北陸新幹線開業2年、北陸はどうなっている?

北陸地方が元気です。

北陸地方といえば、2015年3月14日に北陸新幹線の長野〜金沢間が開通し、観光地として脚光を浴びました。それから2年経ち、北陸地方が今どうなっているのか気になる方も多いのではないでしょうか。

2016年度の旅行者の伸びは一服

まず、JR西日本が公表している北陸新幹線の上越妙高〜糸魚川間の断面輸送量を見ると、2016年4月-2017年3月期に対前期比▲7%減となり、2016年度は北陸新幹線効果が一服したことがわかります。

同期間の小松空港の国内線旅客利用者数は同▲1%減、富山空港の国内定期路線の利用者数は同▲18%減となりました。鉄道だけでなく、航空においても人の流れは減少傾向でした。

2017年に入り底打ち傾向に

しかし、より詳細にデータを分析すると、2017年に入って回復の兆しが出ていることに気づきます。

北陸新幹線のデータを4半期ごとに見ていくと、2016年4-6月期が対前年同期比▲12%減、7-9月期が同▲8%減、10-12月期が同▲7%減に対して、2017年1-3月期は同▲1%減となり、下げ止まりの兆候が見られます。

ちなみに2017年4月は同▲2%減、5月1-7日は同+7%増となって回復が始まっている模様です。

日銀のさくらレポートでは国内2強の一角

2017年4月10日に日本銀行が発表した地域経済報告(さくらレポート)でも、この基調が確認できます。さくらレポートは、日銀が3か月ごとに発表する地域別の景気情勢のまとめです。

このレポートで、景気の総合判断が1月時点の判断から上方修正されたのは北陸だけです。そして、現在日本全国で「緩やかに拡大している」という景気拡大の判断が下されているのは東海地方と北陸地方の2地方しかありません。

北陸の何が良い?

さくらレポートを見ると、北陸地方は万遍なく良いという印象です。北陸新幹線の敦賀延伸工事などで公共事業がしっかりしており、設備投資は能力増強投資と小売店の出店が盛んなうえ、省力化投資・効率化投資も伸びていると言われます。

また、スマホ部品や各種機械の生産が増加しており、住宅投資も貸家を中心に増加しているとされています。さらに、雇用・所得の改善で個人消費も持ち直しています。

景気ウォッチャー調査も好調を示す

次に、内閣府が5月11日に発表した景気ウォッチャー調査の結果を見てみましょう。これは、タクシー運転手やコンビニ店長など、さまざまな職業に従事する人にヒアリングをする街角景気調査です。

北陸地方の景気の現状判断DIを季節調整値で見ると、北陸地方は51.6で、好景気を示す50を超え、前月比+1.4ポイント増加しています。足元ではさらに景況感が改善している模様です。

こうして見ると、北陸は公共投資と民間需要の回復がうまく歩調をあわせて景気「拡大」しているということになります。

しかも製造業のウエイトが全国平均より高く、それが医薬品、繊維、電子部品・デバイス、建機・繊維機械など多分野に分散しています。こうしたバランスの良い製造業が地域経済に活力を生んでいるのではないでしょうか。

さらに、北陸新幹線をテコにした、インバウンドを含めた観光需要が加われば盤石と言ってもよさそうです。

このような好循環が全国に広まることを願いたいところです。

LIMO編集部