“円高の鉄人トヨタ”は何処へ? 株価パフォーマンス低迷が続く

トヨタ株復活のカタリストは何か

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パフォーマンス低迷が続くトヨタ株

日本を代表する企業の1つであり、最大の時価総額を誇るトヨタ自動車(7203)の株価がパッとしません。

2017年に入って以降も冴えない動きが続いており、2016年末比で▲12.3%下落しています(5月17日終値、以下同)。これは自動車株の中では、マツダ(7261)、SUBARU(7270)に次ぐ不振です。一方で、TOPIXは+3.8%上昇しています。

トヨタ株は、このまま低迷し続けるのでしょうか?

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2017年3月期実績は営業利益▲30%減の大幅減益に

5月10日に発表された2017年3月期決算は、売上高が対前期比▲3%減、営業利益が同▲30%減、当社株主に帰属する当期純利益が同▲21%減となりました。円高の影響に加え、北米市場における販売金融事業の不振(主に中古車価格の下落)などをカバーできずに大幅減益を強いられた形です。

確かに、最後の第4四半期(1-3月期)は増産効果が発揮され、従来会社予想を上回る着地(営業利益は従来予想1兆8,500億円が実績1兆9,943億円など)になりましたが、健闘したという印象は乏しいと言えましょう。

2018年3月期も営業利益▲20%減見通しだが…

また、同時に公表した2018年3月期の会社予想は、105円/ドルを前提に、売上高が対前期比で横ばい、営業利益が同▲20%減、当社株主に帰属する当期純利益が同▲18%減となる2期連続の大幅減益予想となりました。

ただ、一見すると厳しい数字ですが、105円/ドル前提なので概ね妥当とも言えます。トヨタの場合、ドルに対する1円の為替変動で営業利益は約450億円動きます。現在の為替レート(112~113円/ドル)が続くならば、営業利益が約+4,000億円上乗せになりますから(注:他通貨含む)、終わった2017年3月期実績を上回る業績は十分可能と試算できましょう。

決算発表翌日の株価は安値後に切り返して小幅上昇

決算発表の翌日である5月11日、トヨタの株価は寄り付きから大幅安となり、一時は前日比▲106円安(▲1.7%下落)まで売られました。

しかし、上ブレ余地が大きいことが認識されたこともあり、その後は切り返して、終値は逆に前日比+42円高(+0.7%上昇)で引けています。

結局、“トヨタショック”のようなことは全く起きませんでした。ただ、その後の株価はやや膠着状態になっており、現在に至るまで6,000円を少し上回る水準での推移となっています。

昨年秋以降の株価上昇局面でも好パフォーマンスを示せず

ここで、昨年11月9日を底に始まった株価上昇、いわゆる“トランプラリー”以降の動きを見てみましょう。

現在のトヨタ株は、トランプラリー開始直前の底値から+9.5%上昇しています。しかし、これはTOPIXの+21.1%に比べて大きくビハインドしており、自動車株の中では、マツダ(+3.6%上昇)、SUBARU(+8.3%上昇)に次いで3番目に低い上昇率です。

また、4月中旬に株式市場が低迷した局面では、トヨタ株はトランプラリー開始直前の底値に近い水準まで下落しました。一時的とはいえ、まさしく“行って来い”の状況になってしまったのです。

トヨタ自動車の過去2年間の株価推移

為替の影響が大きい自動車株の1つという位置付け

現時点では、トヨタ株は、輸出比率が高くて為替影響の大きいマツダ株やSUBARU株と同じ部類で見られていると言えます。つまり、円高になると業績低迷が著しくなると評価されている可能性があります。

確かに、トヨタも輸出比率は高いため、マツダやSUBARUと同じように見られて当然という見解もあるでしょう。

かつて評価された“円高の鉄人トヨタ”は何処へ

しかし、ちょっと待ってください。

少し前まで、“トヨタは円高に強い”というイメージがありました。実際、バブル経済崩壊後に何度も押し寄せてきた「円高」という高波を、トヨタは部品メーカーを始めとするグループ一体となって取り組んだコストダウンや、強固なブランド力を背景とした値上げ実施などによってカバーしてきたのです。

特に、トヨタのお家芸である“乾いた雑巾を絞る”徹底的なコストダウンは、円高になるたびに改めて評価されてきた歴史があります。一昔前は“円高の鉄人トヨタ”と称されていました。

そのため、円高になって自動車関連株が軒並み大幅下落するにもかかわらず、トヨタ株の下落率が圧倒的に小さいというのは珍しくなかったのです。“円高局面では、とりあえずトヨタを買え”というのは、ファンドマネージャーの間では間違いなくコンセンサスだったと記憶しています。

トヨタ株が評価されるきっかけは円高の再来?

しかし、昨年秋以降の株価パフォーマンスを見る限り、円高に強いトヨタを評価する動きはほとんど見られません。少なくとも、株式市場においては、“円高の鉄人トヨタ”は見る影もないと言ったら言い過ぎでしょうか。

低迷するトヨタ株が再評価されるカタリストは、円安による輸出の採算改善で収益が拡大することではなく、実は、円高になってトヨタのお家芸であるコストダウンが発揮されて“円高の鉄人”が復活することなのかもしれません。

今後の為替相場の動きと同時に、トヨタ株の動きにも注目していきたいと思います。

投信1編集部

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投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。