パイオニアが最終損益赤字転落で株価急落、理由は何か

中長期的には自動運転関連に注目すべき?

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パイオニアの最終損益は一転赤字に

2017年4月27日、パイオニア(6773)は、2017年3月期業績予想の下方修正を発表しました。従来予想比で、売上高は▲35億円、営業利益は▲38億円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終損益)は▲61億円に引き下げられました。この結果、営業利益は対前年度比で増益から一転して減益となり、最終損益については赤字転落となる見込みとなりました。

今回の発表では、主な修正理由として、新興国でカーエレクトロニクスの市販事業が不振であったことや、海外における事業構造改善費用が計画を上回ったことなどが示されています。

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なぜネガティブサプライズだったのか

決算発表翌日、28日のパイオニアの株価は大幅な続落で始まり、一時前日比▲7%まで下落しています。同社の株価は、すでに市場平均に対してアンダーパフォームしていたため、短期業績の下振れに対してある程度の警戒感は織り込まれていたと推察されますが、28日の株価の動きから判断し、今回の下方修正は市場の想定以上に厳しいものであったと推察されます。

では、なぜそのような期待値のギャップが生まれてしまったのでしょうか。

2か月半前の2月13日に行われた決算説明会を振り返ると、そのことを探るカギとなる以下の会社側コメントがありました。

「カーOEMの受注状況等を反映し、前回予想に対して売上は減少を見込むが、コスト管理の強化により通期の利益予想は据え置く」

このコメントによってコスト削減に対する期待が高まり、第3四半期決算発表後、通期業績予想に対する安心感が醸成されたことが推察されます。よって、そのことが今回のネガティブサプライズにつながった可能性が考えられます。

加えて、同じ27日には同業のアルパイン(6816)が決算を発表しており、パイオニアの苦戦が際立ったことも株価大幅下落の一因となったことも考えられます。

上述のように、パイオニアの2017年3月期の営業利益は減益の見通しですが、アルパインの実績は減収ながら営業利益は増益での着地となっていました。

また、パイオニアが下方修正を発表したのとは対照的に、アルパインの実績は、従来予想に対して売上、営業利益、経常利益、純利益のいずれも上振れでの着地となっていました。このため、28日のアルパインの株価は一時+5%高とパイオニアとは対照的な動きを示しました。

今後の注目点

以上のように、短期業績や株価はあまり冴えないパイオニアですが、少し長い視点ではどこに注目すべきでしょうか。

パイオニアは、過去においてはレーザーディスク、スピーカー、ヘッドホンなどの家庭用AV機器メーカーとしても有名でしたが、現在は、投信1のこの記事『【カーナビ関連で復活を目指すパイオニアを大解剖】』でも述べたように、カーエレクトロニクス(カーエレ)をコア事業として成長を目指す企業へと転身中です。

当面のカーエレ事業の中心は、カーナビ、カーステレオ、カーAVシステム、カースピーカーなどの既存事業ですが、中長期的には自動運転に関連する新規事業を新たな柱とすることを目指しています。

具体的には、自動運転の実現に必要とされる高精度の地図ソフトや、地図ソフトを作成するための3D-ライダー(Light Detection and Ranging)」と呼ばれるセンサーの開発などですが、これらの事業の拡大に成功すれば、パイオニアは「自動運転の実現になくてはならない会社」となることが期待されます。

5月12日に予定されているパイオニアの決算発表では、短期的な業績動向だけではなく、自動運転関連事業をどのように進展していくかについても注視していきたいと思います。

パイオニアの過去1年間の株価推移

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。