ヤフー株急落

ヤフー(4689)は2017年4月26日の午後3時に2017年3月期決算を発表しました。そしてその翌日、4月27日に株価は対前日終値で▲10%急落となる475円で引け、東証1部ではタカタ(7312)に次いで2番目に大きい下落率となってしまいました。

第3四半期の決算発表が評価され、1月末から株価は急上昇していたのですが、この1日の下落で2月以降の上昇分をほぼ失ってしまいました。いったい何が起きたのか探ってみます。

増益基調がついに終わる

ヤフーはこれまで営業減益になることはありませんでした(2015年3月期IFRS基準の営業利益は2014年3月期日本基準の営業利益に対して微減ですが、これをIFRS基準にするとやはり営業増益でした)。

しかし、ついにこの連続営業増益の記録が止まりました。2017年3月期の営業利益は対前年度比▲15%減の1,920億円になったのです。

ただ、これが株価急落の直接の原因ではないと思います。実は2016年3月期の営業利益2,250億円には、アスクルがヤフーの持分法適用会社から連結子会社になる際に「企業結合に伴う再測定による利益」という、いわば評価益を営業利益に596億円相当計上した経緯があったのです。

2017年3月期第3四半期累計(4-12月)決算短信でも、ヤフーは営業利益が1,980億円を上回ると見込んでいました。実際の着地は1,920億円ですので、これにはやや足りないと言えますが、アスクルの物流センター火災の影響がメインだと思われます。したがって、株価下落の主因は2017年3月期の営業利益の着地だったと考えるのは難しいと思います。

2018年3月期の営業減益見通しを会社が発表

株式市場が嫌気したのは、2018年3月期の営業利益予想の方だと思います。つまり、2期連続営業減益になることが株式市場には想定外だったのでしょう。

2017年3月期の決算短信には実額は示されていませんが、決算説明資料によればこれが1,750億円から1,850億円になるというガイダンスが示されました。

減益見通しの背景ですが、ヤフーのこれまでのビジネスが変調をきたすというシナリオではありません。ヤフーはスマホシフトに成功し、ユーザー数も伸び、広告ビジネス、ヤフーオークションなどの基幹事業は順調です。先行投資事業とされるヤフーショッピングの流通総額、ショッピング広告、クレジットカードの有効会員数や取扱高も伸びてきています。

先行投資にアクセル、足元の利益を犠牲に

減益見通しの主因は将来に向けた費用増加です。

まず1つ目は、eコマース事業では出店数や取扱アイテム数が一気に増えましたが、まだまだ購買者がこれに見合うほど増えていないということでしょう。

「買い手爆増」を目指して販促等をかけるとヤフーは決めました。とはいっても、いたずらに販促費をかけるのではなく、ソフトバンクユーザーにヤフーショッピングの利用やヤフープレミアムの特典を提供したり、ヤフー内のさまざまなサービスのクロスセルを進める施策を打つことになります。これは一定の合理性のある費用投下と言えると思います。

もう1つは、広告などのレコメンド(推奨)精度の向上に向けて「データドリブン化」を進めるための基盤投資も行うとされています。

費用投下の効果がどう出るか

株式市場は、このような費用の積み増しによって利益が圧迫されるのが一過性なのか、恒常化するのか自信を持てないのだと思います。販促で獲得した顧客が販促を緩めるとどうなるのか、またIT基盤への投資は終わりがないのではないかという心配が高まっているのだと思います。

今後は費用に対する効果がどのように利益として出てくるのか、見守る必要がありそうです。

また、楽天(4755)の株価も同日に▲4%株価が下落しました。EC市場はまだまだ伸びしろが大きいと思いますが、特に既存顧客についてヤフーから挑戦状を叩き付けられたと言えるのではないでしょうか。

アマゾンも含め、消費者にとってはECの利便性ばかりではなく、楽しさが向上していくことが望ましいと思います。健全なサービス競争が進むことを願いたいと思います。

LIMO編集部