あなたは何インキ派? 進化を続けるボールペンの選び方

注目の次世代素材も。書き味競争で広がる選択肢

インキの種類、いくつ知っていますか?

かつて、ボールペンといえば会社で支給される備品であり、どの社員も同じものを使っていました。今でも備品として支給される会社は多いですが、最近では、自分の気に入ったボールペンを使いたいと考える人が増えています。

「いつも特定のブランドのものを使っている」という人もいるでしょう。あるいは、「なかなかしっくり来るのに出会えていない」という人もいるかもしれません。

文具店の店頭には、さまざまなボールペンが並んでいます。どのような選択肢があるのでしょうか。

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まず、ボールペンの種類を知っておきましょう。日本筆記具工業会の分類によると、ボールペンはインキの種類により、「油性」と「水性」に大きく分けられます。水性は溶剤として主に「水」を使用し、油性は主として「揮発性有機溶剤」を使用しています。

油性と水性いずれにも、着色剤が「染料タイプ」のものと「顔料タイプ」のものがあります。水または溶剤に溶けるものを染料といい、溶けないものを顔料といいます。「ゲルインキ」というのは水性インキの一種で、水性インキにゲル化剤を加えることでなめらかな書き味を実現しています。

このほか、「消せるボールペン」としてヒットしている「フリクション」の「フリクションインキ」など、特殊なインキもあります。フリクションインキは、油性インキ、水性インキ、ゲルインキに次ぐ、第4のインキと呼ばれることもあります。

なめらかな書き味を追求する競争が激しくなっている

「油性ボールペン」は、インクの持ちがいい、にじみにくいといった特長があります。複写伝票、公文書などにも適しています。ただし、若干書き味が重くなりがちです。「水性ボールペン」は、なめらかな書き味ですが、にじみやすいという性質があります。

「ゲルインキボールペン」は油性と水性のいいとこ取りのようなボールペンで、クリアな文字を、なめらかに書くことができ、にじみも少ないという特長があります。

ゲルインキボールペンの市場を大きく拡大したのが、1994年に発売された、パイロットの「HI-TECK-C(ハイテックC)」です。微細な文字もにじまずなめらかに書くことができ、細書きボールペンのパイオニアと言われます。

ゼブラも同時期にゲルインキボールペンを発売していますが、ヒットとなったのは2000年に発売した「サラサ」と、2003年に発売した可動式バインダークリップを搭載した「サラサクリップ」です。

これらのヒット商品が誕生したこともあって、2000年代に入ると各社が「なめらかな書き味」を競うようになります。そんな中、油性ボールペンでありながら、なめらかな書き味を実現した商品が登場しました。三菱鉛筆の「ジェットストリーム」です。

さらにインキが進化。高級品でも書き味がよくなる

三菱鉛筆のジェットストリームは発売からすぐに大ヒット商品になりました。「油性ボールペン市場は成熟しており新たにできることはない」と言われていた常識を大きく覆したと言えます。

ジェットストリームが誕生した翌年、さらに新たな市場を開拓する商品が発売されました。消せるボールペン「フリクション」(パイロット)です。60度以上の温度になると色が消える独自のフリクションインキが使われています。

ジェットストリーム、フリクションともに、国内はもとより、海外でも販売が好調です。ちなみに、フリクションはフランスで先行発売し、成功した後に日本で発売されたという経緯があります。

ここ数年はさらに、ボールペンが進化しつつあります。三菱鉛筆は、植物由来の次世代素材として各産業で用途開発が進んでいる「セルロースナノファイバー」をゲルインキボールペン「ユニボール シグノUMN-307」のインクに増粘剤として採用し実用化しました。速書きでもかすれないのが特色です。

ゼブラはインクの乾燥時間を従来品に比べ約85%短縮した「サラサドライ」を発売しています。

さらに最近では、書き味がいい商品の高級バージョンのラインナップも増えています。書きやすさとおしゃれさを両立する商品も楽しく選べそうです。

下原 一晃

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下原 一晃

マーケティング会社、リクルートなどを経て、PRプランナー・ライターとして独立。
株式投資、投資信託をはじめとする資産形成や、年金、相続などに関する情報提供を行っている。あわせて、個人投資家がテクニカル理論を身に付けるためのヒントや知識の紹介にも取り組んでいる。
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)。