信越化学工業の決算から読み解く半導体ウエハー最新事情

フル稼働、フル販売、価格修正実現の絶好調はいつまで続く?

信越化学工業が2017年3月期決算を発表

4月28日、大手化学メーカーの先陣を切って信越化学工業(4063)の2017年3月期決算が発表されました。

売上高は前期比▲3%の減収ながら、営業利益は同+14%増の2,386億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同+18%増の1,759億円と2桁増益を達成。当期純利益は7期連続の増益となりました。利益を牽引したのは塩ビ・化成品、半導体シリコン、電子・機能材料の3つのセグメントで、塩ビ・化成品、半導体シリコンは揃って2桁の増益を達成しました。

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ちなみに、半導体シリコンが稼いだ営業利益を四半期ごとに見てみると、第1四半期(2016年4-6月期)136億円、第2四半期(同7-9月期)124億円、第3四半期(同10-12月期)133億円、第4四半期(2017年1-3月期)164億円と、300ミリウエハーの価格修正が実現した第4四半期の利益が急回復していることがわかります。

決算説明会で示された好調ぶり

300ミリウエハーの世界の月産能力は、数年前で480万枚、足元では510万枚(SUMCOの見方)と言われますが、2017年3月期の世界の月間出荷枚数は、おおよそ520~540万枚平均との分析結果が示されました。

また、自動車用パワー半導体、PCなどに使われる200ミリウエハーも世界の月産能力480万枚を超える500万枚の生産レベルまで上昇しているという説明があり、300ミリウエハーに続く価格修正が2017年度後半に実現する可能性も示唆されました。

となれば、フル生産、フル販売、価格修正実現の三拍子が揃った10年振りの好調が期待できるかもしれません。150ミリウエハーも世界的にフル生産が続いている模様で、担当役員のコメントによると今年4-6月、7-9月のウエハー全体の出荷は強いとのことでした。

何がリスクが高まるきっかけになるのか

半導体関連企業の2017年1-3月の決算は、上位、中下位を含め、おしなべて好決算となっています。スマホの出荷台数増は+4%程度ですが、ハイエンド品の増加、ハードディスクからSSDへのシフト、IoTによる様々な分野での半導体アプリケーション等、弱気の意見は聞こえてきません。

一方、国内の信越半導体(信越化学工業の100%子会社)、SUMCO(3436)は、ウエハー設備の新増設に極めて慎重です。10年前の強気の設備投資によるトラウマが今でも企業経営者の頭に残っているのかもしれません。

しかし、300ミリも200ミリも足元で既にフル生産状態にあり、今後ますます市場拡大が予想される半導体市場への供給責任という重大な任務を負っているのも事実です。

上記のような状況に鑑みると、2018年もこのままいけばウエハービジネスは堅調と見ていいのではないかと思われます。

唯一、懸念されるリスクとして考えられるのは、中・下位のウエハーメーカーがシェア拡大を意識した大掛かりな設備の新増設を発表することです。シェア競争→価格競争→業績下振れといういつものシナリオが起きないとも限りません。

石原 耕一

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石原 耕一

早稲田大学法学部卒。ペンシルバニア大学ウォートン校AMP修了。
大学卒業後、和光証券(現 みずほ証券)に入社。その後、リーマンブラザーズ証券、UBS証券、みずほ証券等でアナリストとして40年以上株式市場で調査活動に従事。特に化学セクターでは20年以上の調査経験を持つ。