【日本株需給】そして海外投資家以外、買い越しは誰もいなくなった

GW明けは個人、投信、信託銀行そろって大幅売り越しに

個人投資家の売りがとまらない

日本取引所グループから、2017年5月12日の週までの日本株投資主体別週間売買動向のデータが開示されました。今回のデータは大型連休が明けて日本の決算発表が佳境を迎えた時期のデータです。

4月以降、「個人投資家の売り」対「海外投資家の買い」という構図が続いていますが、大型連休明けにはここにさらに信託銀行と投信が売り越し主体として登場してきました。

日経平均が2万円回復目前まで上昇した大型連休明け

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まず、最近の相場のおさらいをしておきましょう。

日経平均は2017年3月2日に年初来高値19,668円1銭を付けましたが、3月16日に19,600円台を付けて以降下落に転じ、2017年4月17日に年初来安値の18,224円68銭を付けました。この下落の要因は、米景気の減速の兆候、トランプ政権の経済政策に対する失望、円高の進行、朝鮮半島や中東での政治・軍事リスクの高まりなどです。

しかしその後相場はじり高となり4月25日には19,000円台を終値ベースで回復、大型連休の前後で相場が崩れることなくじり高に推移し、あと一声で20,000円のところまで戻ってきました。

では、投資主体別の売買動向を確認してみましょう。

海外投資家の買い越し、6週連続に

海外投資家は6週連続で買い越しとなりました。1月から3月まで累計で1兆2千億円売り越してきた海外投資家は4月に入り積極的な投資姿勢に転換したと見て差支えないでしょう。

ちなみに週次の買越額は次の通りです。

4月第1週 +908億円
4月第2週 +1,027億円
4月第3週 +2,770億円
4月第4週 +2,850億円
5月第1週 +1,583億円
5月第2週 +5,602億円

海外投資家の買い越しペースが強まってきたことがわかります。1週間で5千億円を超える買い越しをしたのは、昨年12月第2週以来です。日経平均がじり高になった牽引役は海外投資家だったと言って差支えないでしょう。年初来の通算でも約2,355億円の買い越しに転じました。

個人は5週連続で売り越し

これに対して、個人投資家は5週連続で売り越しになりました。

4月第2週 ▲509億円
4月第3週 ▲883億円
4月第4週 ▲4,449億円
5月第1週 ▲1,877億円
5月第2週 ▲5,101億円

海外投資家の買い越し額が急増したのとちょうど対照的に、個人は5月第2週に▲5千億円を超える額の売り越しとなりました。日経平均2万円を前に売りを強めたのは個人でした。ちなみに、この週に最大の売り越し主体が個人という結果です。

前回の当レポートでは、個人が3月中旬以降4週間にわたって大幅に買い越したポジションが、その後の株価の下落で損益的に厳しくなったものの、5月第1週までに売りが進み整理が済んだのではないかと述べました。そこでいったん身軽になった個人が、大型連休明けに買い姿勢に転じるのかが日経平均2万円越えの試金石になるだろうとも述べました。

しかし結果を見てみると、2万円を目前に個人はむしろ売り越し姿勢を強めたと言えます。

投信、信託銀行も売り越しに

さらに、このところ静かな動きだった投信の売り越しが▲1,718億円となり、信託銀行も▲1,288億円売り越しています。個人だけでなく国内の主要な3つの投資主体が揃って売り越しになったことは特筆されるべきでしょう。

信託銀行の売り越しが1千億円を超えたのは3月17日の週以来です。この時の日経平均19,500円台でしたので、この水準を超えれば日本株を売るというのが現在の信託銀行のスタンスと読めそうです。株価が上昇し、資産に占める日本株のウエイトが高まれば売却してそのウエイトを下げるという操作をしていると推測されます。

この背景を深読みすると、信託銀行は日本企業の最新の決算を踏まえても、日本株にさらに強気になることはなかったと推測できそうです。

今週に入り米国の政治リスクが意識され、日本株も調整を始めました。海外投資家の買いが止まるとすれば、株価の水準がかなり調整するまでは日銀頼みの需給になる可能性が考えられます。

次週に発表される海外投資家と個人の売買動向は、日経平均の落ち着きどころを考えるうえで大いに注目されます。

椎名 則夫

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椎名  則夫

早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券運用と法人融資に携わる。
シカゴ大学MBA取得。フィデリティ投信に入社、中小型株全般、医薬品・ヘルスケア、保険、通信、インターネットの企業調査に従事。その後モルガンスタンレー証券にて株・クレジットのリスク管理業務を行う。
日本証券アナリスト協会検定会員、CFA。