年初から4か月が経過。外部環境の影響を受けやすく、方向感が出しづらい

2017年5月2日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より135円18銭高の19,445円70銭となりました。

週初の1日には、米議会が歳出法案に暫定合意したというニュースが伝わりました。米国政治の不透明感が和らいだことから、為替相場ではドルが買われ円が売られる動きとなり、1日には一時、111円90銭前後まで円安が進みました。これを好感し、輸出関連などの銘柄の買いが進みました。

2日も日経平均は続伸し、1日と2日の2日間で240円以上上昇しました。今週はゴールデンウィークの連休で、営業日が2日しかありませんでしたが、来週からは多くの企業の決算発表が行われます。連休明けの上昇にも期待したいところです。

さて、1年の3分の1が過ぎたこともあり、少し長い視点で年初からの動きを振り返ってみましょう。2017年1月4日の大発会は4年ぶりの上昇で始まりました。ただしその後は一進一退といった、もみ合いになります。要因は主に外部環境です。特に米国の政治・経済の動向と、それにともなう為替相場の動きに、日経平均も振り回されました。

トランプ米大統領の言動にも市場が敏感に反応しました。為替相場は、当選が決まった後には一時、1ドル=118円台後半にまで円安が進みましたが、大統領に就任するとトランプ大統領にドル高をけん制する発言が目立つようになります。

さらに、トランプ政権の政策実行への期待も薄れます。3月には、医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案を撤回せざるを得なくなりました。このほか、シリア攻撃や北朝鮮情勢の緊張など、地政学リスクも高まりました。

4月下旬からは、米政権への政策期待が再燃したことやフランス大統領選の第1回投票が無難に通過したことを受けて、世界の株式市場も持ち直し、さらに円安が加速したことから日経平均も大幅に回復しました。

足元の動きを見ると、日経平均は下値が堅い印象があります。ただし、引き続き海外の経済や政治の情勢の影響を受けることも確かです。急な値動きにも対応できるよう備えておきたいところです。

三角持ち合いの形でもみ合いが続き、上値をトライしては跳ね返される

年初からの動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。大発会の1月4日の終値が昨年来高値となると、翌5日はザラ場ベースで19,615円の高値を付けます。ただし、その後は下落し、1月18日には一時、18,650円となります。ただ、ここから一気に下がるかと思わせましたが、75日移動平均線に届く前に反発しました。

ところが上値も重く、1月5日の高値(19,615円)をなかなか抜けることができません。1月27日(19,486円)、2月13日(19,519円)と、何度も上値をトライしては跳ね返されてしまいます。3月2日には一時、19,668円と、1月5日の高値(19,615円)を超えますが、それでもまた翌日には戻ってしまいます。3月10日(19,623円)、3月13日(19,656円)も同様です。

難しいのは、上値の抵抗が大きいにもかかわらず、勢いが下がっているわけではないこと。むしろ、下値が切り上がる三角持ち合いの形で、いずれは上放れすると予想されました。

しかし、ちょうど三角持ち合いの幅が狭くなったときに、米国で医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案を巡り、共和党内からも反対の声が相次いでいるというニュースが伝わりました。その後の米国によるシリア攻撃など、悪い環境が重なり、4月17日には一時、18,224円と年初来安値を更新します。

今年の株式相場の難しいところは、このように最高値や最安値を更新しても、その流れが続かず、外部環境によって振られるところです。今回も、最安値更新後、その後の米政策期待やフランス大統領選の結果により、短期間で下落分を回復してしまいました。

今後の展開が読みづらいところですが、これまでと同様に18,500円~19,500円あたりまではレンジ幅と考えられます。レンジを上抜ければ一段上を目指す動きとなり、積極的に出動したいところですが、再度レンジ内でもみ合うこともありそうです。ただし、それでも、週足などによる中期的トレンドは上昇傾向にあります。若干の調整があっても、押し目買いの好機と考えていいと思います。

日経平均株価の過去6か月間の推移

下原 一晃