米利上げにまだら模様の反応だった1週間

先週(2017年6月12日-16日)の世界の株式市場はまちまちでした。主要市場の週間騰落率は、現地通貨ベースでTOPIXが+0.3%、米S&P500が+0.1%、独DAXが▲0.5%、上海総合が▲1.1%となりました。

主要国の中では欧州、英国、日本の金融政策が据え置かれるなか、先週米国は単独となる利上げを決定しました。利上げ自体は予想されていたとはいえ、市場は興味深い反応を示しています。週間で米ドルは日本円に対して+0.5%上昇しましたが、ユーロに対しては横ばいで終わり、ドル高が進んだとは言えません。また、主要国の長期金利は横ばいでしたが、唯一動きのあった米国では10年債利回りは約▲5bpポイント“低下”しています。

この背景には、最近の米国のマクロ指標に足踏み感が強まっていることと、トランプ政権の経済政策に対する期待が後退したことがありそうです。5月の消費者物価、小売売上高、鉱工業生産、住宅着工、6月のミシガン大学消費者態度指数のいずれもモメンタムの弱さを示す内容となりました。FRBは労働市場の引き締まりを重視し、FRBのバランスシート調整の開始と年内再利上げを視野にいれていますが、市場参加者の総意はそれほど強気ではないと思われます。

株式市場では投資対象を選別する目線が厳しくなりました。主要国の指数の動き以上に個別株の騰落率に幅が出ています。テクノロジー株の調整が一部の銘柄で続き、アップルは続落し週間で▲5%下落しており、半導体株指数、ナスダック指数も続落です。アマゾンのホールフーズに対する大型買収を受けてウォルマートは▲5%急落し、リストラを行うナイキも下げました。米国以外では、5月のマクロ指標がいまひとつで終わった中国株は反落し、資源価格の下落と銀行株の下げを受けて欧州株も軟調でした。一方、好景気の豪州株やベトナム、インドネシア市場が高く、個別でもトップ交代のGEが上昇し、スリーエム、ボーイングなどもしっかりでした。

アウトルック:選別物色継続へ。トランプ大統領の経済政策のアップデートが待たれる1週間に

今週(2017年6月19日-23日)は選別物色の流れが継続しそうです。米中の住宅市場に変化が出るのか、アップルがどこで下げ止まるのか着目したい週になるでしょう。

さきほど株式市場では選別色が強まったと述べました。アップル、ナスダック指数の軟調な値動きに目を奪われがちですが、アルファベットは先週▲1%の下落にとどまり、アマゾン、フェイスブック、エヌビディア、テスラの株価はわずかではありますが上昇しています。このように株式市場は引き続き銘柄選択を進めていくと思います。

ただし今週予定される米国の住宅関連指標と中国の新築住宅価格動向はその影響が大きいため注意が必要です。投資家のセンチメントが高まるためには、トランプ大統領から経済政策に期待を持たせるつぶやきが聞こえてき欲しいと思います。

 

椎名 則夫