVIを参照