1年間で株価が2倍に! トプコンに何があったのか?

2017年3月期決算、3つの注目ポイント

写真はイメージです

決算発表後、株価が大幅高に

大型連休前の2017年4月28日に決算を発表したトプコン(7732)の株価は、5月1日には前営業日比+5%の大幅高、連休明けの8日には9連騰で年初来高値を更新しました。

また、同社の株価はこの1年間で2倍にまで上昇しており、日経平均の+20%上昇に対しても大幅にアウトパフォームしています。

そのトプコンは、売上高が約1,300億円(2017年3月期)、時価総額が約2,250億円の中堅精密機器メーカーです。創業は1932年、服部時計店精工舎の測量機部門を母体に「東京光学機械」としてスタートしています。

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その後、測量機、双眼鏡、カメラ等の生産を行い、現在はメガネ店や眼科で使われる眼底検査機器、建設現場などで使われる測量機、建機や農業機械に組み込まれるGPSの3分野が主力事業です。

余談ですが、トプコンは1960年から東芝の関連会社となっていました。しかし、粉飾決算問題による財務体質改善のために東芝は全株を2015年9月に売却しています。

決算での3つの注目ポイント

2017年3月期決算を見ると、売上高は円高影響により減収でしたが、営業利益は増益を確保し、会社計画をクリアしました。一方、新年度予想については増収・増益予想とされ、配当も増配が予想されています。

この決算自体には大きなサプライズはなかったものの、決算説明会では今後を考えるうえで注目したいポイントが3つありました。

第1は、同社の最大部門でありGPSを主力とするポジションニング事業が、前年度の大幅減益から一転して増益に転換し、会社計画比でも大きく上振れしていたことです。

2016年3月期は、穀物価格の低迷により農機向けが深刻な不振に見舞われたことや、建機メーカー向けOEMの一時的な停滞により業績は振るいませんでした。しかし、2017年3月期は農機市場向けも回復に転じ、再び成長トレンドに復帰していることが確認できました。

建機や農業機械でも、クルマの自動運転化と同じように、熟練者でなくても鉱山の掘削作業や農地の整備を可能とするICT化が進展しています。これをサポートするのがトプコンのGPS技術であるため、この部門の動向は要注目であると思われます。

第2は、測量機とドローン、地上型レーザースキャナー、車載型レーザースキャナーなどを組み合わせて建設作業を行う「i-Construction」関連に注力する考えが示されたことです。

国内の建設分野では人手不足が深刻化しいています。こうした事態に対応し、国土交通省ではi-Constructionの推進を積極的に進めるなど、この市場は導入期から本格的な普及期に入ろうとしています。

同社は、製品のラインアップの拡大や、教育・サポート体制の強化に取り組んでいるため、このトレンドを大きなビジネスチャンスとしていくことが期待されます。

第3は、眼底像撮影装置などを主力とするアイケア部門が減収・減益となったものの、米国での販売や受注は好調であったことです。

好調の理由は、最先端製品である3D OCT-1 Maestro (3次元眼底像撮影装置)が昨年7月に米国で食品医薬品局(FDA)から承認を受けたことによります。

3D OCT-1 Maestroは既に日本や欧州で成功を収めてきています。今後は、この分野の最大市場である米国における浸透が収益へ貢献することに大きな期待が持てそうです。

まとめ

トプコンは、「医」(ヘルスケア)、「食」(アグリカルチャー)、「住」(インフラストラクチャ―)という世界的に見ても成長が期待できる分野において社会的課題を解決し、事業を拡大するグローバルカンパニーとなることをミッションとしています。

また、そうしたミッションに沿って、それぞれの分野で興味深い成長製品を持っています。このため、今後も同社の取り組みには大いに注目していきたいと思います。

トプコンの過去1年間の株価推移

 

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。