先週112円台後半からスタートしたドル円は、週半ばには114円台にまで上昇。しかしながらその後下落し、113円台前半で週の取引を終了しています。

先週は金融市場全体として4月下旬より続いたリスクオン相場が一息入れた状態となりました。今週は再度リスクオン相場に向けた動きとなるのか、それともリスクオンの流れが巻き戻されるような動きとなるのかに注目です。

先週の為替動向振り返り

先週は7日にフランス大統領選挙の決選投票があり、8日早朝には無所属のマクロン氏の勝利が報道されましたが、それ以外に大きなイベントはありませんでした。

4月の第1回投票の際は、マクロン氏の決戦進出が報じられると金融市場はリスクオンに傾き、株高に加え為替もドル円やユーロ円の上昇が見られました。しかし、決選投票においては、さらにリスクオン相場が加速するといった動きは見られませんでした。

そんな中でドル円相場は一時114台に乗りました。ただし、チャートパターン的に天井を付ける際に出現しやすいWトップの形となり、12日(金)には113円台前半にまで値を戻しました。

また、リスクオン相場で一気に5円以上上昇したユーロ円は、124円台突入の後で下落したものの123円台後半の価格を維持しています。

金・原油・VIX指数に底打ちの可能性が

リスクオン相場入り後、下がり続けた金・原油(WTI)・VIX指数が、チャート的にはいずれも先週底打ちの可能性を示唆しています。

特に原油(WTI)は5営業日の内で4営業日が陽線となるなど上昇が鮮明で、48ドル台を回復。リスク指標と言われるVIX指数は8日に歴史的な最安値を更新しましたが、週後半に向け上昇。依然、最安値の水準に位置しはていますが、先々週の水準に戻っています。

金価格についても先々週に大きく値下がりしましたが、先週はそれほど値動きはなく、いったん落ち着いた状態となりました。

今週の為替動向見通し

今週も先週同様、大きな指標発表等のイベントありません。ただし14日に北朝鮮がミサイル実験を行っており、リスクオン相場の中においても、依然地政学リスクには変化がないという点は注意が必要です。

また、先週トランプ大統領が米連邦捜査局(FBI)のコミー長官を更迭しました。その政治的影響が、減税やインフラ投資といったトランプ政権の経済政策実現にまで及ぶ可能性もあるので、今後の推移を見守る必要があります。

為替市場で注目したいのは、ドル円が再度114円を目指す値動きとなるのか、それとも失速して円高方向に向かうのかという点です。

リスクオン相場で一気に値を上げたユーロ円は、先週も高値圏を維持していますが、ドル円は114円台を維持できず、113円台に下落しています。また、ユーロ円は高値圏を維持するものの、先週末ユーロドルは上昇に転じています。

ユーロ円、ユーロドルの状況を踏まえると、ドル円の下落は相対的にはドルの下落に円の上昇が重なったものと考えられ、ドル安・円高の状態で113円台に下落しています。よって再度114円台を回復するには、リスクオンがさらに進むなど市場の変化が必要とも言えます。

いずれにしても4月下旬からのリスクオン相場で、ユーロ円は5円以上の値上がりと主役級の値動きを見せており、ドル円市場の行方を占う上でもユーロ円の行方は要注意と言えます。

まとめ

日経平均が20,000円達成目前となり、ドル円は114円台からいったん113円台に戻っている状況下、日本株の上昇により日経平均が上昇すれば、ドル円は再度114円台に上昇の可能性も高まります。

今週はユーロ円、そして日経平均の値動きにも注意しつつ、為替市場を見ていきたいと思います。

LIMO編集部