ニコンは構造改革を経てV字回復を目指す

株価のレンジ相場脱出には本業の伸びが必要

Jaggat Rashidi / Shutterstock.com

2017年3月期に人員削減を伴うリストラを実行したニコンが赤字に転落。来期からのV字回復を目指すものの、レンジ相場形成の株価は来期のV字回復計画に反応していません。ニコンの今後の株価上昇の鍵を握るのは何か、業績面および株価の面からそのポイントを考えてみました。

リストラにより赤字転落となったニコン

戦前は潜水艦の潜望鏡製造を手掛けるなど、名門カメラメーカーとして知られるニコン。しかし、カメラ事業とともにニコンを支える半導体製造装置事業で人員整理を伴うリストラを実行した結果、2017年3月期決算では当期純利益で71億円の赤字を計上しています。

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ニコンの直近3期の業績推移は下記の通りです。

2016年3月期 売上高8,194億円、経常利益379億円、当期純利益183億円
2017年3月期 売上高7,489億円、経常利益543億円、当期純利益▲71億円
2018年3月期(会社による業績予想) 売上高7,000億円、税前利益470億円、親会社の所有者に帰属する当期利益340億円

注:2018年3月期より国際会計基準(IFIRS)を適用

売上高が減少傾向の中においても黒字を維持していたニコンですが、2017年3月期は構造改革や減損等を行い、特別損失を613億円計上。その結果、経常利益では黒字ながらも当期純利益では71億円の赤字に転落しています。

2018年3月期に業績のV字回復を図る

ニコンの2018年3月期は、黒字化を目指し業績のV字回復を狙っています。

国際会計基準(IFIRS)ベースとなりますが、2018年3月期の親会社の所有者に帰属する当期利益は340億円と大幅な増加を計画。リストラを経た削減効果によって、2015年3月期、2016年3月期の2倍近い数字となっています。

株価は1,400~1,900円のレンジ相場を形成

ニコンの株価は、2014年2月以降、現在に至るまで1,400~1,900円のレンジ相場を形成しています。

レンジ相場上限の1,900円の壁、下限の1,400円の壁の双方に株価は複数回跳ね返されており、株価の上昇のためには1,900円に存在する株価の壁を明確に上方に抜ける必要があります。

また、2,000円という株価も2013年末に反転した株価であるため、ニコンの株価上昇のためには1,900~2,000円を明確に上に抜ける必要があります。

ニコンの過去5年間の株価推移

今後は成長事業の具体化が期待される

2018年3月期から国際会計基準(IFIRS)適用により、過去数字との単純比較はできませんが、売上高は2017年3月期実績7,488億円→2018年3月期(会社予想)7,000億円と減収予想、また営業利益は509億円→450億円と減益予想であり、減収・減益の決算予想となっています。

半導体製造装置事業でリストラを実施し、カメラ事業においてはハイエンドコンパクトデジタルカメラ「DLシリーズ」の発売中止を決定する等、2017年3月期は様々な方向転換に追われたニコンですが、株価推移を見る限り、株式市場は今後の事業の成長を待っているように見受けられます。

半導体製造装置事業におけるFPD部門の将来性、再生医療関連で売上が計上されつつある顕微鏡等を扱うインストルメンツ事業、現状は収益性が厳しいメディカル事業を、利益の伴う事業として確立させることが、ニコンの株価上昇の鍵を握っているのではないでしょうか。

まとめ

ニコンは2017年3月期に構造改革を行い、2018年3月期からの業績V字回復を目指しています。

一方、本業の収益力という観点では、その向上は道半ばの状態となっています。ニコンは今後、カメラ事業や半導体製造装置事業に続く第3の事業の柱を打ち立て、収益力の向上を実現し、長らくレンジ相場を形成している株価の上昇に繋げることができるのでしょうか。今後のニコンの事業展開そして株価の状況に注目したいと思います。

投信1編集部

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