大阪観光局によると、2016年に大阪を訪れた外国人観光客数は約941万人で、2013年から4年連続で過去最高を更新。中でも、「ザ・大阪」とも言える難波の街は外国人観光客であふれかえり、心斎橋商店街には世界各国の言葉が飛び交っています。

実は、難波に外国人観光客が集まるのは必然的な流れ。今回は、その要因と魅力を解き明かしていきます。

関空を出ると難波に到着

今や外国人観光客の玄関口として成田と並ぶ存在となった関西国際空港。LCC(格安航空会社)を利用して多くの外国人観光客が押し寄せています。

その関空に降り立った観光客が最初に向かうのが難波です。南海難波駅まで空港急行で約45分。難波と関空を結ぶ南海本線は、昼夜問わず大きな荷物を持った観光客でごった返しています。

難波から道頓堀と黒門市場はいずれも徒歩圏内

大阪での外国人観光客に有名な観光スポットは、なんといっても道頓堀と黒門市場です。

グリコの巨大なネオンサインで知られる道頓堀は、日本人にとっても大阪を代表する観光スポットですが、それは外国人観光客にも同じこと。道頓堀周辺は今や日本人より外国人観光客が多くなっています。

一方、黒門市場は鮮魚や青物など生鮮食品の商店が集まっていますが、こちらも今や外国人観光客には魚介類を食するスポットとして有名なエリアとなっています。黒門商店街を歩くと、まるで海沿いの街かと思うほど、魚介類の網焼きの店が軒を連ねています。

この道頓堀と黒門市場という2大スポットは、いずれも難波駅から徒歩圏内にあります。道頓堀から黒門市場へ、または黒門市場から道頓堀へ、どちらのルートも可能。難波は単に観光客が乗り降りする駅があるというだけではなく、電車を降りればそのまま観光を楽しめる街なのです。

日本橋に増えるホテル、難波は観光が完結できる街に

難波のお隣で、かつては大阪の電気街として知られた日本橋。現在、日本橋は西日本におけるアニメの聖地として知られており、日本のアニメ好きな外国人観光客の姿も多く見られます。

その日本橋では外国人観光客向けのホテルが急増中。日本橋も難波駅から徒歩圏内であるだけでなく、黒門市場のすぐお隣でもあります。なおかつ、日本橋からは通天閣のある“ディープ大阪”の新世界が徒歩圏に入ってきます。

ホテルのある日本橋を拠点に、道頓堀・黒門市場・新世界を徒歩で観光できるという、リピーターの外国人観光客も十分楽しむことができ、観光が難波で完結するルートが形成されつつあります。

京都とは真逆の難波の観光モデル

外国人観光客にとって日本第一の観光都市と言えば今も昔も京都ですが、京都は観光スポットが各地に点在しています。それが京都観光の良さでもありますが、移動の手段の多くがバスとなり、交通渋滞に巻き込まれることもしばしばです。それでも観光客が多いのは、伝統的な観光資源が豊富な京都ならではと言えます。

一方の大阪は、難波の便利さを抜きにして外国人観光客の多さは語ることができません。ザ・大阪が楽しめるのが難波、というだけではなく、関空に到着して難波に行けば、ホテルや観光地が徒歩圏内に集積しているという点も、外国人観光客を惹きつける大きな要因となっています。

難波はワンストップで楽しめる観光地として定着

外国人観光客の爆買いは一巡したかに見えますが、難波の街を歩けば、外国人観光客の消費意欲の旺盛さには驚かされます。

確かに宝飾品等の爆買いは姿を消しましたが、外国人観光客が道頓堀や黒門市場で食べ歩きをしたり、ドラッグストアで買い物をする姿は日常的な光景になっています。そして今や難波の居酒屋にも外国人観光客が押し寄せるなど、今や観光地として定着した感があります。

外国人観光客がワンストップで楽しめ、リピーターも満足させることができる難波の街は、単なる一時的なブームではなく、日本におけるインバウンド消費の中心地になりつつあるのではないでしょうか。

LIMO編集部