SKハイニックス、2017年下期に72層3D-NANDフラッシュを量産

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写真提供:電子デバイス産業

投信1編集部によるこの記事の注目点

  • SKハイニックスは72層の3D-NANDフラッシュを開発。積層数の増加および生産性を高めることに成功しました。
  • 72層の256ギガビット(Gb)トリプルレベルセル(TLC)の3D-NANDフラッシュとして2017年下期から本格量産に入ります。
  • 東芝とマイクロンの場合、第3世代の開発には成功したものの、量産には苦労していると言われています。
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SKハイニックスは、このほど72層の3D-NANDフラッシュの開発に成功した。従来品に比べて積層数を1.5倍に増やし、生産性は30%高めた。新製品は、72層の256ギガビット(Gb)トリプルレベルセル(TLC)の3D-NANDフラッシュとして2017年下期から本格量産に入る。

SKハイニックスが開発した72層積層のウエハー

生産性は従来品比30%アップ

SKハイニックスの新製品は、同社が独自で保有する技術を採用して開発した。積層数の増加に伴う工程上の難点をクリアした。現状で量産中の48層の3D-NANDフラッシュより、データを貯蔵するセルを1.5倍多く積める。容量256Gbのチップ1つだけで32ギガバイト(GB)の貯蔵装置が作れる。

256Gb 3D-NANDフラッシュのチップ(写真提供:SKハイニックス)

同社は、16年5月ごろから36層の128Gb 3D-NANDフラッシュを大口取引先に供給し、同年11月には48層の256Gb製品を量産している。72層の256Gb 3D-NANDフラッシュは、72層の高層ビル約40億個を10円玉の面積に建てた、と表現できる。48層に比べて積層数を1.5倍に増やして、既存の設備を最大限に活用し、生産性を30%向上させた。高速回路の設計を適用し、チップ内部の動作スピードを2倍速めて、読み書き性能を20%程度高めている。

同社では、SSDとスマートフォン(スマホ)など、モバイル機器向けNANDフラッシュ・ソリューション製品への新製品の採用可能性を探っている。

クラウドなどに爆発的需要見込む

3D-NANDフラッシュは、メモリーセルを水平(2D)ではなく垂直に積み上げて、速度と容量を画期的に改善したメモリー半導体である。同じ空間から得られる貯蔵容量を大幅に増やせることから、既存のメモリー半導体市場を変える優れものと評価されているが、量産技術が難しいという短所を持つ。

メモリー半導体業界トップのサムスン電子でさえ、17年1月に第4世代の3D-NANDフラッシュを量産したばかりだ。東芝とマイクロンの場合、第3世代の開発には成功したものの、量産には苦労しているといわれている。

3D-NANDフラッシュは、人口知能(AI)、ビッグデータ、クラウドなどが牽引する第4次産業革命の時代に向けて、爆発的な需要増が期待されている。専門調査機関のガートナーによれば、17年のNANDフラッシュ市場規模は465億ドルに達し、21年には565億ドルまで拡大すると予測している。

トップシェアのサムスン電子を猛追

SKハイニックスは、長い間、DRAMを専業とする半導体メーカーであった。サムスン電子は2000年代半ばからNANDフラッシュ市場に参入できたが、債権団の法定管理下にあったSKハイニックス(旧ハイニックス半導体)は積極的な投資ができなかった。12年2月にSKグループが経営権を獲得してから状況が一転し、NANDフラッシュに対する果敢な投資に踏み切ることができた。

また、12年6月を起点に、イタリアのアイデアフラッシュ社と米国のLAMD社を立て続けに買収するなど、大々的なM&Aを断行。狙いは、NANDフラッシュのコントローラー技術と性能アップのための技術を確保することであった。

だが、同社のNANDフラッシュ事業は15年まで赤字を余儀なくされていた。以来、粘り強い投資と技術開発が功を奏し、同社のNANDフラッシュ市場シェアはいまや13.3%まで拡大し、マイクロンを抜いて業界第3位に浮上している。

とりわけ今後、72層の3D-NANDフラッシュの量産に成功すれば、東芝とマイクロンを追い越し、トップのサムスン電子を猛追していくことになるだろう。

電子デバイス産業新聞 ソウル支局長 嚴在漢

投信1編集部からのコメント

東芝メモリの行く末は多くの人が注目するところですが、その競争環境は厳しさを増すばかりです。「東芝は虎の子のメモリ事業をなぜ売却するのか」という指摘も多いものの、今後東芝メモリが積極的な設備投資をできない場合には、この記事であるように量産技術で劣後し、価格競争でも十分に戦えない可能性も高いと思われます。

東芝からすれば、東芝メモリが高値で売却できるのなら売却して十分なキャッシュを手にし、次の成長分野を模索するのも経営判断の一つでしょう。「国の技術を守れ」という指摘もありますが、メモリはCPUといったロジックと比較すれば周辺部品という見方もできなくはないと言えます。日本として何を残すべきかという議論が必要だと思われます。

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