今日、5月2日は「緑茶の日」です。ご存知でしたか? 最近は「緑茶」と聞いて急須でゆっくりお茶を入れる光景よりも、ペットボトルでぐびぐび飲むところをイメージする方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、緑茶を扱う飲料メーカーの足元の状況や株価動向にスポットを当てたいと思います。

伊藤園の緑茶市場シェアは驚きの35%

伊藤園(2593)といえば緑茶、お弁当に合うペットボトル緑茶といえば伊藤園というくらいのイメージがあると思います。2015年の緑茶飲料市場は4,150億円で、同年の伊藤園のシェアは金額ベースで35%です。

2000年以降の市場シェアを見ると、01年、04年、05年に一時的に30%を切ったことがありました。また、足元は2010年の39%をピークに低下傾向にあるとはいえ、安定的に30%台の市場シェアを維持しています。

さらに、ペットボトル緑茶のイメージが強い同社ですが、葉茶、特に緑茶リーフ簡便性市場でのシェアは2015年に43%となっています。

このように、同社は国内の緑茶市場でリーダー的な存在と言えるでしょう。海外展開も積極的に進めていますが、やはり国内では圧倒的な存在感を示しています。

リニューアルに成功したキリンの生茶

キリンホールディングス(2503)の生茶は、伊藤園の緑茶市場での立ち上がりを横目に2000年に販売が開始されました。

生茶は同社の商品ポートフォリオの中でも、コーヒー、水(小型)に次ぐ収益性の高い商品です。また、緑茶は市場成長率が高いこともあり、同社は最近、生茶のリニューアルを通じて改めてブランディングの強化とシェア拡大を追求しています。

しっかりとブランドを確立したサントリー食品の伊右衛門

ペットボトル緑茶市場では上記2社にやや後れて、2004年に市場投入されたのが伊右衛門です。同製品を扱うサントリー食品インターナショナル(2587)は2013年に上場を果たしています。

同社は後発とはいうものの、マーケティングで策を凝らすと同時に販路の選定などで伊右衛門を着実に根付く商品へと育ててきました。

最近では2017年3月にリニューアルをしていますが、2017年1-3月期の伊右衛門は販売数量が対前年比で+10%増となりました。これは、同社の基幹商品であるサントリー天然水やBOSSと比べても高い伸びとなっています。

遅れてきた巨人、日本コカ・コーラの綾鷹

コカ・コーラといえば飲料業界の巨人ではありますが、プレミアム緑茶として綾鷹が市場投入されたのは2007年でした。ここで取り上げる4ブランドでは最後発となります。

ただ、商品の絞り込みは遅れたものの、販売ルートの強さで一定のポジションを築いたのは、さすがコカ・コーラと言えるでしょう。

緑茶に強い飲料メーカーの株価はどうか

ここまで日本のペットボトル緑茶市場の参入の歴史とプレーヤーを見てきましたが、次に各企業の株価動向について見てみましょう。ここでは、過去2年間の伊藤園、キリンホールディングス、サントリー食品の株価パフォーマンスを振り返ります(サントリー食品の上場が2013年だったため)。

結論から言えば、TOPIXが概ね横ばいである中、伊藤園は60%近く上昇し、キリンホールディングスは40%弱の上昇。サントリー食品はTOPIXと同程度の株価パフォーマンスです。

商品ポートフォリオや業績悪化理由などが各社一様でないため単純な比較はできませんが、上記の結果で言えば国内を中心に緑茶を軸とした商品ポートフォリオを有する伊藤園が最も好調なパフォーマンスを示しています。

お茶を狙うのは緑茶メーカーばかりではない-スターバックスも最近はお茶

今後、世界の健康志向を飲料ビジネスとしてどう取り込んでいくかというテーマはどの飲料メーカーにも共通するところだと思いますが、その中でもお茶は非常に大きなテーマとなりそうです。

たとえば、スターバックスがお茶の新ブランドティバーナ(TEAVANA)を積極展開し始めたように、様々な業種が「茶」に熱い視線を送っています。

熱いお茶から目が離せません。

青山 諭志