コマツの株価は過去3度トライして失敗した3,000円付近の高値ブレイクにチャレンジ中です。過去からの減益トレンドに加え、2018年3月期も減益予想の中の高値ブレイク挑戦という、非常に興味深い状況となっています。今後の株価のポイントを、テクニカルの観点から考えてみました。

コマツは4期連続減益となるのか

過去は資源高の恩恵を受けたコマツ。しかし、その後は資源価格下落の影響も受け、2014年3月期以降3期連続の減益決算を発表するなど業績は決して好調とは言えません。以下、コマツの売上高、税引き前当期純利益(以下、税引前利益)、当社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)を見ていきましょう。

2014年3月期 売上高1兆9,536億円、税前利益2,420億円、当期純利益1,595億円
2015年3月期 売上高1兆9,786億円、税前利益2,360億円、当期純利益1,540億円
2016年3月期 売上高1兆8,549億円、税前利益2,048億円、当期純利益1,374億円
2017年3月期 売上高1兆8,029億円、税前利益1,664億円、当期純利益1,133億円
2018年3月期(会社予想) 売上高2兆1,350億円、税前利益1,410億円、当期純利益920億円

2015年3月期から2017年3月期まで3期連続の減益に加え、2018年3月期の会社予想も減益となっており、現状では4期連続の減益の可能性が高くなっています。

このように、2018年3月期の当期純利益は2014年3月期比で約6割の水準にまで下落が予想されているコマツですが、意外にも株価は足元健闘しています。

次にコマツの株価推移を見てみましょう。

コマツの株価は3,000円付近に壁が存在

長期の視線でコマツの株価を見ると、最高値は2007年10月に付けた4,090円で、資源価格の高騰に株価も後押しされた形となっていました。

しかし、その後は2008年10月まで1年で702円にまで下落。リーマンショックがあったとはいえ、株価は最高値の約2割の水準にまで下落します。

その後、702円を底に株価は立ち直り、戻り高値として2011年5月に3,000円付近にまで株価は回復。ただ、戻り高値3,000円付近の壁が厚く、過去3回3,000円付近の壁に跳ね返され、その度に1,500円まで押し戻されます。

現在の株価は4度目の3,000円付近の壁に取りついた状態です。ここから先、4度目のトライで上方ブレイクするのか、やはり壁に跳ね返されるのか、重要な価格に位置しています。

コマツの過去10年間の株価推移

上方ブレイクの場合は3,400~3,500円が次のポイントか

過去の3,000円付近の値動きでは、いったん壁に取りついた後、すぐに押し戻されるケースがほとんどでした。ただ、今回は3,000円付近に取りついてその値位置を維持しており、今度こそはと、株価の上方ブレイクの期待が高まります。

仮に3,000円付近の壁を上方ブレイクできた場合、次の株価ポイントは3,400~3,500円付近と予想されます。先に述べた最高値4,090円から安値702円にまで下落する途中、2008年5~6月にいったん戻りを入れたのが3,400~3,500円付近です。

今後、株価が3,000円を明確に上回るようになれば、以前に値動きが反転した3,400~3,500円付近が意識される展開が予想されます。

まとめ

業績好調の中でも株価が伸び悩む会社も少なくありません。しかし、コマツのように足元の業績が伸び悩んでいても株価は堅調に推移する会社もあります。これが株式投資が「科学ではなくアート」と言われる1つの要因でもあります。

コマツはまさに現在、業績が伸び悩みの中で株価が上昇の一歩手前に位置しているという、非常に興味深い状況にあります。4期連続の減益予想の中でも、4度目のトライで3,000円付近の壁をブレイクすることができるのでしょうか。今後のコマツの株価の動きに注目したいと思います。

LIMO編集部