「ロシアゲート」が日米の株式市場を直撃、歴史は繰り返すのか

警戒は怠らず相場に向き合いたい

「ロシアゲート問題」が日米の株式市場を直撃

2017年5月18日の日本の金融市場は、前日の米国市場が「ロシアゲート問題」による政策運営の停滞懸念から大幅下落した流れを受け、日経平均が大幅下落、為替市場では円高が進行しました。

5月の大型連休以降、フランスの大統領選挙やFOMCなどの重要イベントを無事通過したことから、相場はいったんはリスクオン(リスク選好の強気相場)に転換しましたが、一転してリスクオフ(リスク回避の弱気相場)に逆戻りしたことになります。

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さて、ここで気になるのが、ここにきてにわかに浮上してきたロシアゲート問題です。この言葉が生まれたきっかけは、5月9日にトランプ大統領が突然、米連邦捜査局(FBI)のコミー長官を解任したことにあります。

当初、解任の表向きの理由は、ヒラリー・クリントン氏の私用メール問題に関する捜査指揮が適切でないこととされていました。ところがその後、コミー長官が昨年の大統領選挙におけるロシアの関与を捜査していたのを阻止するため、つまり「捜査つぶし」が真の目的ではないかという論調がメディアで多く報道されるようになりました。

この、捜査つぶしという行為が、1973年にニクソン大統領が自身の不法行為への関与を捜査していた特別検査官を解任した「ウォーターゲート事件」と似た構図にあることから、今回のFBI長官の解任劇はロシアゲート問題と呼ばれるようになっています。

ちなみに、以下の記事にあるように、ウォーターゲート事件が起きた当時の株価は、特別検査官を解任後、約2年間にわたり下落基調が続いていました。

もちろん、当時とは世界の政治情勢やマクロ経済の動向が大きく異なることには留意する必要はあります。ただ、ここにきて米国の政治リスクが急速に高まっており、そのことが相場の大きな重石になっているという点は頭に入れておきましょう。

出所:米政治情勢:こんな時だからウォーターゲート事件を振り返る(投信1)

米国の自動車販売がピークアウトしたことにも注意したい

こうしたトランプリスクが顕在化するまでは、日経平均は20,000円まであと一歩というところまで上昇していました。

今後、ロシアゲート問題がどのような展開となるか予測は困難ですが、「歴史は繰り返す」と言われることからも、この問題は過小評価すべきではないでしょう。警戒は怠らずに相場に向き合うことをおすすめします。

とはいえ、経済のファンダメンタルズは比較的堅調なので、政治リスクが緩和した場合は、相場は再び上昇トレンドに復帰することも十分に考えられそうです。

もちろん、政治リスク以外に不安材料が全くないということでもありません。この記事でも指摘されているように、米国の自動車販売が減少に転じていることには注意したいと思います。

出所:日経平均上放れ 設備投資増勢 自動車は不振(楽天証券)

世界経済のバロメーターである銅価格の動向も注視したい

最後に、以下の記事にあるように、世界経済のバロメーターとされる銅価格が年初来安値近辺とあまり変わらない水準にあることにも留意したいと思います。世界経済は堅調であるとはいえ、絶好調ではないということです。

ちなみに、銅価格は昨年10月まで4,000ドル台(1トン当たり)で推移していましたが、11月に一時6,000ドルを突破し、その後、今年2月には6,200ドル台まで上昇しました。その後はじり安となり、現在は5,600ドル近辺にあります(年初来安値は5月初旬の5,500ドル近辺)。

銅は主要産業で幅広く利用されており、その需要が世界経済と密接にリンクしているため、銅価格は世界経済のバロメーターとして捉えることができます。今後の銅価格が再び上昇トレンドに復帰するのか、あるいは停滞が続くのかを注意深く見守りたいと思います。

出所:銅は世界経済のバロメーター、ただいま年初来の安値圏(投信1)

投信1編集部

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投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。