東芝もシャープも。個人投資家が2017春にNISA口座でがっつり買った10銘柄

投資家はいつでも、誰がどういった銘柄を買ったのか、売ったのか、また他の投資家が保有しているのか気になるものです。機関投資家の売買動向が分かる大量保有報告書がセミプロの個人投資家に愛用されるというのもその気持ちの表れと言えるでしょう。

今回は、一般的には長期投資を前提としている税メリットのあるNISA口座で、どのような銘柄が個人投資家に好まれて買われたのかを見ていきたいと思います。

国内株式の委託個人売買代金シェアはSBIと楽天で全体の約半分

続きを読む

日本で最大のネット証券であるSBI証券が2017年3月期の決算発表資料で、同社のNISA口座での、2017年1月から3月までの買付商品や国内株式買付金額の上位10銘柄を発表しています。

SBI証券は2016年4月から2017年3月において国内株式の委託個人売買代金シェアで約35%を占める証券会社です。第2位が楽天証券の約15%、第3位が松井証券の13%と続きます。したがって、SBI証券の動きを見ていれば、全体の動きを詳細に把握できるとまでは言えませんが、トレンドの一部を垣間見ることができると言えます。

NISA口座では日本株がほとんどで上位10社は大企業がズラリ

まず特徴的なのは、NISA口座での買付が最も大きな金融商品は国内株式となっていることで、全体の約80%を占めています。NISA口座をお持ちの方は日本株が好きということでしょうか。次いで投資信託が17%、外国株式が2%強となっています。

全体の80%程度を占める国内株式の買付銘柄の詳細で目につくのが「誰でも知っている大企業」です。たとえば、10銘柄の中には、以下の様な銘柄が並びます。

メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、自動車メーカーのトヨタ自動車(7203)、日産自動車(7201)などです。

いかがでしょうか。株式投資に明るくない人でも知っている銘柄ばかりですよね。

長期で見た優良銘柄をバーゲンハンティングか

また、同10銘柄のリストの中には、製造業の優等生として有名なキヤノン(7751)や、海外買収が成功してきたJT(2914)も入っています。

ただ、キヤノンは今後の成長ドライバーを見出すのに苦労している様子もあります。過去1年の株価パフォーマンスで見ると、2017年4月以降はTOPIXを上回っていますが、それ以前は下回って推移していました。

JTは、電子タバコでフィリップモリスのアイコスに出遅れたという先行き懸念もあるのでしょうか。過去1年間の株価パフォーマンスで見るとTOPIXを大きく下回っています。今後はアイコスの競合商品「プルーム・テック」でどれだけ追い上げることができるかに注目です。

こうして見ると、優良企業の株価が軟調な時に買いを入れている日本の個人投資家のバリュー投資家としての一面も見え隠れします。

しっかりとリスクを取る日本の個人投資家

さて、個人投資家がNISA口座でこの春に買い付けた銘柄としてランキング入りしていたのが、東芝(6502)とシャープ(6753)です。両社は2016年から17年に経営危機が叫ばれ、なかなか純投資として手を出しにくいとお感じの方も多かったのではないでしょうか。

今後もどのような展開になるのか目を離せない両社ですが、過去1年の株価パフォーマンスを見ると、シャープはTOPIXに対して大きく上回り、東芝は引き続き会社の方向性について議論がされているとはいえ、TOPIXのパフォーマンスとほとんど同じです。

シャープは、2017年1-3月に買い付けた株主が現在も保有しているとすれば多くは利が出ている株価水準でしょうし、東芝も上記のようにTOPIXの株価パフォーマンスと同水準ですので、簿価水準か大きく損もしていないと言えるでしょう。

東芝が今後どうなるのかは現時点で判断しにくいですが、東芝メモリの売却状況、ウェスティングハウスそのものの扱い次第では財務体質が改善する可能性もあります。これ以上悪い話は出ない、むしろ良い話が出る可能性が高いと判断したのでしょうか。

スペシャル・シチュエーションを投資機会と見る手練れの投資家

ただ、こうした追い込まれた企業に投資をする手法は海外では定着しています。「スペシャル・シチュエーション(特別な機会)」と呼ばれる状況に投資をする手法です。リスクもあるかわりに、うまくいけば大きなパフォーマンスが出るという狙いです。

特に、NISA口座での取引では売却益に税金がかからないため、大きく上昇すると思う銘柄を仕込んでおくのは「あり」な考えです。ここまでは、日本の個人投資家もさすがという状況でしょうか。

合理的に説明できなければポートフォリオに組み込むことが難しい機関投資家ではなかなかできない投資を正面から実行しているとも言えるでしょう。

まとめ

先に挙げた銘柄以外には、すかいらーく(3197)やオリックス(8591)も上位10銘柄に含まれています。

よく見ると、SBI証券のNISA口座で買い付けられた銘柄を保有すると、金融、自動車、電機、外食、食品といった具合にセクターが程よく分散されたポートフォリオとなっています。この銘柄群で運用してみても面白そうです。集合知を運用に活かすというのも面白いアプローチかもしれません。

投信1編集部

PR

投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストなど金融業界で長年の調査経験を持つメンバーを中心に構成されています。
金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報ををわかりやすくお届けします。