今年最大の上昇率、業績上方修正したNECの株価の行方

市場の関心を再び取り戻すことは可能なのか

上方修正を好感し今年最大の上昇率に

2017年4月25日のNEC(6701)の株価は前日比+3.5%高と今年最大の上昇率で引けています。

大幅高の理由は、前日(24日)に2017年3月期の業績の上方修正を発表したためです。1月30日に通期業績の大幅な下方修正を発表以降、株価は大きく低迷しており(注)、そもそも上方修正に対する「期待値」がほとんどなかったことも背景にあったと考えられます。

注:過去3か月間のNECの株価変化率は約▲17%下落と、TOPIXの▲3%に対して大幅なアンダーパフォームとなっていました。

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上方修正の主因はコスト削減

今回の修正では売上収益は下方修正されていますが、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ上方修正されました。NECは4月27日に決算を発表予定で、詳細はそれまで待つ必要がありますが、現時点で明らかされている修正要因は以下のようになっています。

まず、売上収益については、パブリック事業やその他の海外事業などの下振れをシステムプラットフォーム事業の上振れではカバーできず、全体では下方修正されています。

一方、営業利益については、売上減によるマイナスの影響はあるものの、システムプラットフォーム事業やテレコムキャリア事業などにおける費用効率化でカバーすることで全体では上方修正が見込まれています。

なお、上方修正後の会社予想から第3四半期累計(4-12月期)の実績を差し引いた第4四半期(1-3月期)の予想は、売上高が前年同期比横ばい、営業利益は▲35%減の減益となっており、上方修正はされたものの、足元はなお大幅減益の厳しい状態であることになります。

今後の注目点

最後に、27日の決算ではどこに注目すべきかを考えてみたいと思います。

既に2017年3月期実績については修正予想が発表済であるため、おそらく27日の決算発表では2018年3月期の会社予想に注目が集まるでしょう。

ちなみに、現時点での2018年3月期の市場コンセンサス営業利益は756億円と、上方修正後の会社予想410億円に対しては約84%増という大幅増益となっています。

ただし、ここで注意しなければいけないことは、大幅増益の要因が2017年3月期に発生したと見られる不採算案件など一過性の悪化要因がなくなることや(200~300億円と会社側はコメント)、2017年1月に公開買い付けを完了し連結子会社化した日本航空電子(6807)が2018年3月期にはフルに寄与する可能性が高いことです。

変化率だけを捉えれば、大幅増益となるため一時的には注目はされる可能性はあるものの、その主因が一過性のものが中心であると明らかになれば、株式市場からの注目は長続きしないと考えられます。

このため、決算では持続的な回復の兆しが見られるか、具体的には新規事業の立ち上げや不採算案件の再発を食い止めるための施策などが進展しているかにも目配りをしていきたいと考えます。

NECの過去1年間の株価推移

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。