VEデー前日の仏大統領選。波乱を最初に受け止めるのは東京市場?

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5月8日は欧州戦勝記念日(VEデー)

5月8日は「欧州戦勝記念日」です。御存知でしたか?

これは、1945年5月8日に、第2次世界大戦を起こしたナチス政権のドイツが、当時の連合国軍に対して降伏文書に調印、無条件降伏した日を記念するものです。連合国がヨーロッパにおける勝利を記念して設けた日で、「VEデー(Victory in Europe Day)」とも呼ばれています(以下、VEデーとします)。欧州諸国にとっては非常に重要な記念日です。

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世界では何らかの形で戦勝記念日を祝すのが一般的

日本では、このような“戦勝記念日”に該当する日がありません。毎年8月15日を「終戦の日」として、平和を誓う様々な行事が敢行されているのは御存知の通りですが、戦勝記念日でないことは明白です。

しかし、世界各国では、何らかの“戦勝記念日”を祝す行事が行われるのが一般的です。ただ、国によっては、その戦勝記念日がそのまま“独立記念日”、“解放記念日”、“建国記念日”という形に変わっているケースが少なくありません。

なお、近隣諸国の具体例を挙げると、中国が9月3日を「対日戦勝記念日」、韓国は8月15日を「光復節」、北朝鮮は8月15日を「解放記念日」としていますが、戦勝記念日を祝すことは全く同じです。

戦勝かどうか疑わしい場合でも戦勝記念日に

また、世界では、戦勝かどうか疑わしいにも拘らず、戦勝記念日として様々な行事を行うケースも珍しくありません。

例えば、第1次~第4次まで4回に渡って起きた中東戦争は、いずれもイスラエルの大勝利、或は、圧倒的優勢で終わったというのが一般的な見解です。

しかし、第4次中東戦争では、エジプトがイスラエルに対して先制攻撃を企て、大きな損害を与えました。その後、イスラエル軍の大反撃に遭うわけですが、エジプトはこの先制攻撃を掛けた日(10月6日)を“戦勝記念日”として、現在でも様々な行事を行っています。

ちなみに、1979年10月6日の戦勝記念軍事パレード中に、サダト大統領(当時)が暗殺された事件は世界中に大きな衝撃を与えました。

VEデーが国民の祝日なのは旧西欧諸国でフランスだけ

さて、話を冒頭に記した5月8日のVEデーに戻します。

このVEデーを最も重要視している欧州主要国がフランスです。これは、VEデーを国民の祝日に制定している旧西欧諸国がフランスだけという事実からも十分理解できましょう(注)。やや意外ですが、敗戦国のドイツやイタリアだけでなく、戦勝国のイギリスやオランダ、迫害を受けたポーランドも祝日には定めていません。

注:ロシアも5月9日を国民の祝日に制定しています。また、旧東欧諸国の一部にも祝日に制定しているケースがあるようですが、未確認です。

フランス国民にとってVEデーは想像以上に重要な日

フランスは戦時中に首都パリをドイツに占領され、ナチス傀儡政権に支配されたという経験が、そうさせているのだと推測されます。

5月8日のVEデーは、フランス、及び、フランス国民にとっては、想像以上に重要な日であると考えていいでしょう。VEデーは、フランス革命記念日(7月14日)と並ぶ記念すべき日のようです。

VEデーの前日に実施される大統領選の決選投票

今年、そのVEデーの前日である5月7日に、フランス大統領選挙の決選投票が行われます。先に実施された第1回目の投票で、中道で無所属のマクロン前経済相と極右政党・国民戦線のルペン党首(注:その後党首を辞任)の2人が、決選投票に進出しました。

御存知の方も多いと思いますが、マクロン氏は親EUで移民推進派、ルペン氏は反EUで反移民の自国第一主義です。そして、仮にルペン氏が大統領になった場合、EU離脱を含めてフランスのみならず、欧州全域に激変が起きると懸念されています。

極右政権の誕生の可能性は低いという世論調査だが…

様々な世論調査によれば、現時点では、マクロン氏が優勢の模様であり、ルペン氏による極右政権の誕生は可能性が低いとされています。しかし、昨年から事前の世論調査が全く当てにならないことが証明されており(ブレグジット、トランプ大統領)、極右政権誕生を阻もうとする人々は油断できない状況にあるようです。

一方で、既存の政党政治やEUの移民政策に辟易とした人々が多いのも事実であり、ルペン氏への支持は一層高まっているという報道もあります。

決選投票の結果を受けて最初に反応するのがGW明けの東京市場

選挙の結果を予想することは難しいです。しかし、祝日であるVEデーに出てくる結果が、フランス国民の選択として、世界の金融市場に大きな影響を与えるでしょう。

そして、時差の関係もあり、その結果を受けて最も早く反応する主要市場の1つが東京市場なのです。しかも、東京市場はGW明けとなります。GW明けの金融市場の大きな動きから目が離せません。

投信1編集部

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投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。