会社をダメにする社長は文系か理系か〜復活のソニーと混迷の東芝

重電メーカーで文系社長が増えるのは縁起が悪い?

Kobby Dagan / Shutterstock.com

ソニーの復活を率いる平井社長は文系出身

2017年5月23日、ソニー(6758)は2017年度の経営方針説明会を開催しました。そのなかで平井一夫社長は、2018年3月期の営業利益予想5,000億円について「十分に狙える」と達成への自信を示しています。

もちろん、2018年3月期はまだ始まったばかりであり、実際に20年ぶりの5,000億円台の営業利益が達成できるのかは終わってみなければわかりません。とはいえ、これまで課題であったテレビ事業で黒字が定着してきていることや、ゲーム、デジカメ、半導体などの好調が持続する可能性が高いことなどを考慮すると、上述の発言に違和感はありません。

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また、プレゼンテーションを行う平井社長の姿を見ながら、「強いソニーが戻ってきた」という印象を持つと同時に、「メーカーの文系社長は会社をダメにするのか?」という記事の「メーカーは文系出身者が経営トップになると振るわなくなる」という都市伝説のような俗説が全くの誤りであることも改めて感じました。

ソニーの歴代社長には文系が意外に多い

というのも、平井社長は国際基督教大学卒の文系社長であるからです。

また、1946年創業で今年71年目を迎えるソニーには10人の社長経験者がいますが、下表のように最終学歴が文系の社長は6人、理系が4人となっています。ソニーというとハイテク企業であるため理系出身者中心のイメージですが、実際には文系社長も意外に多かったということです。

そもそもソニーの場合、初代社長の前田多門氏(元文部大臣、創業者の井深大氏の義父)は東京帝大(現在の東大)法学部出身です。また、CD(コンパクトディスク)の商品化や映画事業への進出を果たした大賀典雄氏は東京芸術大学出身であり、その次の出井伸之氏も早稲田大学政治経済学部出身の文系社長でした。

もちろん、2代目で実質的な創業社長である井深大氏や、ウォークマンなどのユニークな製品を世界的にヒットさせた3代目の盛田昭夫氏は理系出身者であったことも忘れるべきではありませんが、ソニーには出身学部に左右されない多様性を重視するDNAのようなものがあると感じられます。

ソニーの歴代社長

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パナソニックにも文系社長が多い

ソニーの社長の経歴を振り返ったついでに、パナソニック(6752)がどうであったかも見ておきましょう。下表にあるようにパナソニックには1935年の創業以来、8人の社長経験者がいますが、このうち理系出身者は4人です。

周知の通り、創業者であり後に「経営の神様」とも称された松下幸之助氏は、家庭の事情により尋常小学校を4年で中退しています。そのため、松下幸之助氏は、理系でも文系でもありません。

こうして見てくると、やはり先の都市伝説はナンセンスであり、出身大学、ましてや文系か理系かによって社長の良し悪しが決まるのではなく、職業人となってからの本人の努力が最も大切であることを物語っているのではないかと思います。

パナソニック歴代社長

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東芝は例外?

しかし、下表の東芝(6502)の歴代社長を眺めてみると、上述のような都市伝説が生まれるのも致し方ないという気にもなります。

東芝の19人の社長経験者のうち、7人が理系、11人が文系、不明が1人となっています。このうち、東芝のウエスチングハウスの買収だけではなく、日本郵政(6178)によるオーストラリアの物流会社買収(いずれの買収でもその後多額の”のれん代”の減損を計上)にも関与した西室泰三氏は、慶応大学経済学部出身の文系社長です。

また、粉飾決算問題で辞任した西田厚聰氏、田中久雄氏も文系社長であり、現在の社長の綱川智氏も同様です。

これに対して、同じく重電系の日立(6501)は、歴代11人の社長が全て理系出身者、三菱電機(6503)は15人中13人が理系、1人が文系、1人が不明となっており、東芝にいかに文系社長が多いかがわかります。

このため、「メーカーは文系出身者が経営トップになると振るわなくなる」という都市伝説は、全てのメーカーではなく、重電メーカーの場合に多いというのが実証的には妥当な答えではないでしょうか。

東芝の歴代社長

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投信1編集部

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