スマホに食われたデジタルカメラ市場に回復の兆し

進むミラーレス化。手薄なニコン、次の一手は?

デジタルカメラに春が来た(かな?)

デジタルカメラの生産が底入れをしています。

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が2017年6月1日に発表したデジタルカメラ統計(2017年4月実績)によれば、コンパクト型とレンズ交換型を合わせたデジタルスチルカメラの2017年1-4月累計生産台数は対前年同期比+3%増、生産金額は同+4%増となりました。
 
ちなみに、2016年1-4月累計生産台数は対前年同期比▲25%減、生産金額は同▲17%減という厳しい数値でした。前年同期のハードルは低いため、ぬか喜びに終わる可能性も否定できません。しかし、下げ止まりの兆候が出てきたことはプラスに受け止めていいのではないでしょうか。

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長期衰退のデジカメ市場

ケータイ、スマホのカメラ機能がコンパクトデジタルカメラの市場を奪ってきたことは皆さんご承知の通りです。CIPAのデータを遡ると生産台数、生産金額がともに暦年(1-12月)でプラスになった最後の年は2010年です。

その後は次のような長期縮小を続けました。以下、数値は対前年比増減率です。

2011年 台数▲6%減、金額▲15%減
2012年 台数▲12%減、金額+2%増
2013年 台数▲39%減、金額▲26%減
2014年 台数▲30%減、金額▲19%減
2015年 台数▲18%減、金額▲5%減
2016年 台数▲32%減、金額▲22%減

2016年は熊本震災によりソニーの撮像素子の供給が減少した影響もありますので、その分減少に拍車がかかっていることは否定できませんが、それにしても厳しい市場縮小を経験したことになります。

そしてレンズ交換式が残った

市場縮小の主因はコンパクトカメラがほぼ淘汰されたことです。コンパクトカメラのデータを見ると、以下のように激減していることがわかります。

2010年 1億900万台 9,774億円
2016年 1,200万台 1,630億円

一方、レンズ交換式は以下のようになんとか市場規模を保っていると言えるでしょう。

2010年 1,300万台 3,950億円
2016年 1,100万台 3,643億円

金額を比較すると、2016年にはコンパクトカメラの生産金額はレンズ交換式の半分にも満たなくなりました。事実上スマホに置き換えられたと言ってよいでしょう。

レンズ交換式ではミラーレスが台頭

市場規模の縮小が限定的だったレンズ交換式ですが、その中身は大きく変わりました。ミラーレスの台頭です。

CIPAがミラーレス(CIPAはノンフレックスと呼んでいます)と従来型の一眼レフ(カメラのなかに鏡があり、光学のファインダーを搭載しているデジタルカメラ)を分類してデータを公表し始めたのが2012年です。そこで2012年と2016年を比較してみましょう。

一眼レフ
2012年 1,700万台、4,728億円
2016年 800万台、2,646億円

ミラーレス(ノンレフレックス)
2012年 400万台、991億円
2016年 300万台、997億円

ご覧のように、2012年から2016年にかけて従来型の一眼レフデジタルカメラの市場はほぼ半減していますが、ミラーレスは市場規模を維持しています。この結果、ミラーレスのシェアは高まってきています。

ミラーレスのプレゼンスが高まっている背景は、ミラー機構が不要でコンパクトであること、撮影機能が一般ユースであれば一眼レフに肉薄してきたことがありそうです。また、一眼レフの買い替えサイクルが長期化しているという推測も可能です。

ミラーレス回復、一眼レフ縮小へ

次に2017年1‐4月期累計を見てみましょう。カッコ内は対前年同期比増減率です。

レンズ交換式合計 370万台(+9%増)、1,189億円(+8%増)
うち一眼レフ 240万台(▲6%減)、735億円(▲10%減)
うちミラーレス 130万台(+52%増)、454億円(+59%増)

このように、レンズ交換式の回復を支えているのはミラーレスであり、一眼レフは引き続き軟調であることがわかります。

攻めるソニーとキヤノン、気になるのはニコンの次の一手

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椎名 則夫

早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。証券運用と法人融資に携わる。
シカゴ大学MBA取得。フィデリティ投信に入社、中小型株全般、医薬品・ヘルスケア、保険、通信、インターネットの企業調査に従事。その後モルガンスタンレー証券にて株・クレジットのリスク管理業務を行う。
日本証券アナリスト協会検定会員、CFA。