攻めに転じたシャープ、「変革」で目指すのは何か?

コンセンサスを上回る業績予想はポジティブサプライズ

意欲的な2018年3月期会社予想

2017年5月26日の取引時間終了後、ホンハイ主導で経営再建中のシャープ(6753)は、未公表であった2018年3月期業績予想と今後3年間の中期経営計画を発表しました。

2018年3月期会社予想については、売上高が2.51兆円(前年同期比+22%増)、営業利益が900億円(同+44%増)、純利益が590億円(前年度は▲249億円の赤字)と、中小型液晶パネル・液晶テレビの販売増や構造改革効果により大幅な増収、増益を目指すとされました。

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事前の市場コンセンサスは営業利益が808億円、純利益が382億円でした。今回発表された会社予想はこれらを大幅に上回るものであるため、29日、月曜日の株式市場ではポジティブサプライズとして受け止められそうです。

もちろん、2018年3月期はまだ始まったばかりであり、今回発表された会社予想が実現可能かは今後の四半期決算等で精査していく必要があります。

とはいえ、直前四半期の2017年3月期第4四半期(1-3月期)では、売上高が前年同期比+8%増と2015年3月期第1四半期以来11四半期ぶりに増収に転じていたこと、営業利益が435億円(前年同期は▲1,329億円の赤字)と前年同期比で大きく改善していたこと、900億円という今回発表された通期予想営業利益は直近四半期の約2倍程度であることを考慮すると、大きな違和感はありません。

中期計画も意欲的、ただし営業利益目標は過去最高を下回る

一方、中期計画(2018年3月期~2020年3月期)については、中計最終年度に売上高3.25兆円、営業利益1,500億円を目指すとされました。

2017年3月期実績に対して売上高で+1.2兆円増、営業利益で+875億円増という極めて意欲的な計画ではあるもの、営業利益は2007年3月期に計上された過去最高益1,860億円をやや下回る水準です。

シャープでは、今後3年間を、2021年3月期以降の「次の100年における持続的成長」を確実なものとするための「トランスフォーメーション(変革)」の期間と位置付けています。

このため、過去最高益を下回るという「やや控え目」な目標値には、今後3年間は長期的に足場固めを行うことを重視する考えも反映されているのかもしれません。

新コーポレート宣言“Be Original.”で持続的な成長企業を目指す

シャープは、今回の説明会で、「ビジネスモデルの変革」、「グローバルでの事業拡大」、「経営基盤の強化」の3つのトランスフォーメーションを実行していくとしています。

また、その実現のために、「スマートホーム」、「スマートビジネスソリューション」、「IoTエレクトロデバイス」、「アドバンスディスプレイシステム」の4つの事業領域を設定するとともに、全社に横串を通す2つの戦略推進室(AIoT戦略推進室、8Kエコシステム戦略推進室)を新設するとしています。

また、組織再編を行うだけではなく、人材の育成・強化や独自技術の徹底強化のために投資も行うとしています。

こうした考えを素直に受け止めると、シャープは、戦略性のない”力わざ“的なアプローチではなく、グローバル・エクセレントカンパニーに変わることで、オリジナリティ溢れる商品やサービスを創出し、成長を目指ざそうとしている姿が浮かびあがります。

「台湾企業に買われたシャープ」という“色メガネ”を通して見るのではなく、グローバル・エクセレントカンパニーに変わろうとしているシャープとして、今後の変革への取り組みを大いに注目していきたいと思います。

シャープの過去2年間の株価推移

 

和泉 美治

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和泉 美治

同志社大学文学部卒業後、エルコインターナショナル (現:京セラエルコ) に入社。英国バーミンガム大学にてMBA取得。
その後UBSフィリップスアンドドリュー証券 (現:UBS証券) に入社し、調査部にてエレクトロニクスセクターを担当。2002年より2013年までJ.P.モルガンにて産業用エレクトロニクス及び民生エレクトロニクスセクターを担当。
日本証券アナリスト協会検定会員。